FX、トレードを行っていく上での「相場」を捉える視点において、

木を見て森を見ず、森を見て木を見ず。

という格言があります。

相場の値動きにおける全体の流れや大きな流れを「森」とした上で、現在の値動きの動向を「木」とした場合に、現在の値動きばかりにとらわれてしまっては、全体の動向が見えなくなる。

逆に全体の動向ばかりに目を向けてしまっては、現在の値動きが見えなくなる。

要するに、全体を捉える視点と、その中の一部分を捉える視点は異なるため、どちらかの視点に偏ってしまうと、どちらかが見えなくなってしまう、といった意味合いの格言なわけです。

その上で『木を見て森を見ず、森を見て木を見ず。』という格言は、

・目先、または全体の動向のみにとらわれるべきではない
・全体的にも部分的にも相場を捉えなければならない

という意味合いになるのですが、この格言は、その捉え方次第で「正しい側面」もあれば「そうとも言い切れない側面」もあります。

今回は、そんな『木を見て森を見ず、森を見て木を見ず。』という格言を踏まえた上で、現実の「相場」における「値動きの真理」を追及していきたいと思います。 
 

-木を見て森を見ず、森を見て木を見ず。の解釈と相場(値動き)の真理。

この格言で「言いたい事」をハッキリと文章化したなら「木を見て森を見ず」「森を見て木を見ず」の、それぞれ意味合いは以下のようになると思います。

現在の値動きばかりにとらわれてしまい、全体の流れやトレンドが見えていなければFXやトレードで勝つ事はできない-木を見て森を見ず。
全体の流れやトレンドばかりに目を向けていても、現在の値動きを予測する事はできない-森を見て木を見ず。

ただ「全体の流れ」を完全に度外視した上で、現在の値動きのみに着目し、1分後、5分後といった短時間の値動きを「的確」に予測する事ができたなら、そのトレーダーは普通に勝ち続けられます。

逆に現在の値動きは完全に度外視していたとしても、相場全体の流れやトレンドを的確に予測できていたなら、そのトレーダーも最終的に「負ける」という事はありません。

つまり、実際のトレードにおいては、全体の流れがどうであろうと、今現在の値動きを的確に予測できれば「勝てる」わけです。

また、今現在の値動きがどうであろうと、全体のトレンドに沿ってポジションを建てておけば、相場が最終的に、そのトレンドに沿って動いていく限り、そのトレードも負ける事はありません。

要するに、FXやトレードでは「今現在の値動き」または「全体的な値動き」のどちらかを的確に予測し、その範囲で売買を行っていけば、それで十分に「勝てる(稼げる)」という事です。

そのように考えるなら「木」にあたる「現在の値動き」さえ十分に予測できれば勝てるにも関わらず、無理に「森」にあたる「全体の動き」を意識してしまう事で、負けているトレーダー。

また「森」にあたる「全体の値動きさ」え予測できれば勝てるにも関わらず、下手に「木」にあたる「現在の値動き」に翻弄される事で負けているトレーダーもいるかもしれません。

つまり「森を見る事で木が見えなくなる」「木を見る事で森が見えなくなる」という考え方も十分に成り立ってしまうわけです。
 

「木」または「森」のどちらかが『明確』に見えれば勝つ事ができる?

木を見て森を見ず、森を見て木を見ず、という格言は『目先の値動きだけにとらわれるべきではなく、また、全体の値動きだけにとらわれるべきでもない』という意味合いに他ならないものです。

ですが、現実の相場を対象とするトレードにおいては、目先の値動きを捉える上で全体の動きにとらわれるべきではなく、また、全体の動きを捉える上では、目先の値動きにとらわれるべきではありません。

自分自身が行いたい売買の範疇や、その売買で狙っていく値動きの範疇で十分な値動きの予測を行えれば、それで十分に「勝てる」のが相場の世界の現実だからです。

よって『木を見て森を見ず、森を見て木を見ず』という格言は、決してこれを手放しで「正しい」とは言い切れない側面があり、それがここで言及した論理に他なりません。

ただ、これもまた相場における「現実」として、相場の値動きは時に「全体の流れ」が見えていなければ「部分的な動き」や「現在の動き」を的確に予測する事が出来ない局面。

また、その逆に部分的な値動き、現在の値動きの積み重ねが、結果的に全体的な流れを作り出していくような局面が「現実」にありえます。

これはトレーダーによっても意見や見解が分かれるところかもしれませんが、少なくとも私は、相場の値動きの背景には、ここで挙げたような特性が現実に「ある」と考えています。

そのような局面が常ではないものの、相場の値動きには幾つかのパターンやセオリーがあり、一定の範囲内で言えば『大抵の値動きがそのパターンやセオリーの範疇の中に納まっていく傾向』にあります。

ですが、時にそのパターンやセオリーを大きく裏切る場合もあり、そのような相場はまさに『一定範囲内に収まっていた値動きのパターンやセオリーが全体の流れによって崩されるケース。

または、全体的な値動きのパターンやセオリーが、部分的な値動きの積み重ねによって崩されていくようなケースに該当するという事です。
 

相場は時に「セオリー」や「パターン」を裏切り続ける。

そのような相場の動きを裏付ける「理論」が、多くのトレーダーが長年に渡って相場の動きにおける「原則的な理論の1つ」としている『ダウ理論』です。

もともとは6つの原則によって成り立つダウ理論ですが、その中の1つである、以下の原則が、まさに『木を見て森を見ず、森を見て木を見ず』の格言に深く関係しています。

-相場には主要となるトレンドに内在する二次的、三次的なトレンドが発生していく。

 
この「ダウ理論」で提唱されている「トレンド」は、

主要トレンド:主要となる数日単位の長期サイクルのトレンド
二次トレンド:主要トレンドに内在する数時間単位の中期サイクルのトレンド
三次トレンド:二次トレンドに内在する数分間単位の短期サイクルのトレンド

このような考え方を前提に、相場は常に「主要トレンド」の中にあり、そのトレンド内で「二次トレンド」「三次トレンド」を内在させる形で「値動きの流れ」を作っていく、という事が提唱されています。

相場内におけるトレンドは、独立したトレンドが次々と発生するのではなく「1つの主要トレンド内で新たなトレンドが内在する形で発生していく」という事です。

そして、その「二次トレンド」に対しても、そこへ更に内在する形のトレンド(三次トレンド)が作り出されていくという理論がこれにあたります。

要するに、相場におけるトレンドは実質的には「1つ」で、その中で小さなトレンドが「内在する形」で発生していくという事なのですが、これがまさに「森」と「木」の関係をそのまま表しているわけです。
 

大きなトレンド(流れ)の中に小さなトレンド(流れ)が「内在する」という考え方。

その上で、主要となるトレンド(森)に内在していく形となる二次的、三次的なトレンド(木)は『その上位に位置するトレンドの調整局面にあたるもの』とされています。

ここで言う「調整(調整局面)」というのは、トレンドの継続、進行を前提とする形で一時的な停滞または後退を伴う局面であり、

・先立つトレンドで十分なリターンを得たトレーダー達の利食い注文による売買
・先立つトレンドに乗れなかった次の動向を伺うトレーダー達による売買

などが、このような「調整局面」を伴う二次トレンド、三次トレンドを作っていくと考えられています。

その「内情」には諸説あるものの、実際のチャートを大きな視点で見れば、実際に「主要トレンドに内在する二次的なトレンド(調整局面)」は、あらゆる相場において、実際に見受けられます。

その実例の1つとして、例えば以下は、ビットコインの2021年1月の1カ月間の値動きを表示したチャート画像です。

↓↓↓

上記の通り、BTC相場は1月8日にこの時点では過去最高の430万円台の最高値を付けた後、そこからの1カ月間は下方向への「下降トレンド」を作る形となっていました。

ただ、この前後の値動きを含めた「全体のトレンド」は、以下のようになっています。

↓↓↓

つまり、この時のBTC相場は「上昇トレンド」にある中で、1月8日に高値を付けてからの1カ月ほどは、その「大きなトレンド」の中の二次的な「調整トレンド」だった事が分かります。

まさに「森」にあたる『大きなトレンド(上昇トレンド)』が見えていれば「木」に該当するような『二次的なトレンド(下降トレンド)』が「どこで終わるのか」を予測できたわけです。

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また、もう少し長いトレンドを対象とした事例として、以下は「ドル円(USD/JPY)」の為替レートの約6カ月間に及んだトレンドを表したチャート画像です。

↓↓↓

対して、以下は上記の前後の値動きを含めた「全体のトレンド」のトレンド画像になります。

↓↓↓

上記で「6カ月間に及んでいた上昇トレンド」も、その前後の値動きを含めたトレンドを捉えると、これも『より大きなトレンドの中の二次的な調整トレンドだった』という事が分かります。

ただ、上記の「1年周期のトレンド」に対する「6カ月周期の調整トレンド」の中にも、実際には「更に小さな短期トレンドが発生しているタイミングがある事が分かります。

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このように、相場における値動きにおいては、大きな流れを作るトレンドに対して、そのトレンドの中に「内在」する形の二次的な「調整トレンド」が発生していきます。

言わば全てのトレンドや値動きは「大きな1つのトレンドの中」にあり、これが「森」と「木」の関係そのものに他ならないわけです。

突き詰めて「現在の値動き」を作り出しているのは、最も下位に位置するトレンド(木)であるものの、その「始まり」と「終わり」を決定付けるのは、その上位に位置するトレンド(森)に他なりません。

つまり「森(全体のトレンド)」を捉えた上で「木(現在のトレンド)」に着目すれば、

・現在のトレンドがどこで終わる可能性が高いのか
・新たなトレンドがどこで始まる可能性が高いのか、

などが見えてくる事になります。

実質的には「目先の動き(木)」に着目していくわけですが、その「始まり」や「終わり」の捉え方、判断が「全体(森)」が見えているかどうかで変わってくる事になります。

また「現在のトレンドの継続の有無」で「全体的な流れ」が変わってくるような局面も実際にありえるという事です。
 

木を見て森を捉える、森を見て木を捉える。

結局のところ、自分自身が行う「売買のサイクル」によって、実際に着目するべきトレンドの「周期」や「範囲」は変わってきます。

数分単位の短期売買なら、やはり最も下位に位置するトレンドに着目していく必要があり、数時間~数日のサイクルなら、下位のトレンドよりも、その上位にあるトレンドに着目していく事になります

ですが、どのサイクルのトレンドに着目していくとしても、その「始まり」と「終わり」を決定付ける大きな要因となるのは、その上位に位置するトレンドに他なりません。

また、その上位に位置するトレンドの始まりと終わりを決定付けるのは、また、その更に上位に位置するトレンド・・・という連鎖的な視点で実際に相場は動いています。

これが相場のトレンドや値動きを捉える上での1つの「真理」であり、まさに「木を見て森を捉える視点」「森を見て木を捉える視点」が時に重要な意味を持つという事です。
 

▼ トレンドに基づく値動きの動向を「99%の精度」で見極める。

テクニカル分析やトレードの手法は、多種多様、色々なノウハウがありますが、少なくとも私が以下のツイッターを介して行っている「公開トレード」で、

2019年:勝ちトレード/ 29件 負けトレード/1件(勝率:96.6%)※7月より開始
2020年:勝ちトレード/102件 負けトレード/1件(勝率:99.02%)
2021年:勝ちトレード/ 35件 負けトレード/0件(勝率:100%)※3月時点

このような「常勝」に近い勝率を実現できているのは、まさにトレンドの「始まり」と「終わり」を押さえて『まず負けようがないところだけを狙ってトレードを行っているから』に他なりません。

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テクニカルトレードと統計心理学、管理人Yのトレード公開用ツイッター

>Twitterによる公開トレードの勝率、パフォーマンス一覧

事実、この理論に沿ったトレンドの「始まり」と「終わり」を限りなく的確に予測できているからこそ、こうして私は現実に「99%負けないトレードを実現できている」という事です。

 
以上、本講義では『木を見て森を見ず、森を見て木を見ず。』という格言を踏まえた上で、現実の「相場」における「値動きの真理」を追究させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、併せて参考にして頂ければと思います。

 
>相場における「絶対的な値動き」とそれを捉えるテクニカル分析について

>ダウ理論基礎講習:テクニカル分析における6つの基本原則

>ダウ理論実践講習:主要トレンドに内在する二次トレンド・三次トレンドの攻略

>ダウ理論実践講習:ダウ理路に基づくトレンド相場とレンジ相場の攻略

>ダウ理論実践講習:ダウ理路に基づくトレンド転換のシグナルについて

本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。