このブログの主題でもある「テクニカル分析」は『過去から現在までの相場の動向から、今後の相場の動向を分析(予測)していく事』を意味します。

ただ、テクニカル分析の本質は値動き(チャート)そのものの分析にあるのではなく『その相場の動きを捉える投資家、トレーター達の心理を分析する事』にあります。

過去から現在までの値動き(チャート)を踏まえて、多くの投資家達が、今後の相場をどう捉えるのかを分析していく事こそがテクニカル分析の本質に他ならないという事です。

そして、テクニカル分析の本質が『値動きにおける投資家心理の共通性、規則性を見つけ出す事』である以上、そのような「心理動向」における規則性は、市場(相場)によって変わるものではないと思います。

株の相場、為替の相場、仮想通貨の相場、どこの相場で売り買いを行って投資家、トレーダーも「人」として持っている心理傾向は共通しているはずだからです。

故に、私は『本当に有効なテクニカル分析の基準は、ありとあらゆる相場(市場)において有効でなければならない』と考えています。

だからこそ、私は『その条件を満たせる分析基準』を追求し、日々、そのための研究と検証を重ねているわけです。

この「テクニカル分析の本質」と「その本質に基づく本当に有効なトレードルール」については、この部分をより深く言及している記事がございますので、こちらも併せて参考にしてください。

>テクニカル分析の本質に基づく「本当に有効なトレードルール」の条件とは。

ですが、そのような「本質」を前提とする上でも、株、為替、仮想通貨など、それぞれの相場には、それぞれの「特色」があるため『テクニカル分析との適合性(相性)』には、相応の差異が存在します。

要するに「テクニカルの傾向に沿った値動きが極めて高い確率で再現される相場もあれば、その再現率、再現度の誤差が大きい相場もあるという事です。

そこで、ここでは『テクニカル分析との適合性が高い相場(市場)とそうではない相場(市場)』について、言及していきたいと思います。
 

テクニカル分析による相場の予測が最も有効と考えられる市場について。

まず、私自身のテクニカル分析に基づく相場の研究、検証を重ねてきた上での結論として『テクニカル分析との適合性が最も高い相場(市場)は、群を抜いて仮想通貨の相場(値動き)』です。

ただ、相場において「テクニカル分析に基づく相場傾向」が生まれるには、それ相応の取引量(出来高)が必要であるため、ここで言う『仮想通貨』はビットコインなどの主要通貨が対象となります。

取引量(出来高)が少量過ぎる相場では、一部の市場参入者の強引な売買注文で容易に値動きが偏ってしまう場合があるからです。

対して、ここで言う『テクニカル分析と値動きの適合性(相性)が最も低い傾向にある相場は株式相場』であり、その適合性において『中間の位置付けとなるのが為替相場』です。

よって「株」「為替」「仮想通貨」といった、投資やトレードの主な対象となる相場の『テクニカル分析と値動きの適合性(相性)の高さ』は、以下のような順列となります。

仮想通貨(ビットコインなど) > 為替相場 > 株式相場

要するに、仮想通貨が最もテクニカル分析に基づく値動きを再現しやすく、株式相場が最もテクニカル分析に沿わない値動きを見せる傾向にあるという事です。

では、実際にこのような結果(傾向)が明かな形で生じている要因を、それぞれの市場における特色などから1つ1つ考察していきたいと思います。
 

株式相場の特色とテクニカル傾向。

まず『株式相場』が、テクニカル分析と値動きの適合性(相性)が最も低い傾向にあるのは、為替相場や仮想通貨の相場に対して、株式相場が最も「ファンダメンタルの影響が強い事」に起因します。

もちろん、いずれの相場においても「ファンダメンタルの影響」はあるものですが、その影響の「度合い」や「明確さ」は、他の相場の比ではありません。

株の相場(レート)は、為替や仮想通貨の相場(レート)と比較して『最も強くファンダメンタルに関連付いている』という事です。

実際に「株」のレートは、それがどのような銘柄の株価であっても、その時点の「在るべき株価」をファンダメンタル分析で算定し、説明付ける事ができます。

少なくとも、株を市場に公開している上場会社の株式であれば、その時点の資産状況や営業損益の推移などが全て明確になっています。

故に、その「適性価格」にあたるものをファンダメンタル分析で算定し、ある程度の範囲で明確にする事ができるわけです。

そして、実際のレート(株価)においても、ある程度はその「適性価格」を水準に推移する傾向にあり、その適正価格を著しく逸脱したレートになるような事もまずありません。

よって株のレート(株価)が大きく変動する時は、何らかのファンダメンタル要因によって、それに基づく適性価格が大きく見直されている可能性が高いと考えられます。

そのような場合も、やはりテクニカル分析の有効性は薄れる傾向にあるため『株式相場の値動きは原則、ファンダメンタルに基づく形で推移している』という事です。

▼ 私が株式相場の研究と検証にさほど力を入れていない理由

私が「テクニカル分析を前提とする相場の研究」において、株式相場を対象とする研究や検証を率先して行っていない理由は、ここで言及した『株式相場の特色とテクニカル傾向』に起因しています。

テクニカル分析で株式相場を攻略しようとする行為は合理的ではなく、株の相場を攻略するのであれば、あくまでもファンダメンタル分析に力を入れるべき、と考えているからです。

とは言え、その「ファンダメンタルに基づく値動き」の中でも「テクニカル分析に基づく売買」が介入していく余地はありますので、テクニカル分析が通用しないわけではありません。

ただ「株式相場のテクニカル分析」は、あくまでも「ファンダメンタルに基づく適性価格」が前提となる中で、その有効性を発揮できるものという事です。

為替相場の特色とテクニカル傾向。

先立って言及した「株式相場の特色」を前提とする場合、為替相場は、株式相場ほどファンダメンタルの影響が「レートそのもの」に関連付けられる傾向にはありません。

そもそも為替相場は、あくまでも「法定通貨のレートの差」であり、ドル円相場であれば、円に対するドル、ドルに対する円のレート変動を「相場」の対象としていくものです。

この時点で、すでに2つの法定通貨の価値を分析する必要があり、1つの法定通貨を対象とするのみでも、その「適性価格」にあたるものを分析する事は決して容易ではありません。

そもそも「法定通貨の価値」に、株価のような「適性価格」にあたるものが存在するのかどうかも定かではなく、そのようなものの「価値の分析」はそう簡単に行えるものではないからです。

もちろん、米国で大規模なテロが起きた場合などは「ドルが売られる要因」となり、このような事件や情報が相応のファンダメンタル要因となる事は間違いありません。

ですが、そのような何らかのファンダメンタル要因によって

「ドルに対する円の価値が幾らになる」「それが幾ら変動する」

といったレート変動の「範囲」を的確に分析して算定する事は、ほぼ不可能に近いと思います。

つまり、そのファンダメンタル要因がレートの上昇要因となるか、下降要因となるかまでは判断できても、その範囲(どれくらい上昇、下降するか)の分析までは「行えない」という事です。

よって、何らかのファンダメンタル要因によって生じたレートの変動が「不十分か」「過剰か」といった判断の最終的な拠り所となるのは『テクニカル分析に基づく範囲』という事になります。

それ以外の拠り所や判断材料が無ければ、必然的に多くの投資家、トレーダーは「テクニカル分析」を前提に、レート変動の範囲を予測していくしか無いからです。

その判断材料がテクニカル分析に基づくもの以外に無ければ、当然、その相場は「それに基づく売買」によって変動していく(動いていく)事になります。

つまり、為替相場におけるレート変動は、ファンダメンタルが「引き金」となる事はあっても『そこからの値動きの範囲や、その予測はテクニカル分析に基づく傾向にある』という事です。

▼ 為替相場における「現在レート」の決定要因

先立って言及した通り、株式相場における「株価」は、ファンダメンタルとそれに基づく売買によって定まっていく傾向にあります。

これに対して、為替相場における「現在のレート」は『テクニカル分析の連鎖による結果』という見方が出来るわけです。

このような点で、ファンダメンタルの影響の強さや範囲は、株式相場と為替相場とでは大きく異なり、それが為替相場におけるテクニカル分析の適合性にそのまま反映されているわけです。

更に為替相場は、あらゆる国の法定通貨間のレートや、その変動状況が相関して影響を及ぼし合っているため、この事が更にテクニカル分析を「一筋縄ではいかないもの」にしています。

私自身、この「為替相場間における相関関係」は、これのみを別途、研究の対象にしている段階で、為替相場のテクニカル分析はこれをしっかりと攻略する必要があるという事です。

仮想通貨(ビットコイン)相場の特色とテクニカル傾向。

そして、テクニカル分析と値動きの適合性が最も高く現れている「仮想通貨の相場」は、株式相場、為替相場と比較して、最も「ファンダメンタルの影響を受けにくい相場」と言えます。

ビットコインをはじめとする「仮想通貨」は全般的に、その「適性価格」にあたるものが根本的に不透明であり『その価値を算定する術が無いに等しい』からです。

それこそ株式相場における「株価」は、ファンダメンタル分析で適性価格を算定できるものであり、為替相場も、その国の経済状況などから、ある程度の算定を行える「余地」はあるものだと思います。

ですが、ビットコインなどの仮想通貨に関しては、そのような「価値の算定に用いる事ができる指針となるものが無いに等しい」のが実情です。

よって、仮想通貨のレートは実質的に『需要(買い手)と供給(売り手)の間で結果的に定まっているもの』としか言いようがありません。

ただ、それが現実に「投資」や「投機」の対象となっている以上、買う側も売る側も、その売買の判断における拠り所は、やはり「テクニカル分析に基づく判断」という事になります。

故に、ビットコインなどを始めとする主要な仮想通貨の相場(レート)は「テクニカル分析に基づく売買によって変動している」と言っても過言ではないわけです。

そして、実際にそうであるからこそ、私自身の「検証」の上でも、ビットコインの相場は「テクニカル分析との適合性」が非常に高く『ほぼテクニカルの基準通りの範囲で動いている』という事です。

もちろん、仮想通貨の相場においても、仮想通貨全般において「プラス材料となる何か」や「マイナス材料となる何か」がファンダメンタル要因となる場合もあります。

ただ、そのようなものは『レートを変動させる引き金』にはなるものの、それが仮想通貨の価値や適性価格を決定付ける要因などには、まずなりません。

よって、それが引き金となった後における仮想通貨の値動きは、テクニカル分析によって十分に予測できるという事です。

 

テクニカル分析と値動きの適合性が最も高い相場。結論

相場のレート(値動き)は、原則として「投資家、トレーダー達の売り買いとそのバランス(需要と供給)」によって変動しています。

そして、その「売買」と「判断」は『ファンダメンタル分析に基づくもの』か『テクニカル分析に基づくもの』のどちらかであり、これら以外の判断材料は無いに等しいのが実情です。

故に、その「価値(適性価格)」や「価値の変動範囲」がファンダメンタル分析によって明確になるものほど、テクニカル分析の適合性は弱くなる傾向にあります。

対して、それらを明確にできないものほど、最終的な価値やその変動範囲は「テクニカル分析に基づく判断」に左右される形になるため、テクニカル分析と値動きの適合性も高くなる傾向にあります。

よって「株」「為替」「仮想通貨」といった、投資、トレードの主な対象となる、これらの主要相場における『テクニカル分析と値動きの適合性(相性)の高さ』は、

仮想通貨(ビットコインなど) > 為替相場 > 株式相場

このような順列となり、仮想通貨が最もテクニカル分析に基づく値動きを再現しやすいという事です。

私自身が実際に行っている「相場検証」の上でも、この適合性の違いは明らかであるため、利益追求を前提とするトレードにおいては、主に仮想通貨(ビットコイン)の相場を対象としています。

ただし、これについては、ここで言及した『テクニカル分析と値動きの適合性とは別の理由』もありますので、そちらについては以下の記事も併せて参考にしてみてください。

>ビットコインの相場が投機(トレード)において有利な3つの理由

 
以上、本講義では『テクニカル分析と値動きの適合性が最も高い相場』を、私自身の相場研究、検証結果に基づく形で言及させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、よろしければ併せて参照してみてください。
 

>株、為替(FX)、仮想通貨、どの相場(市場)が最も稼ぎ易いのか

>仮想通貨、ビットコインFX、各取引所の比較と選び方について

>ビットコインの投資、保有を「ノーリスク」にする方法
 

本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。