相場の世界で最も成功している人物と言えばアメリカの投資家である『ウォーレン・バフェット』が、その筆頭に挙がると思います。
 

 
この記事を書いている2019年時点のウォーレン・バフェットの保有資産は『約820億ドル(約9兆円)』という事で、昨年の世界の資産家ランキングでも3位に入っていました。

ちなみに1位はアマゾンの創業者であるジェフ・ぺゾス、2位はマイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツでした。

その他、ランキング上位者は大多数が世界的大企業の創業者が名を連ねている中、唯一「投資家」として名を連ねていたのが、世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェットです。

そんな「相場の世界で最も成功している人物」が、どのような手法で投資を行い、そして、どのくらいのパフォーマンスによって、その地位を築いてきたのか。

その投資手法などから「ウォーレン・バフェットの投資家としての実績」などを考察してみたいと思います。
 

ウォーレン・バフェットの投資手法と利率(年利)の考察

ウォーレン・バフェットが本格的に「投資」を始めた際の資金(元手)は、約2万ドル(約200万円)だったと言われています。

そこから約50年ほどで、ウォーレン・バフェットは、その2万ドルを800憶ドル以上にまで増やしてしまったという事です。

これを単純な倍率で言えば「資金を約40万倍にした」という事になりますが、資金を2倍にするのも簡単ではないと言われる投資の世界で、この『40万倍』という数字は「驚異的」としか言いようがありません。

ただ、このようなパフォーマンスを踏まえた、ウォーレン・バフェットの過去50年間の1年あたりの利率(年利)は『1カ月周期の複利運用を前提とした場合で約23%』という数字になります。

年利23%は100万円を1年で123万円にできればクリアできるパフォーマンスですから、これだけを聞くと、そこまで難しくは無いように思えるかもしれません。

ですが、仮に資金(元手)を100万円とした場合でも、年利23%を1カ月周期の「複利計算」で50年近く継続できた場合、計算上、その金額は3兆円を超えてしまいます。

これがまさに「複利の力」に他ならないわけですが『これを実際に実現していく事はとてつもなく難しい』というのが相場の世界の現実です。

年間で23%という利率は、1カ月あたりで言えば2%以下の月利で実現が可能であり、1日単位で計算すれば0.07%ほどでクリアできる数字ですから、

・100万円を運用して1カ月あたり2万円ほどの収益
・100万円を運用して1日あたり700円ほどの収益

これくらいの収益を12カ月間、365日と実現しいけば、年利23%というパフォーマンスは十分にクリアできる事になります。

そして、これくらいの数字を数日単位や数カ月単位、また、数年単位の範囲で実現していく事は、実はそこまで難しい事ではありません。

実際に私自身も「資金に対して23%ほどの利率」という数字は、ほんの数日で実現できている事がザラであり、月単位、年単位の利率だけを言えば、その何倍、何十倍のパフォーマンスを実現できています。

ですが、ウォーレン・バフェット氏が凄いのは年利23%という数字を『あらゆる相場状況において、何十億、何百億、何千億と増えていく資金に対し、40年間に渡って実現し続けた事』であり、これが投資、トレードの世界では「ものすごく難しい事」なんです。

さすがに私も今、自分自身が確立している手法でウォーレン・バフェットのように何千億円もの資金を運用した事はありませんし、そのような大金で同じ利益率を実現できる自信も全くありません。

資金が大きくなればなるほど物理的にも、精神的にも、その「運用」は難しいものになるからです。
 

「増え続ける資金」に対して利率を「維持」する事の難しさ。

投資の才能のようなものがあるとすれば、それは、どんなに資金が大きくなっても、同じ感覚でそれを動かせるかどうか。

これは国内でも有名なBNFというトレーダーさんが何かのインタビューで答えていたもので、投資の才覚は『10憶円を1000円と同じ感覚で動かせるかどうか』という事を発言されていました。

それだけ投資やトレードの世界では、資金が増えていくほど、それを同じように、同じ感覚で運用していく事が難しくなるものなんです。

例えば「物理的な売買(取引)」の面においても、資金が多くなれば、一回一回の注文量(売買量)も多くなるため、思うようなタイミングで全ての注文を「捌ききれない可能性」が生じてきます。

資金に対して思うように「買い切れない」「売り切れない」という状況が生じてくる事になるわけです。

また「精神面」でも、1000円分の売買を行う感覚と1憶円分の売買を行う感覚は大きく異なり、それを同じ感覚で取引(売買)していくというのは、やはり生半可な事ではありません。

このような取引上の物理的な問題や、精神面での負荷が大きくなる点で、投資、トレードの世界では、資金が大きくなればなるほど、高い利率を実現していく事が難しくなるとうことです。

私がウォーレン・バフェットが実現してきた「年利23%」という数字を数日のパフォーマンスで超えられているのは、まさにその運用資金が遥かに少額であるからに他なりません。

ただ、言い方を変えれば、運用資金を少額にすれば、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットが実現してきた利率を上回る事は十分に可能であるということです。

ただ、そのような物理面、精神面での障壁がある中で、ウォーレン・バフェットが年利23%という利率を長年、継続できた事には、当然ながら、相応の「理由(要因)」があります。

そしてそれは、他でもない『ウォーレン・バフェットの投資手法』にあるんです。
 

年利23%を実現し続けたウォーレン・バフェットの投資手法。

まず、ウォーレン・バフェットの投資手法は『長期投資を前提とする米国企業の株式投資』が主となっています。

その上で、株への長期投資は株主配当などを目当てにした「利回り重視の投資手法」と、その株の将来的な成長による「株価の上昇を見越した投資手法」に分かれますが、ウォーレン・バフェットの資産形成は主に後者の「株価の上昇」によるものです。

長期的に成長を続けていく事で、その「価値」がどんどん上昇していった株を、ウォーレン・バフェットは、まさに「長期間」に渡って保有し続けていく事で、今のような資産を形成していったわけです。

まさに「将来的な成長を見込める有望な企業の株だけを買う」というのがウォーレン・バフェットの投資手法であり、彼はそれを見極めるための分析のみを徹底して行っていると言われています。

その企業の業種、業態、経営者の資質といった内部的な情報の分析に重きを置き、一般的に『ファンダメンタル分析』と呼ばれるものを重点的に行っているという事です。

要するにウォーレン・バフェットは、その企業の「将来的な価値」を分析しているのであって、多くのトレーダーと呼ばれる人達が分析しているような「値動き(相場の変動)」などは、全く判断の対象にしていません。

今の時点で株価がどのように動いているかなどは「企業の将来性」を判断する上では、さほど関係が無いからです。

故に、ウォーレン・バフェットは、相場の動きを分析していく『テクニカル分析』と呼ばれるものは一切行っていないと言われています。

あくまでも、その企業自体の将来的な価値を判断するべく『ファンダメンタル分析のみを行った上で長期的な視点で投資を行っている』という事です。

よってウォーレン・バフェットは、自身の分析結果に基く「将来的な価値」が「現在の価値(株価)」よりも割安であれば、その割合が大きいほど、その企業の株は「買い」という判断を下します。

そして、仮にその株を購入した後に株価が下がってしまっても、その株価が下がれば下がるほど、その株は「更に割安になっている」という判断のもと、更にその株を買い増していくわけです。

その上で、ウォーレン・バフェットが捉える「企業の将来的価値」は『半永久的にその企業の業績と価値が上がっていく事』を前提としているため、ウォーレン・バフェットは一度買った企業の株を、とことん「手放さない事(売らない事)」でも有名です。

短期的な業績や価値の変動はあれど、長期的に見ていけば、常に業績と価値が上昇していく見込みのある企業の株だけを買っているため、よほどの事が無い限り、ウォーレン・バフェットは、一度買った企業の株を売りません。

そのような基準を前提に、ウォーレン・バフェットは「より高く、長い成長が見込める企業の株」を次々と買い進めていくスタイルで800億ドルという途方もない資産を作り上げています。

要するに『幾らになれば売る』といったような「売る事」を前提に株などを売買している投資家、トレーダーなどとは「資産運用(投資)というものの概念そのものが根本的に異なる」という事です。
 

ウォーレン・バフェットの投資手法と利率の考察。まとめ

このような『長期投資』を徹底しているウォーレン・バフェットは、まさに「その株を買うかどうか」を、その企業の『将来性』によって判断しています。

その判断の上で「半永久的な成長を見込める企業の株のみを買っている」という事です。

故に、どんなに運用資金が大きくなっていったとしても、その日、その時の相場での売り買いが強いて「必須」になるような事もないため、ウォーレン・バフェットは常にどっしりと腰を据えて投資を行う事が出来ているのだと思います。

何より、そのような「長期投資」を前提としている以上、短期的な相場(株価)の変動に対して、一喜一憂する事もありません。

結果、ウォーレン・バフェットは、資金が大きくなる事で生じる「取引(売買)上の物理的な弊害」や「精神的な弊害」を限りなく軽減できているわけです。

ウォーレン・バフェットが年利23%という利率を何千億円、何兆円という運用資金で実現できているのは、まさにこのような「長期的な視点を前提とする投資手法を徹底している事」が、その大きな要因の1つになっていると思います。

まさに、ここで言及したような『ファンダメンタル分析』を重視した、数年、数十年、強いてはそれ以上を見越していく「長期投資」こそがウィーレン・バフェットの投資手法に他ならないという事です。

▼私が「テクニカル分析」に重きを置いている理由

私自身も「資産運用」に興味を持ち、何かしらの形で「投資」を行っていこうと考えた際、

「まずは最も成功している人物の手法や考え方を学ぼう」

と思い、それこそウォーレン・バフェットの投資手法を勉強していくところからスタートを切りました。

そこからウォーレン・バフェットが師と仰ぐベンジャミン・グレアムの著書(「賢明な投資家」「証券分析」など)を読み漁り、まさにウォーレン・バフェットが行っているような「企業分析」を学んでいったわけです。

そういった経緯で、私は俗に言う『ファンダメンタル分析』を勉強してきたわけですが、私的にはどんなに勉強しても、そこに「明快さ」や「明確さ」のようなものを見出せず、実際に資金を動かしていくだけの確信を持てずにいました。

私の性格上、ハッキリとした「公式」や「方程式」のようなものを確立し、それに当てはめて「答え」にあたるものを導き出していける段階を1つの目安にしていたのですが、そこに至る兆しが一向に見えてこなかったんです。

そこで方向性を変えて行きついたのが、相場の「値動き」そのものに着目し、そこに「統計的な規則性」や「心理的な偏り」を見出していく『テクニカル分析』でした。

少なくとも私は、テクニカルの分野では、その「公式」や「方程式」にあたるものを明確化しやすく、実際に資金を動かしていく事が出来るだけの「納得のいく段階」にまで、それらの精度を高めていく事が出来たということです。

結果として、私は当初の段階で「学び」を重ねたウォーレン・バフェットの投資手法とは、あらゆる点で真逆の方向性で、自らの手法を確立していくに至りました。

ただ、これはやはり人それぞれの「適正」があって然るべきものだと思います。

ウォーレン・バフェットが行っているような、企業の将来性を判断するファンダメンタル分析に「答え」を見出せる人もいれば、私のようにテクニカル分析の方に答えを見出せる人もいるという事です。

ただ、どちらの分野にも、間違いなく成功を手にしている人はいますので「自分自身の適正に合った方を選ぶべき」というのが私自身の経験則を踏まえての見解です。

以上、本講義ではウォーレン・バフェットの投資手法と利率について講義させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、こちらも是非、参考にして頂ければと思います。
 
>ファンダメンタル分析とテクニカル分析の考察

>投資、トレードで稼げるようになるほど大きくなる精神的ストレスの考察。

>投資とトレード(投機)の違い。
 

本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。