相場(投資、トレード)の世界では「負ける人の方が多い」と言われています。

そして、これはおそらく実際にそうなのですが、本来、相場が「上がるか下がるか」の世界で、FXなどであれば「買い」と「売り」のどちらのポジションを持てるにも関わらず「負ける人の方が多くなる」というのは、単純に考えれば理屈に合いません。

例えばFXの場合、相場が上がれば「売り」のポジションを持っている人は損をしますが「買い」のポジションを持っている人は同じだけの利益を手にできる事になるはずだからです。

もちろん、その逆に相場が下がれば「買い」のポジションを持っている人は損をしますが「売り」のポジションを持っている人は同じだけの利益を手にできている事になります。

にも関わらず、何故、相場(投資、トレード)の世界では「負けてしまう人」の方が圧倒的に多いのか。

ここでは、その「要因」を明確にした上で、それを踏まえて「負けないためにどうするべきか」そして「勝つためにどうするべきなのか」を言及していきたいと思います。
 

相場(投資、トレード)で損をする人、負ける人が多い理由。

相場(投資、トレード)の世界で言う「負け」は、あくまでも『損益がマイナスになっている状況』であり、その逆に「勝ち」は『損益がプラスになっている状況』にあたると思います。

つまり、何らかの相場(市場)に資金を投じて「投資」や「トレード」を行った人の多くは『利益よりも損失の方を多く生み出してしまい損益がマイナスになっている状況(=負けている状況)にある』という事です。

ただ「相場(投資、トレード)」というものが、その「上昇」と「下降」を予測し、買った時は上がった分だけの利益を得られる反面、下がった分だけ損をする、また、FXであれば「売り」のポジションを持てば、その逆の形で「利益」か「損失」が生じていくものである以上、単純な理屈では「勝つ人」と「負ける人」に、そこまでの差が出るはずはありません。

にも関わらず、圧倒的に「負けている人(=損をしている人)」が多いのは『相場という「仕組み」に対して、そこに資金を投じていく投資家、トレーダー達の「心理」と「行動」が、最終的に「負け(損益のマイナス状態)」に向かうようになっている』というのが率直な答えになると思います。

と言うのも、相場(投資、トレード)においては、その相場が動けば動くだけ、その「値動き」に対して「利益」か「損失」のどちらかがどんどん膨らんでいくものであり、これがまさに『相場の仕組み』にあたるものです。

そして、その膨らみ続ける「利益」や「損失」は、原則として、資金を投じている側がいつでも自由に「止める」ことが出来ます。

一般的な「投資」で言えば決済(売却)、FXで言えば「ポジションの解消」によって、その時点の利益(含み益)や損失(含み損)を「確定」させる形で、相場から資金を引き上げられるわけです。

ただ、値動きに対して「利益」と「損失」が膨らんでいく『仕組み』に対して『いつでも資金を引き上げられる自由』が与えられている事で、それを行使していく「判断」には、必然的に投資家、トレーダー達の「心理」が介入していく事になります。

もちろん「それを行使していく判断」は各々の投資家、トレーダーがそれぞれ「自分なりの判断」で行っている事は間違いありません。

ですが、そのような損得が関わるような意思決定を下す人間心理には「統計的に見られる規則性」のようなものが存在します。

それこそ、ここで言うような「資金を引き上げる意思決定」には、

『プロスペクト理論(別名、損失回避心理)』

と呼ばれる人間心理の規則性に準じた「統計的な偏り」が生じるため、その理論に基づく意思決定の「偏り」が『相場(投資、トレード)で負けてしまう人』を「偏った形」で生み出し続けているんです
 

投資家、トレーダー達を「負ける方向」へと導く『プロスペクト理論』とは。

この『プロスペクト理論』は「損失回避の法則」とも呼ばれるもので、その理論そのものはそこまで難しいものではありません。

端的に言えば「多くの人は損失を避けるための意思決定を下しやすい」というもので、その裏付けとして、以下のような2つの選択(A or B)に対する回答の「統計的な偏り」で立証に至ったと言われています。

A:100万円を確実に受け取れる
B:2分の1の確率で200万円を得られるが、2分の1の確率で何も得られない。
⇒ 多くの人は何も得られないリスクを回避したい心理から「B」を選ばず「A」を選択する

A:200万円の負債が確実に半分(負債100万円)になる
B:2分の1の確率で200万円の負債が無くなるが、2分の1の確率で負債は変わらない
⇒ 多くの人は負債が残るリスクを回避したい心理から「A」を選ばず「B」を選択する

これらから分かる事として、目の前に『確実な利益』が提示されれば、その利益が2倍になる可能性があっても、多くの人は「確実な利益を失ってしまうリスクを避ける心理傾向」にあります。

ただ、それが『負債』となれば「その負債を確実に半分にできる選択」よりも2分の1の確率で「全てを無しにできる可能性」を選択する傾向にあるという事です。

人間心理の傾向として、確実に負債が半分になるとしても「無条件でその半分の負債を受け入れるような意思決定は下さない」というわけです。

もちろん、これはあくまでも「心理実験」として実施されたものですが、実際の相場(投資、トレード)においては、常にこのような意思決定の選択を迫られ続ける事になります。

『相場の変動によって生じた「利益」または「損失」を、そこで確定させるべきか、待つべきか。』

そのような意思決定の度に、多くの投資家、トレーダー達には、ここで挙げた『プロスペクト理論』に基づく「損失回避」の心理が作用していくわけです。

そのため、統計的に言えば「利益(含み益)を確定する意思決定」は早くなるものの「損失(含み損)を確定させる意思決定」は遅くなっていく事になります。

もちろん、そのような『プロスペクト理論に基づく意思決定』が良い結果を生む事もあるかもしれません。

ですが、重要、且つ問題なのは「思わしくない結果を生んでしまう時」です。

それこそ、投資やトレードを「一度の勝ち負けで手を引く」という前提なのであれば、勝つ人と負ける人の比率には、おそらくそこまでの差は出ません。

ですが、多くの人は投資やトレードを「やり続ける」ことを前提としているため、仮に『プロスペクト理論に基づく意思決定』が何度か良い結果に結びついたとしても、その後、いつかは、その意思決定が悪い方向に転ぶ時がやってきます。

その時に「損失(含み損)を確定させる意思決定」が遅くなれば遅くなるほど、その損失(含み損)はどんどん膨らんでしまう事になり、結果として、それまでに積み上げた利益を飛ばしてしまったり、最悪の場合は、資金の大半を、その一度の「負け」で失ってしまうという事です。

つまり『プロスペクト理論に基づく意思決定』では、利益を確定させる意思決定が早くなる傾向から、必然的に「小さな利益」だけを積み上げていく事になり、その反面、損失を確定させる意思決定が遅くなる分、負ける時の損失が大きくなってしまう傾向にあります。

まさに『相場』という「仕組み」に対して『そこに資金を投じていく多くの投資家、トレーダー達の「心理」と「行動」が、最終的には「負け」の方向へ転んでいくようになってしまっている』という事です。

▼ マインドコントロールの科学的根拠

ここで言及したように多くの人が相場(投資、トレード)で負けてしまう大きな要因は、他でもない投資家達、トレーダー達の「心理構造」にあります。

だからこそ、相場(投資、トレード)の世界においては、

「感情のコントロール(マインドコントロール)が重要」

と言われている事があり、これは決して自己啓発的なものや、根性論のようなものではなく「相場(投資、トレード)で負けないため」そして「勝つため」の『科学的な根拠』に基づいた見解に他なりません。

その意思決定の際に「感情」に流されてしまう事を避け、それを自在にコントロールできなければ「勝ち続ける事」は出来ないという事です。

そんな「感情のコントロール(マインドコントロール)」については、別途、その重要性を言及している記事がありますので、併せて参考にしてください。

>投資、トレードにおけるマインドコントロールの重要性

 

そんな「負けのメカニズム」を逆手に取る?

ここで挙げたような「多くの人が相場(投資、トレード)で負けてしまう心理要因」を理解し、それを意識的に「回避」していく事は一見、そこまで難しくない事のように思えるかもしれません。

単純に『プロスペクト理論と真逆の事をすれば勝てる(負けない)』というなら、利益の確定は急ぐような意思決定を避け、損失確定の意思決定を即座に行っていくようにすれば良いだけの話だからです。

実際にそれを徹底していく事ができるなら『プロスペクト理論』を前提とする「心理的敗因」は回避できるかもしれません。

ですが、その場合は次なる障壁として数学的な確率論の面で「負ける可能性」が生じてきます。

例えば、損失を確定させる範囲を狭めて一律させるルールを定めた場合、利益を確定させる範囲よりも損失を確定させる範囲が狭ければ、その分だけ「負ける可能性(確率)」は高くなります。

そのため、その「損失(含み損)の確定」を即座に行っていけばいくほど、運転資金はどんどん少なくなっていくんです。

その反面、プロスペクト理論を逆手に取っていれば、どこかで大きく利益(含み益)を膨らませる事が出来る局面もあるはずですが、それが「いつなのか」は、やはり分かりません。

よって、そのような「利益(含み益)を膨らませる事ができる状況」に至るまでに、どれくらいの負けを重ねる事になり、それまでに、どれだけの資金を失ってしまう事になるかも「わからない」という事です。

どんなに利益(含み益)を大きく伸ばせるチャンスが訪れても、その際の収益は、やはり「資金」に左右されるのが相場の世界の現実です。

故に、いざ「小さな負け(損失)を重ねて大きく勝つ(利益を得る)」という事を狙っても、その先立つ「小さな負け」の積み重ねで資金の大半を失っていては、トータル的に勝つ事(利益を上げる事)は出来ません。

プロスペクト理論に基づく意思決定を意識的に「回避」していく事を徹底していったとしても、必ずしも勝てる(利益を上げられる)わけではないのが相場(投資、トレード)の現実だという事です。

▼ 含み益に「天井」は無いが、含み損には「底」がある。

また、プロスペクト理論を逆手に取って利益(含み益)をどんどん伸ばしていこうとする場合、相場は常に「反転(折り返し)」の可能性があるため、確定させなかった利益(含み益)は次第に無くなってしまう可能性や、そのままマイナスに転換する可能性も十分にありえます。

ただ、これは「損失(含み損)」が膨らんでしまった際にも同じ事が言えるため、損失(含み損)がその後の相場の反転によって次第に無くなり、プラスに転換する事もありえないわけではありません。

ですが「含み益を膨らませる」というケースと「含み損を膨らませる」というケースは、そこに大きな「違い」があります。

それは天井(含み益)に限界点のようなものは無いものの、底(含み損)には限界点にあたるものが存在するという点です。

と言うのも「利益(含み益)」は実質的に「幾らでも伸ばせるもの」ですが、対する『損失(含み損)は資金が尽きた時点で手仕舞い』となります。

これは要するに利益を膨らませる事のできる範囲に限界はなく、損失を膨らませる事ができる範囲には「限界がある」という事ですから、一見は資金を投じていく投資家、トレーダー側にとって「有利な条件」のように思わるかもしれません。

ただ、これを「勝ち負け」を前提に考えるのであれば『勝ち』の方向に「終着点」は無い事に対して「負け」の方向にのみ、その『終着点』がある事を意味します。

まさに「相場がここに到達すれば勝ち」というゴールラインは無い事に対して「相場がここに到達した時点で負け」というラインは存在するため、その「終着点」に相場が到達した時点で、投資家、トレーダー側は資金が尽きてしまい、まさに「負け」が確定してしまうわけです。

とくにFXなどでレバレッジをかけて取引をしている場合、相場の変動によって膨らんでいった損失は、資金がショートする前に取引会社側の「ロスカットルール」によって強制的に決済されてしまいます。

故に、その「ロスカットルールの適用ライン」が実質的に損失を「含み損」として抱えられる限界点(=終着点)となるわけです。

このようなロスカットルールは、相場の変動によって資金以上の損失(借金)を作ってしまう事を避けられる反面、一度、ロスカットされてしまうと、その直後に相場が元に戻っていったとしても、強制的に決済された分の損失は、もう戻ってきません。

よって、相場が戻る状況を待ち続ける事もできなくなるため「ロスカットルールを適用される状況は、他でもなく負けが確定する状況」と言えます。

まさに「負けの方向にのみ終着点がある事」や、それを前提とする「レバレッジ」の仕組みや「ロスカットルール」なども、相場において『負けてしまう人』を増加させている大きな要因に他ならないという事です。

 
尚、相場(投資、トレード)においては、ここで言及したようなプロスペクト理論の逆を行く『利益(含み益)を伸ばす事が重要』という考え方と、相場が逆方向に動いていった際の損失(含み損)を自己判断で確定していく『損切りが重要』という考え方があります。

そんな「含み益を伸ばす事」と「損切りを行う事」については、それぞれ別途、以下のような記事がありますので、こちらも併せて参考にしてください。

>含み益は伸ばすべきなのか。有効な「利確(決済)ポイント」の考察。

>含み損に対する「損切り」の重要性と有効な損切ルールの考察。

 

その中で「勝ち続けている人」の共通点。

ここで言及した通り「多くの人が相場(投資、トレード)で負けてしまう要因は、その心理構造にある」と言っても過言ではありません。

相場という「仕組み」に対して、そこに資金を投じていく投資家、トレーダー達の「心理」と「行動」は『プロスペクト理論(損失回避の心理)』によって、最終的に「負け(損益のマイナス状態)」に向かうようになっています。

かと言って、意識的にその「真逆の行動」を徹底していったとしても「小さな負け(損失)」を高い確率で次々と積み重ねていく事になってしまい、限りある資金がどんどん少なくなってしまう事から、やはり「勝ち続ける事」は難しいのが現実です。

そこに輪をかけて「負けの方向にのみ終着点がある事」に伴うレバレッジの仕組みや「ロスカットルール」などによって「負けてしまう状況が作られる可能性」は更に高くなるため、とくに「レバレッジ取引」を前提とするようなFXトレーダーなどは「負ける人」の割合が多くを占める結果となっていくわけです。

とは言え、そこに「負ける人」がいる以上、そこでは確実に「勝っている人」が存在し、また、その中には『勝つべくして勝ち続けている人達』も存在します。

少なくとも、ここで言及してきた内容は、相場を予測するための『分析』や、実際に資金を投じていく際の『ルール』や『リスクヘッジ』などを、完全に度外視した上での理論であるため、それらが不十分な投資家、トレーダー達の末路を示したものに他なりません。

逆に言えば、相場の値動きを捉える『分析』や、その上で資金を投じていく『ルール』や『リスクヘッジ』を徹底できている投資家、トレーダー達が、それらが不十分な人達の「負け分」を、着々と自らの「利益」に変えていっているという事です。

よって、相場(投資、トレード)の世界における「勝ち負け」は、

・相場の変動(動き)を高い精度で分析(予測)するスキル
・その上で有効となるトレードルールとリスクヘッジ

この2つの武器によって左右されると言っても過言ではなく、これらを確立し、徹底している投資家やトレーダーこそが少数派の「勝ち組」となって、相場の世界から多額の収益を抜き取り続けています。

対して、相場で「負けている人」や「負け続けている人」は、そのような「スキル」や「ルール」を確立しようともせず、ただ闇雲に相場に向かっているか、それらを確立している「つもり」で不十分なスキルやルールを頼りに資金を投じている可能性が高いと言わざるを得ません。

だからこそ「相場」に対して実際に資金を投じていく際は、まずはしっかりとその値動きを分析するスキルを高め、それに準じたトレードルールをしっかりと確立する必要があると思います。

そこに感情を持ちこんでしまうほど、投資、トレードでは、一時的な勝ち(利益)を拾う事はできても、まず「勝ち続ける事」は出来ません。

とくにFXなどで資金に対して「レバレッジ」をかけるのであれば、それに準じたリスクヘッジを徹底できるトレードルールの確立が必要不可欠だという事です。

▼有効なトレードルールを確立するために。

ここで言及したような「相場の動きを分析するためのスキル」とそれに伴う「有効なトレードルールの確立」は、それらを1から確立するとなれば、まずどこから手を付けていけばいいものか、路頭に迷ってしまうものだと思います。

ただ、本当に1からそれらを確立していく段階にあるなら「まずは最初にやるべき事、学ぶべき事がある」というのが私の見解で、この点については、以下のような講座を併せて参考にして頂ければと思います。

>投資、トレードで成功するためにまずやるべき事、学ぶべきこと

闇雲にあれこれ情報を集めて、どこから手を付けていいか悩んでしまうよりは「まず、やるべき事、学ぶべき事」を明確にした上で、そこから1つ1つ然るべきステップを踏んでいく事をお勧めします。

 
以上、ここでは「相場(投資、トレード)で損をする人、負ける人が多い理由」を考察すると共に「その要因を踏まえて勝つために行うべき事」を言及させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、こちらも是非、参考にして頂ければと思います。
 
>投資、トレードで成功するためにまずやるべき事、学ぶべきこと

>投資、トレードで成功するため、失敗しないために重要な3つのルール


本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。