ビットコインなどを筆頭とする「仮想通貨の売買」や「証拠金取引(FX)」を行っていくには、仮想通貨の取引所に「取引口座」を開設する必要があります。

その上で、仮想通貨には『販売所』と呼ばれるものと『取引所』と呼ばれるものがあり、仮想通貨を始めて扱うような人からすると、この違いが若干、分かりにくい傾向にあるようです。

実際にこの『販売所』と『取引所』を同じものと扱った上で比較しているようなサイトも多くあるのですが、実際にどちらを使うかで収益面を含めて大きな違いが出てきます。

そこを含めて、ここでは仮想通貨における「販売所」と「取引所」の違い、そのメリット、デメリットなどを言及していきたいと思います。
 

仮想通貨、ビットコインの「販売所」と「取引所」の違い。

仮想通貨の売買を行えるサイトの中には『販売所』と『取引所』の両方を兼ねた形で運営されているサイトもあり、その上で仮想通貨の売買を行えるサイト自体を「取引所」と呼んでいる傾向にあります。

よって、一般的に言われている仮想通貨の「取引所」は、その中で『販売所』を兼ねているものもあるという事です。

その上で仮想通貨における『販売所』と『取引所』の違いは何かと言うと、簡潔に言えば「仮想通貨の売買を行う形式(仕組み)の違い」です。

『販売所』は、その運営元と直接的な取引(売買)をする場所を言うのが一般的で、対する『取引所』は、そのサイトを利用しているユーザー同士による取引(売買)を行う場所の事を言います。

その上で、以下は『販売所』の方の実際の取引画面になりますが『販売所』では、その運営元が仮想通貨のレートに沿った「購入価格(買う場合の価格)」と「売却価格(売る場合の価格)」を以下の赤丸、青丸の部分のように併せて表示しているようなサイトが一般的です。


 
上記は私が主に利用している「bitFlyer(ビットフライヤー)」というサイトの『販売所』の取引画面ですが、ご覧の通り青い丸で囲った部分には「購入価格」が表示され、赤い丸で囲った部分では「売却価格」が表示されています。

この「購入価格」と「売却価格」は、レート(相場)の変動で常に変わっていきますが、仮想通貨の『販売所』では、これらの表示金額で、そのサイト自体と仮想通貨の直接的な取引(売買)が行えるようになっているわけです。

上記の画像のような状況で言えば、ビットコイン1枚を「買う」のであれば『440,272円』で購入が可能であり、ビットコイン1枚を「売る」のであれば『418,048円』で売却できる状況だったという事です。

 
対して『取引所』の方では、以下のよう『板』(赤い四角で囲った部分)と呼ばれるものを介して同じサイトの利用者同士が取引(売買)できる形になっています。


 
上記画像内で四角く囲った部分にあたる『板』と呼ばれるところには、サイト利用者が指定した「売りたい価格」と「買いたい価格」が、それぞれ表示されていく仕組みになっています。

この「板」を見ながら、売り手(売りたい利用者)と買い手(買いたい利用者)が「競り」を行いつつ、各々が取引(売買)を行えるようになっているわけです。

上記の画像のような状況で言えば、最も安く「売り」に出されている注文が『0.0099枚のビットコインを429,655円』であり、対して最も高い「買い」の注文は『0.4枚のビットコインを429,508円』となっています。

よって、この時点でビットコインを買いたい場合は「429,655円で0.0099枚はすぐに買える」という事であり、売りたい場合は「429,508円で0.4枚はすぐに売る事ができる」ということです。

 
ここでは『販売所』も『取引所』も「bitFlyer(ビットフライヤー)」の取引画面をお見せしましたが、仮想通貨の売買を行えるサイトの中には、この「bitFlyer(ビットフライヤー)」のように『販売所』と『取引所』の両方を兼ねたサイトも少なくありません。

また「取引所」と呼ばれながらも、その実質的な提供サービスは『販売所』というサイトもあるため、仮想通貨の売買を行えるサイトが全般的に「取引所」と呼ばれている傾向にあります。

よって、この通称上の「取引所」は、

・サイト側がレートに沿った購入価格、売却価格を提示する形のサイト:取引所
・板によってユーザー間で取引(売買)を行えるサイト:販売所)

このいずれかのサービスを展開しているサイトか、その両方を兼ねたサイトに分かれるという事です。
 

『販売所』と『取引所』のメリット、デメリット。

こうしてお伝えしてきた『販売所』と『取引所』の違いを踏まえて、それぞれにどのようなメリットがあり、端的に「どっちを使う方がお得なのか」という点ですが、分かりやすい考え方としては、

・大量(多額)の仮想通貨を購入・売却する場合は「販売所」を利用する方がお得
・少量(少額)の仮想通貨を購入・売却する場合は「取引所」を利用する方がお得

これがそれぞれを有効に利用する上での1つの基準かと思います。

まず『販売所』の方は、サイト側が提示している価格で数量を問わず売り買いを行う事ができるため、大量(多額)の注文を一気に通してしまう事が出来るのが『販売所』のメリットです。

よって、億単位の大量(多額)の注文を出して、一気に取引を完了させてしまいたい場合などは『販売所』を使った方が「お得な取引」を行えると思います。

対する『取引所』の方は、先ほどもお見せしたような「板」に出ている注文が取引のベースになるため、大量(多額)の注文を一気に通すような事はできません。

ただ『取引所』の方が、ほぼ間違いなく「割安な価格帯」で仮想通貨を購入する事ができる傾向にあるため「少量(少額)の売買であれば、確実に『取引所』の方を使う方がお得」です。

と言うのも『販売所』の方は現在のレートに対して「運営サイト側の利益」を確保できるような形で「購入価格」と「売却価格」の両方を提示しているため、買う場合の価格はレートよりも高めに、売る場合の価格はレートよりも低めに設定されている傾向にあるんです。

対する『取引所』は、あくまでもサイトの利用者側が「レートに近い金額」を互いに競り合いながら指定していく事になるため『販売所』の方に生じているような「レートとの乖離」はほとんどありません。

その上で『取引所』の方は、サイト側が売買時に「手数料」を取られる形になっている場合もありますが、それでも『販売所』を利用するよりも有利な取引を行える場合がほとんどです。

そのため、少量(少額)の取引であれば『販売所』よりも『取引所』を利用した方が「お得」なわけです。

ただ、仮に大量(多額)の注文を通したい場合でも、指定する価格によっては『取引所』の方で通せない事もありませんし、時間をかけていいなら『取引所』の方で大量(多額)の注文をゆっくり通していく事も出来ます。

ですが、その間に、またどんどんレートが自分にとって、不利な方向に動いてしまう可能性もあるため、とにかく「今のレート」で一気に大量(多額)の注文を通してしまいたい場合は『販売所』を使ってしまった方が、早く、確実だという事です。

 

仮想通貨、ビットコインの『販売所』と『取引所』の違い。まとめ

以下、ここまででお伝えしてきた仮想通貨の『取引所』と『販売所』についてのまとめです。

販売所:サイトの運営元と仮想通貨の売買を直接的に行えるサービス

運営元がレートに沿った形で提示している「購入価格」と「売却価格」によって売買する

・購入時の価格、売却時の価格の双方に運営元の利益分の価格が乗せられている
 (「取引所」に対して、買う時は割高となり、売る時は割安となる)

・提示されている価格で大量の注文を一気に通す事ができる
 (数量の多い注文をすぐに通りたい場合に有効)

取引所:同じサイトを利用するユーザー同士で仮想通貨の売買を行えるサービス

サイトの利用者による売り買いの注文が羅列された「板」を介して取引(売買)を行う

・レートに近い取引を行えるため「販売所」よりも有利な価格帯で売買を行える
 (サイトによっては売買時に手数料がかかる)

・数量の多い注文になるほど一気に通す事が難しくなり、時間がかかってしまう場合がある
 (その間にレートが不利な方に変動してしまう可能性もあるため数量の多い注文には不向き)

 
尚、有名どころの仮想通貨の取引所で『販売所』のサービスを展開しているのは、

・GMOコイン
・DMM Bitcoin
・BITPoint(ビットポイント)

あたりで、板取引を有する『取引所』の方のサービスを展開しているのは、

・bitFlyer(ビットフライヤー)
・bitbank(ビットバンク)

などになりますが、上記で挙げた「bitFlyer(ビットフライヤー)」は『販売所』のサービスも併せて展開しているためお勧めです。

追記:GMOコインも『取引所』のサービスを併せて開始した模様です。
 

▼多くの人が利用している『販売所』の現実

現状、私はそこまで大量の仮想通貨の現物を一気に売り買いするような事は無いため『販売所』の方は、まず使いません。

ただ『販売所』は、表示されている金額でそのまま売り買いをするだけという仕組みがシンプルで分かりやすいため、仮想通貨を売買している人の多くは取引量を問わず『販売所』の方を利用している傾向にあります。

仮想通貨の『取引所』における「板」による取引は、未経験者にはちょっと複雑に見えるのかもしれません。

また、先ほど挙げたようなGMOやDMMと言った有名企業の大手取引所も『販売所』のサービスをメインに運営していますので、その点でも仮想通貨は『販売所』を利用して売買を行っている人が多い事が伺えると思います。

ですが『販売所』による売買価格は、例えばビットコインであれば「購入価格」と「販売価格」で以下のように2万円以上の開きがある事もザラです。
 

 
上記の画像を保存したタイミングで言えば購入価格の『440,272円』に対して売却価格は『418,048円』ですから、この販売所でそのまま「売買」をする場合、購入した時点で2万円は値上がりしない限り、利益が出ない事になります。

言い方を変えれば『418,048円』でしか売れない仮想通貨を『440,272円』で「買わされる」わけです。

もちろん、板による取引でも「買い」の価格と「売り」の価格に多少の開きはありますが、以下の通り『販売所』ほどの「開き(価格差)」はありません。
 

 
ご覧の通り、注文における「数量」に差はありますが「買い注文」の最高値は『429,655円』で「売り注文」の最安値は『429,508円』ですから、その「開き」は『たったの153円』です。

このような購入価格と売却価格の「差」の事を『スプレッド』と言うのですが、これが開いているほど、そこでの取引は「不利」になっていきます。

そして、上記の『販売所』と『取引所』の画像は「bitFlyer(ビットフライヤー)」というサイトで、全く同じタイミング(※2019年3月)に保存したものなので、同じサイト内で同じビットコインを購入する上でも、

販売所:440,272円/1枚
取引所:429,655円/1枚

と、ここでも1万円以上の「価格差」があり、同じタイミングで売却するにしても、

販売所:418,048円/1枚
取引所:429,508円/1枚

と、やはり1万円以上の差がありますから「いかに『販売所』で売買する事が不利(損)であるか」は一目瞭然だと思います。

それこそ億単位以上の大量の注文を一気に出すような人以外は『販売所』の方を使うメリットは、ほぼ「無い」に等しいと言わざるを得ません。

ですから、決して安易に「簡単そうなもの」を選ぶのではなく『そこにどれくらいの違いがあるか』を冷静に考えて、各サービスを利用していくようにしてください。
 

従来、為替のFX会社などがここで言う『販売所』の形式を取り、株の取引(売買)は『取引所』のような板取引の形式が主流となっています。

ただ、為替のFX会社は仮想通貨の『販売所』ほど過剰なスプレッドは設定されておらず、100円前後を推移しているドル円で「0.3銭(0.003円)」などが水準的な金額です。

その「比率」で言えばドル円を100円で換算しても「0.00003%」という事ですから、40万円台のビットコインに2万円というスプレッドがいかに「異常なほど高い(比率で言えば5%)」かは、為替との比較でも明白かと思います。

それだけ仮想通貨の『販売所』は「過剰すぎるスプレッドを設定している傾向」にありますので、仮想通貨の取引(売買)は、私は『取引所』のご利用をお勧めします。

 
(追記)ここ最近、GMOやDMMなどの大手では『販売所』におけるスプレッドを数百円台まで狭めてきている模様です。為替に比べれば、まだまだ高い状況ですが、今後は業界全体としても過剰なスプレッドは押さえられていくかもしれません。

 
以上、ここでは仮想通貨における「販売所と取引所の違い」と、それぞれのメリット、デメリットを言及させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、こちらも是非、参考にして頂ければと思います。

>仮想通貨、ビットコインFX、各取引所の比較と選び方について。

>仮想通貨、ビットコインFX、各取引所の手数料とスプレッドについて。

>株、為替(FX)、仮想通貨、どの相場が最も稼ぎ易いのか。
 

本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。