ある程度のお金が手元に貯まってきた時、誰もが一度は「お金でお金を増やす(稼ぐ)事」を考えるものだと思います。

そこで「資産運用」というものに関心を持ち、実際に何らかの形で「お金でお金を増やす行為」を始めていく人もいるわけですが、その際に二分される事になるのが『投資を始める人』と『トレード(投機)を始める人』です。

その際、この2つの「違い」を明確に線引きした上で、自分自身のニーズや適性に見合う方を選び、取り組んでいるのであれば、これはとくに問題ありません。

ただ、問題なのは、それぞれの違いも曖昧なまま「何となくの判断」でいずれかを始めているようなケースです。

と言うのも『投資』と『トレード(投機)』は、それらで稼ぐための「スキル」や「考え方」が根本的に異なります。

そのため、それぞれの「違い」さえも認識せずにいずれかを始めてしまうのは、あまり賢明とは言えません。

そこで、ここでは『投資』と『トレード』の「違い」と、双方のメリット、デメリットを1つ1つ言及していきたいと思います。

もしもあなたがそれぞれの「違い」を明確に答えられないようなら、まずはその「違い」をしっかりと認識した上で、それに見合った「考え方」と「スキル」を身に付けていくようにしてください。

このブログでは、まさにそのための「ヒント」や「答え」の多くを考察しています。

『投資』と『トレード(投機)』の違いとメリット、デメリット。

この『投資』と『トレード』は、それぞれを同じものと解釈している人も多いと思います。

確かに、それぞれの定義を「お金を何かの対象に投じて(換えて)増やそうとする行為」と、大雑把に捉えるなら『投資』も『トレード』も全く同じ行為にあたるかもしれません。

ですが『トレード』を『投機』と言い変えて、それぞれの定義をもう少し細かく分類すると、これらは以下のように「異なる行為」である事が分かります。

投資:将来的な価値の上昇や利回りなどを目的として長期的に資金を投じる行為
投機:相場の変動を利用して利益を得る事を目的に短期的に資金を投じる行為

つまり『投機(=トレード)』は、あくまでも相場の変動によって利益(いわゆるキャピタルゲイン)を得る事を前提としているため、まさに『機(タイミング)を狙って、その対象となるものを売買する行為』を意味します。

対する『投資』の方は、必ずしも相場の変動による利益を狙うわけではなく、『株式投資における「配当」や、不動産投資における「家賃収入」など、利回りも含めた形で利益を追求する行為』が該当するわけです。

よって『投資』は「長期的に見た相場の変動」と、その投資の対象によっては「利回り」を併せて追及していくものであり、対する『トレード(投機)』は基本的に「短期的な相場の変動に伴って生じる利益(キャピタルゲイン)」のみを追求していくものになります。

故に、どちらにも共通して言えるのは「相場(価格)の変動を捉える(予測する)スキルが必要になる」という点です。

ただ『投資』において「長期的に相場や利回りの変動を捉える視点」と『トレード(投機)』において「短期的な相場の変動を捉える視点」は、大きく異なります。

その投資対象を長期的に見た「先々の価値」や「それに伴う利回りの変動」を予測して捉えていくには、その投資対象に準じたあらゆる「情報」を分析して、その「将来性」を見極めなければなりません

まさに、その投資対象に準じた情報を分析していく『ファンダメンタル分析』が極めて重要になるという事です。

対して「短期的な相場の変動」を捉える上では、その期間(時間)の範囲にもよりますが、それが短期間、短時間であるほど、その「将来性」のようなものを考慮する必要はなくなります。

よって、短期間の相場の変動で稼ぐ事を前提とする『トレード(投機)』においては『ファンダメンタル分析』よりも、その時点での値動きを捉える投資家達、トレーダー達の心理動向などから、その後の値動き読み取る『テクニカル分析』が重要となるわけです。

このブログで扱っている「テクニカル分析と統計心理」というテーマは、まさに「短期的な相場の変動」で利益を上げる事を前提とする『トレード(投機)』を対象にしたものに他ならないという事です。

 

投資とトレード(投機)におけるリスクとリターン。

ここで言及したような『投資』と『トレード(投機)』の定義、違いを前提とした上で、

・投資はローリスク・ローリターン
・トレード(投機)はハイリスク・ハイリターン

このようなイメージが一般視されている傾向にあります。

ですが、そもそも『投資がローリスク・ローリターン』というのは「錯覚」に近いものでしかなく、また『トレード(投機)はハイリスク・ハイリターン』というのも「ハイリスクなやり方でトレードをしている人が多いだけ」なのが実情です。

そもそも、長期的な相場の変動や利回りを狙って『投資』を行うにしても、短期的な相場の変動を狙って『トレード』を行うにしても「何らかの対象に資金を投じる事」に変わりはありません。

その対象となるものの相場の変動に伴う損失、その価値が「無」になってしまった時の損失、そして、その可能性などは『投資』も『トレード』も、どちらもとくに変わるものではなく「同じ」なんです。

また、長期的な『投資』を行っている場合は、多少の相場の変動で「含み損」にあたるものが生じても、その時点で「手仕舞い」するわけではないため、その時点の実質的な損失(含み損)を、とくに「損失」とは捉えない傾向にあります。

逆に、相場が良い方向に変動して「含み益」にあたるものが生じても、やはり長期的に『投資』を行っている場合は、その時点で利益を確定させるわけではないため、その時点の利益も、やはり「含み益」として留めていく形になります。

 
対して、短期的な『トレード(投機)』を行っている場合は、その変動に応じて売り買いを行っていく事が前提となるため、短期的に「含み損」や「含み益」を確定させていく事になります。

よって『トレード(投機)』においては、実質的な「損失」や「利益」が、その都度、ハッキリしていく形になるため、このような「違い」が『長期的な投資』と『短期的なトレード』における「リスクとリターンの錯覚」を生み出しているわけです。

ただ、これは単純に『相場の変動によって生じた「損失」と「収益」を、その都度、確定させているかどうかの違い』であって、実質的な損益や、それが生じる可能性は、どちらもとくに変わりません。

つまり、相場の変動に伴うリスクとリターン、それらが生じる可能性は、投資もトレードも、とくに変わるものでは無いという事です。
 

そんな「リスク」と「リターン」を左右する2つの要因。

ただ、一般的に長期的な視点で『投資』を行う人は、利回り、値動きを含めて「安定性の高い投資対象を選ぶ傾向」にあり、そのような投資対象は必然的に『ローリスク・ローリターンな投資先』となります。

対して『トレード(投機)』を行う人の多くは「出来るだけ大きな値動きで利益を得ようとする傾向」にあるため、そのような「相場の動き(変動)が激しい投資対象」は、当然ですが『ハイリスク・ハイリターンな投資先』となります。

更に『トレード』を行っている多くの人は「レバレッジ」という仕組みを使って「資金以上の売買」を行っている傾向にあるため、それによってもリスクとリターンが大きくなっているんです。

つまり『投資』と『トレード(投機)』における「リスク」と「リターン」は、それぞれの目的に伴う「投資対象」やレバレッジのような「仕組み」によって生じているという事です。

ただ、言い方を変えると『トレード(投機)』の方は「レバレッジ」のような仕組みや、資金を投じる「対象」によって、リスクと共にリターンを「高められる」という点が1つの「メリット」とも言えます。

そのようなリスクとリターンの大きい土俵を選ぶかどうかは、あくまでも実際にトレードを行うトレーダー側の「自由」だからです。

とは言え、これはあくまでも「リスクと共にリターンを高める自由がある」という事なので、そのような土俵の中で勝ち続けられるスキルが伴っていなければ、その「自由」は結果として、多大な損失を生んでしまう事になります。

現にそのような「リスクとリターンの大きな土俵」を自ら選択し、大きな損失を生んでしまっているトレーダーはごまんといるため、そのような現実が『トレード』における「ハイリスク・ハイリターン」という世間的なイメージに結びついているわけです。

 
ただ「短期的な相場の変動」を高い精度で見極められるなら、変動の激しい相場こそが「より稼げる相場」となり、また「レバレッジ」のような仕組みは、更に大きな利益を生み出す「強力な武器」になります。

つまり「変動の激しい相場の値動きを自在に乗りこなし、レバレッジの仕組みを有効に使えるスキルがあるかどうか」で、トレード(投機)の成否は大きく分かれてしまうという事です。

ちなみに私は「変動の激しさ」という点で、今は仮想通貨(ビットコイン)の相場をメインにトレードを行っていますし「レバレッジ」も自分の手法に見合う範囲で実際に利用しています。

それは他でもなく「変動の激しい相場を選ぶ事」や「レバレッジの仕組みを利用していく事」が、より大きな利益に結びつくだけの「ノウハウ」を実際に確立する事が出来ているからです。

 

相場(値動き)×レバレッジ = ハイリスク・ハイリターン

ただ『投資』においては「利回り」のみを重視した上で『長期的に相場や利回りが安定している投資先』を選べば、そうそう「失敗する(損をする)」という事はありません。

例えば『投資』の対象となる主要なものとしては『債権(国債など)』『株式』『不動産』などにあたりますが、この記事を書いている2019年の時点で、これらの利回りは以下のような数字が水準となっています。

 債権(国債などによる金利): 1~3% /年
 株式投資(株主配当)   : 2~8% /年
 不動産(家賃収入)    : 4~10%/年

ただ、これらはあくまでも「利回り」のみを重視して『投資』を行った場合の「かなり高めの水準」であり、それぞれの利回りは常に変動する可能性もあるものです。

よって、株や債券に投資をしている人や不動産投資をやっている人が皆、このような利回りを実現しているわけではありません。(例えば日本の国債は今現在、マイナス金利となっていますので、到底、上記のような年利を得る事は出来ません。)

とは言え、上記を見てもお分かり頂ける通り、相場の変動リスクが高い投資対象ほど、利回りも高い傾向にあり、そこは完全に「リスクとリターンが比例している」と言っていいと思います。

その上で「利回り」を重視して、相応の投資先を対象としていけば、実際にここで挙げたような利回りを実現する事は十分に可能であるため、

「年利1~10%ほどの利回りで十分」

という場合は、相場が安定している上記のようなものへの『投資』で望むだけのリターンは得られるはずです。

逆に、利回り重視の『投資』で、これ以上のリターンを得るのは難しいため、それ以上を望むのであれば、やはり「相場の変動によって生じる利益」も併せて狙っていくしかありません。

その際、長期的な形でも問題なければ、長期的な相場の変動を見越した上での『投資』を行う形で問題ありませんが、可能な限り短期間、短時間で利益を形にしていきたいのであれば『トレード(投機)』を行っていく必要があります。

つまり「投じていく資金から、どれくらいのスパン(周期)で収益を形にしていきたいのか」によっても『投資』と『トレード(投機)』のどちらを行うべきかの判断が変わってくるという事です。
 

投資とトレード(投機)の違いとメリット、デメリット。総括

ここまでの内容の総括として『投資』においては、長期的な「将来性」や「利回り」を重視して投資の対象を判断する必要があり、対する『トレード(投機)』においては、対象となるものの「短期的な相場の変動を捉える事ができるかどうかが全て」と言っても過言ではありません。

少なくとも『投資』は「将来性(値上がり)」を重視するか「利回り」を重視するかでも、その判断基準は変わってきますが、いずれも「長期的な視点」が前提となるため、その判断においては「投資対象におけるあらゆる情報の分析」が不可欠となります。

それは、まさに『ファンダメンタル分析』と呼ばれるものに他なりません。

対する『トレード(投機)』の方では、あくまでも「短期的な相場の変動を捉える事」が重要となるため「投資家、トレーダー達の短期的な売り買いの強さや偏りの分析」が有効となります。

まさに値動きに対する投資家、トレーダー達の売り買いの心理を分析していく『テクニカル分析』が有効であるという事です。

故に『投資』と『トレード(投機)』は、自分自身が『ファンダメンタル』と『テクニカル』の「どちらを分析していく事が自分に向いているか」によって「どちらが稼ぎやすいか」も変わってきます。

そういった点も含めて『投資』と『トレード(投機)』の違い、それぞれのメリット、デメリットを箇条書きにしてまとめるのであれば、以下のようなものになると思います。
 

投資:将来的な価値の上昇や利回りなどを目的として長期的に資金を投じる行為

・ファンダメンタル分析を重視しなければならない
・利回りを重視して相場が安定している対象を選ぶ事でリスクを押さえられる
・収益を形にできるスパン(周期)が長い
・相場の細かい変動に捉われる事なく、ゆったりとした運用を行える

投機:相場の変動を利用して利益を得る事を目的に短期的に資金を投じる行為

・運用期間が短くなるほどテクニカル分析の有効性が高くなる
・相場(値動き)とレバレッジによってリスクと共にリターンを大きくできる
・収益を形にできるスパン(周期)を早められる
・相場の動きに応じて定期的、継続的に相場に向き合う必要がある

 
このような違い、メリット、デメリットを踏まえて『投資』と『トレード(投機)』は、自分自身の「ニーズ」と、それに応じた「スキル」によって、それらに適したものを選ぶべきだという事です。

“どれくらいの周期や運用に要する時間を前提に、どれくらいの収益を見込んでいきたいのか。”

これが言わば「ニーズ」にあたるものであり、これは早いスパンで大きな収益を得られるに越した事は無いはずですが「短い期間で大きな利益を求めるほど、そこには高いリスクが伴うもの」になります。

故に、そのリスクをコントロールできる「スキル」が必要不可欠となるわけです。

実際に、そのようなスキルをしっかりと身に付けていく事が出来れば「大きな収益を短期間で実現していく事」も可能となり、逆にスキルが乏しい状況では然るべきリスクをコントロールできず、大きな損失を生んでしまう事にもなりかねません。

それこそ多くの投資家、トレーダーと呼ばれる人達は、そのようなスキルが乏しい状況にも関わらず、コントロール不能なリスクを抱えて『投資』や『トレード』を行っているのが現実だと思います。

結果、そのリスクを上手くコントロールする事ができず、大きな損失を生んでしまっているという事です。

そういったところも含めて、

『自分自身が「相応のスキル」を身に付けるだけの意欲と時間があるのかどうか』

が重要であり、それが根本として「無い」のであれば、徹底的にリスクを避けて「堅実性」を重視していくべきだと思います。

短期間で大きなリターンを求めるのであれば、まずは「それ相応のスキル」をしっかりと身に付けるべきであり、その上で、初めて実際に資金を動かしていくべきだという事です。
 

▼現時点の、私の投資、トレードスタイルについて。

ちなみに私は『投資』と『トレード(投機)』の両方を行っている形になっていますが『投資』の方は、自分が住む目的で購入し、実際に居住していた不動産の方が手狭となり、それを知人に貸している分の賃料が「利回り」として入ってきています。

都内の分譲マンションで購入時は9000万円くらいの物件でしたが、頂いている賃料が30万ほどなので、修繕費やら税金やらを抜きにすれば『年間で4%ほどの利回り』という感じです。

そう考えると短期で行っている『トレード(投機)』の方では「資金に対して4%」という年利を「一日」で実現してしまう事もザラですから「どっちが稼げているかで言えば、断然トレード(投機)の方が大きな利益を生んでいる状況」と言えます。

ですが『トレード』の方では、さすがに9000万円もの資金は投じていません。

また、それなりの利率を実現する際には、それなりの時間も取られていますので、不動産への『投資』の方は「大きな資金をほったらかしで運用する事ができている」という点に大きな違いがあると思います。

ただ、本当にトレードに向いている生粋の「トレーダー気質」の人なら、とにかく一番稼げるところに全ての資金を集中させて、より大きな収益を上げていくのかもしれません。

ですが、少なくとも、私はそういうタイプではなかったので、今のようなスタイルが自分には「合っている」と思っています。

つまり『投資』と『トレード』は、私のように「自分に合った形」でそれぞれに資金を配分していった上で、自分自身に合ったスタイルを形成していけば良いという事です。

 

投資家とトレーダー、世界で最も「成功」しているのは。

ちなみに「相場の世界で最も成功している人物」と言えば『アメリカの投資家、ウォーレン・バフェット氏』が筆頭にあがると思いますが、彼がやっているのは、米国株を中心とする完全な『長期投資』です。


 
彼の長期投資は「利回り(配当)重視」というよりは「企業の将来性や成長率を重視していくスタイル」であり、数年先、数十年先を見て、将来的に株価が何倍、何十倍になっているであろう銘柄の株を買い、長期間、保有していく手法を主としています。

つまり、相場の世界で最も「成功」している人は、短期的な相場を対象とする売買やレバレッジなどを一切使わず、長期的な『投資』を主とするスタイルでその地位を築いているわけです。

どんなに卓越したスキルを身に付けて、レバレッジを使って短期的な相場の動きを捉えているトレーダーも、結果論としては、ウォーレン・バフェットの実績(パフォーマンス)には勝てていません。

そんなウォーレン・バフェットが投資家として実現してる生涯利率は「年利22%ほど」という事で、これを50年以上に渡って継続する事で、彼は世界有数の大富豪になっています。

年利22%は100万円を1年で122万円にできればクリアできる数字ですが、これを50年近く「複利」で回転させた場合、その金額は3兆円近い金額になってしまうんです。

とは言え「年利22%」という数字は、これだけを聞くと、そこまで難しくは無いように思えるかもしれません。

現に資金に対して22%ほどの利益率なら、私自身も数日のパフォーマンスで実現できていることがザラにあります。

ですが、ウォーレン・バフェット氏が凄いのは年利22%という数字を『あらゆる相場状況において、何十億、何百億、何千億と増えていく資金に対し、50年以上に渡って実現し続けた事』であり、これが投資、トレードの世界では「ものすごく難しい事」なんです。

さすがに私も今、自分自身が確立している手法でウォーレン・バフェットのように何千億円もの資金を運用した事はありませんし、そのような大金で同じ利益率を実現できる自信も全くありません。

資金が大きくなるほど物理的にも、精神的にも、その「運用」は難しいものになるからです。

そんなバフェット氏の投資手法、パフォーマンスについては、別途、それらを考察している記事がありますので、よろしければ併せて参考にしてみてください。

>ウォーレン・バフェットの投資手法と利率の考察
 

以上、本講義では「投資」と「トレード(投機)」の違いと、そのメリット、デメリットについて講義させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、こちらも是非、参考にして頂ければと思います。
 

>株、為替(FX)、仮想通貨、どの相場(市場)が最も稼ぎ易いのか。

>仮想通貨、ビットコインFX、各取引所の比較と選び方について。
 

本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。