投資、トレード界隈の「相場」の世界には、世界的に著名な投資家、投機家(トレーダー)として名を残している人物が少なからず、存在します。
その中で、私は以下、3名の投資家、投機家の名前が入る関連書籍は、その大半に目を通してきました。
▼「オマハの賢人」ウォーレン・バフェットの関連書籍。
『スノーボール』『ウォーレン・バフェット成功の名語録』『ウォーレン・バフェット賢者の教え』『ウォーレン・バフェット巨富を生み出す7つの法則』『株で富を築くバフェットの法則』『バフェットからの手紙』『伝説の投資家バフェットの教え』等 |
▼「イングランド銀行を潰した男」ジョージ・ソロス氏の著書、関連書籍。
『ソロスの錬金術』『ジョージ・ソロス伝』『ジョージ・ソロス投資と慈善の哲学』『相場の心を読む、ソロスは警告する』『ソロスの講義録』等 |
▼「ウォール街のグレートベア」ジェシー・リバモア氏の著書、関連書籍。
『世紀の相場師ジェシー・リバモア』『リバモアの株式投資術』『孤高の相場師リバモア流投機術』 |
ウォーレン・バフェットとジョージ・ソロスは、言わずと知れた「世界3大投資家」の筆頭2名(あと一人はジム・ロジャース氏)。
もう一人の「ジェシー・リバモア」は国内の有名投資家の一人であるBNFさんが唯一、目を通した投資関連の書籍として、この人物の著書を挙げていた事がきっかけで興味を持ちました。
ここで名前を挙げたBNFさんのように、日本国内にもそれなりに「有名」な投資家、トレーダーにあたる方はいますが、日本特有の国民性?からか、彼のようにツイッターや掲示板サイトのハンドルネームのみが知られているような人(テスタ氏、cis氏など)が数名いる程度です。
ただ、世界的に著名な投資家、トレーダーと比較してしまうと日本国内で「有名」と言われいる方々の資産や実績は、やはり「そこまで」ではないのが実情のようです。(もちろん、隠れてワールドクラスのトレーダーくらい稼いでいる人もいるかもしれませんが) |
今回は、そんな私がその関連書籍を読み漁ってきた3名の著名な投資家、投機家(トレーダー)に共通する、投資、トレードにおける「鉄則」について講義していきたいと思います。
▼ 3名の来歴と関連書籍について世界3大投資家の一人、ウォーレン・バフェットは「投資の世界」で、おそらく最も成功している人物で、複利計算で約21%のリターンを約50年間に渡って継続し、総資産は今現在も常に数兆円代を推移していると言われています。(3名の中でおそらく最も多くの書籍が出ていますが、実は「本人が執筆した著書」は1冊もありません)
「これだけは共通している」 と言えるものもありましたので、ここではそんな彼等が共通して述べていたとされる「相場における鉄則」を取り上げていきたいと思います。 |
ウォーレンバフェット、ジョージソロス、ジェシーリバモア共通の鉄則とは。
第1ルール、損しないこと。第2ルール、第1ルールを忘れるな。-ウォーレン・バフェット |
生き残れ。儲けるのはそれからだ。-ジョージ・ソロス |
金を失ってはならない。資金はトレーダーの命綱である。-ジェシー・リバモア |
これらは三者それぞれの関連著書にも見受けられた言葉であり、わりと一般的にも有名なものになりますが、彼等は共通して『損をしない事の重要性』を投資における鉄則として強調しています。
もちろん、投資やトレードは「儲けるため」に行うものに他ならないため、そこで「損をしない」という事は、当然のことのように思えるかもしれません。
ですが、彼等を含めて多くの著名な投資家、トレーダーが投資、トレードにおいて「儲ける事」よりも「損をしない事」に重きを置いている傾向は、極めて顕著に見受けられます。
つまり、利益を上げる事、資金を増やす事を第一に考えているのではなく、とにかく「損をしない事」「資金を減らさない事」を第一に考えているわけです。
これは一見、同じ事のように見えて、投資、トレードの世界では全くもって「別次元な事」であり、実際に成功している投資家、トレーダーほど、やはり「勝つ事」よりも「負けない事」に重きを置いています。
ここで言及した投資、トレードにおける「勝つ事(儲ける事)」と「負けない事(損をしない事)」の違いは別途、以下のような記事でもその具体的な違いを言及していますので、併せて参考にしてください。 |
実際に上記で挙げたそれぞれの言葉を見てもウォーレン・バフェットは『第一のルール』と『第二のルール』として、あえて「損をしないこと」そして「それを忘れない事」という形でこの事を強調しています。
第一と第二の筆頭2つのルールにおいても「利益を上げる」「資金を増やす」といった条項は持ち出さず、とにかく「損をしない事」を強調しているということです。
また、ジョージ・ソロスも『儲けるのはそれから』という言葉を強調している通り、やはり「生き残る」という事を第1に強調している事は一目瞭然です。
同じくジェシーリバモアも「儲け」云々以前にお金、資金そのものが「命綱」であり、それを失う事だけは避けなければならないという事を強調しています。
ただ、ほぼ同じ事を強調している三者の「鉄則」に対して、それぞれの具体的な「対応策」やそれを捉える「視点」には、大きく異なる部分があるんです。
例えばウォーレン・バフェットは、このような言葉も残しています。
我々は永遠に株を保有し続けることを好む。今後10年間市場が閉鎖しても喜んで持ち続けられる株だけを買う。-ウォーレン・バフェット |
ウォーレン・バフェットの言う「我々」は、彼を筆頭とする投資会社「バークシャー・ハサウェイ」を代表しての発言と見ていいと思いますが、この発言から、基本的にウォーレン・バフェットは『売却を前提に株を買っていない事』が分かります。
世の中のほとんどの投資家、トレーダーは、短期間か長期間かの違いはあれど、あくまでも「売買」が前提の投資、トレードを行っているはずですが、ウォーレン・バフェットは、
「成長し続ける優良な企業は資産価値を増やし続ける」
という考えから、それくらいの長期的(半永久的)な成長を見込める企業の株のみを買い、実際にそれを長期保有するスタイルで今の資産を築き上げているという事です。
ウォーレン・バフェットが「株式市場」を主な対象として投資を行っているのも、このような『優良な「企業」は成長し続ける』という理念があるからであり、逆の言い方をすれば、
『先々で「売り時」が訪れるような株(企業)には手を出さない』
と言っているわけです。
まさにウォーレン・バフェットは投資を行う(株を買う)時点で、まず「損をする事が無い優良な企業の株を買う事」を大前提に考えていることが分かります。
もちろん、ウォーレン・バフェットも人間ですから、その企業を見誤る事もあるわけですが、彼が一度手にした株を手放すのは『今後も長期的に成長し続けるものではない(その確証が無くなった)』と判断した時に他なりません。
つまり、彼の場合は「値動き(相場)を見誤った」のではなく「企業の将来性を見誤った」という視点が前提であるため、そこも多くの投資家、トレーダーにおける「損切り」の考え方とは大きく異なります。
いずれにしてもウォーレン・バフェットは本当に優良な投資先(株)のみを選ぶ事で「絶対に損をしない事」を徹底しているということです。
対して、ジョージ・ソロスやジェシーリバモアは、以下のような言葉を残しています。
私が人より優れている点は間違いを認められるところ。それが私の成功の秘密である。-ジョージ・ソロス |
誤った時にすべきことはただ1つ、改めることだ。損が明らかな時には損切りを行うのが鉄則であり、損切りができなければ市場から消えるしかない。-ジェシーリバモア |
彼等の言葉から共通して垣間見えるのは『投資、トレードにおける判断そのものを誤る事、間違う事を大前提としている』という点です。
もちろん、ウォーレン・バフェットも自らが誤る事、間違う事を考えていないわけでは無いと思いますが、ウォーレン・バフェットは自らの理念の中に「損をしない株を買う」という事を前提として掲げています。
ですが、ジョージソロスやジェシーリバモアは、どちらかと言えば「投資」よりも「投機」によって財を成しているため、ウォーレン・バフェットを『投資家』とするなら彼等は『投機家』であり『相場師』です。
そのため、彼等が捉える「間違い(過ち)」は、ウォーレンバフェットが捉える「間違い(過ち)」とは視点そのものが異なります。
ウォーレン・バフェットにとっての間違いは「企業の将来性を見誤る事」ですが、ジョージ・ソロスやジェシーリバモアにとっての間違いは、
『相場の動きやそこに存在している集団心理を見誤る事』
に他ならない事から「それを見誤る事はあって当然」という考え方を持っているわけです。
そうであるからこそ、彼等は自らの「鉄則」の中に、時に「過ち」を認める必要性や、その時点で行動を改めて手を引く(損切りを行う)事の重要性を述べているのだと思います。
自分にとっての「過ち(間違い)とは何か」を知る。
リスクはあなたが何をやっているか理解していない時に起こる。-ウォーレン・バフェット |
リスクは、自分が何をやっているかよくわからないときに起こるもの。-ジェシー・リバモア |
相場の世界で活躍した時代も、また、その投資手法も全く異なるウォーレンバフェットとジェシーリバモアの両名が、ほぼ同じような言葉をこうして残しています。
ただ、彼等に共通して言える事は、『自分にとっての「過ち(間違い)」が何かを理解している(していた)』ということであり、そうであるからこそ、時にそれを認める決断と行動を即座に取れていたのだと思います。
ウォーレン・バフェットにとっての間違いは「企業の将来性」を見誤る事であり、彼が実際に投資を行った際は、実際にその判断が正しかったのか、間違っていたのかを、そのような「企業の将来性」を捉える視点で注視していたはずです。
対するジェシーリバモアやジョージ・ソロスにとっての間違いは「相場(値動き)」や「それを捉える投資家達の心理」を見誤る事であり、故に彼等はその動向に着目し、自分達の判断が正しかったのかどうかに注視していたに違いありません。
つまり、彼等はいずれも自分自身の「過ち」や「間違い」が何であるか、どういったものであるかを「理解」していたからこそ、徹底してリスク(損失)を避けながら成功を納められたわけです。
自らの「過ち(間違い)」を認め、それを「改める」には、そもそもの『(自分にとっての)過ち、間違いとは何か』をしっかりと理解、認識できていなければなりません。 これは当然の事のようで、投資、トレードの世界で実際に勝てていない人、負けている人は、この「当然の事」と思える事が出来ていないんです。 むしろ、この世界では、その「当然の事」がそう「簡単な事」ではなく『どのような状況が自分にとって危険な状況なのか』に気付けていないからこそ、結果として多くの人が「負けている」のだと思います。 |
つまり、大前提として、
『自分が何を指標、基準として、そこでそのような判断を下し、投資(トレード)を行ったのか。』
これが自分なりの理論、理念に基づくものになっていなければ、その後において、その判断の誤り、間違いにも気付けるはずがありません。
いざ自分の判断が正しかったのか、間違っていたのかを判断するためには、先立つ判断が確固たる「理」や「根拠」に基づいていなければならないという事です。
ウォーレンバフェット,ジョージソロス,ジェシーリバモア共通の鉄則。まとめ
以上の通り、ここでは著名な投資家、投機家として知られるウォーレンバフェット、ジョージソロス、ジェシーリバモア3名にに共通する、投資、トレードにおける「鉄則」を言及させて頂きました。
こうして「時代」も「理念」も「手法」も異なる3名の偉大な投資家、相場師が、共通して、その重要性を言葉に残してきた、
・損をしない事
・自らの過ち(間違い)を知り、認め、改める事
この2つは、相場(投資、トレード)の世界で勝ち続けていくための「鉄則」に他ならないという事です。
実際にこれを徹底できている人は勝てていて、これを徹底できていない人が負けているというのが相場の世界の現実だと思います。 |
尚、今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、こちらも是非、参考にしてください。
本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。