私がテクニカル分析やそれに伴う有効なトレードルールを研究していく際や、それらを第3者に教えていく場合には、以下のような事を常に「意識」し、そして「重要視」するようにしています。

・テクニカルにおける「理」を追及していく事
・それがいかに「理」に沿ったものであるかを裏付けていく事

これらは「テクニカル分析において絶対に意識しなければならない事」であり、負けているトレーダー、勝てていないトレーダーは、ほぼ例外なく、これらを意識する事が出来ていません。

とくに、テクニカル分析において、何らかのテクニカル指標を使っていくような場合や、その使い方などを勉強していく場合は、まず第一にこれを意識するべきではないかと思います。

今回は、そんな「テクニカル分析において重要視するべき理」「テクニカル指標を用いた理の追及」について、解説していきたいと思います。
 

テクニカル分析における「理」と「指標」の関係。

まず、ここで示した『理』は、そのまま「理(り)」と読んでもらっても構いませんし「理(ことわり)」と読んでもらっても構いません。

実際にこれは「両方の意味」を兼ねたものであり、

「それは理(り)に適っている」

という使い方をする場合の『理』でもあり、また、

「理(ことわり):物事の正しい道筋」

という意味で用いる『理』でもあるため、どちらも「突き詰めた意味合い」は同じだと思います。

その上で『テクニカルにおける理とは何か』というと、これは結局のところ、相場の値動きによって生じていく「集団心理」「行動心理」「統計心理」などの動向を追及し、分析していく事に他なりません。

実際にそれらを分析していく事で相場内での「売り手側」と「買い手側」による、売り注文と買い注文の「偏り」が見えてきます。

結局のところ、相場は「買い注文」と「売り注文」において、その注文量の多い方に動いていくもので、それが揺らぐ事のない「相場の原理」です。

そして、それが相場の原理である以上は『市場参入者の心理動向から読み取れる売り買いの強弱を分析する事がテクニカル分析における理に他ならない』という事です。

▼ その「行為」はテクニカルの「理」に沿っているか。

故に、テクニカル分析やそれに基づくトレードを行っていく際には、

『その行為がテクニカルの理に沿ったものになっているか』

という根本的な視点を持つ必要があるのですが、多くのトレーダーが行っているテクニカル分析は、全くもって、その「理」に沿ったものになっていない傾向にあるのが実情です。

それこそ、やみくもに2つ、3つと複数の指標を組み合わせる行為や、

「この指標とこの指標がこうなった時にエントリー」
「この指標がこうなったらクローズ」

といったトレードの「ルール」だけを表面的に覚えて、漠然とそれに従っていくような行為は、テクニカルの在るべき「理」を無視しているに等しいと言わざるを得ません。

そのようなトレードを行っているトレーダーの大半は、まず、自分自身が実際に使っている指標の背景にある理論などをろくに理解していないのが実情だからです。

「理」の欠落。

その上で、テクニカル分析に用いる「テクニカル指標」は、その1つ1つに、その有効性を裏付ける「理論」が存在し、その大半は「統計」や「心理」に沿った理論の上で成り立っています。

ただ、そういったテクニカル指標の「使い方」や「見方」を取り上げている文献や情報商材などは、せいぜい、その「断片的な使い方」や「見方」のみを表面的に解説している程度なのが実情です。

その指標がどのような理論で成り立っているのか、その指標と値動きにどのような相対関係、因果関係があるのかなどは、そこまで詳しく解説されていません。

故に、テクニカル分析で何らかのテクニカル指標を使っているトレーダーの多くは、

「この指標がこうなると、相場はこう動く可能性が高くなる(らしい)」

といったレベルの表面的な判断基準のみを意識している傾向にあります。

なぜ、その指標がその条件を満たすと相場がそのように動くのか、といった「理由」や「要因」を完全に度外視しているという事です。

ただ、テクニカル分析に準じたトレードで勝ち続けるには「テクニカルの在るべき理に沿った分析とそれに伴う売買」が必要不可欠ですす。

仮に、そこを度外視して、過去の値動きに帳尻を合わせていく形で、

「このような条件で売買を行っていれば勝てていた」

というルールを強引に作り出しても、そのような方法ではまず「勝ち続ける事」はできません。

相場の値動きにおいては「偶然の一致の中で生じている傾向」も少なからず存在するため、過去の値動きに対する帳尻合わせでは、高い確率で「偶然の傾向をなぞるだけのルール」になってしまうからです。

つまり、相場における「値動き」には、

・偶然の一致によって生じているだけの傾向(テクニカルの「理」とは無関係な偶然の傾向)
・テクニカルの理に沿って生じている傾向(統計、心理に伴う売買の偏りから生じている傾向)

この2つが存在し、テクニカル分析に沿って「勝ち続ける」には『テクニカルの理に沿って生じている値動きの傾向』を捉えるべくして捉えていく必要があります。

あくまでも、統計や心理、その動向に準じて生じていく売買の偏りを、その「理」に沿って分析していく必要があるという事です。
 

テクニカル指標の使い方、見方を勉強する場合に注意すべき事。

結論として、有効なテクニカル分析、指標分析の「答え」にあたるものは、テクニカルにおける「理」を辿っていく形でこそ導き出せるものだと思います。

テクニカル分析に何らかの「指標」を用いるのであれば、その指標の理論を理解した上で「理に沿った使い方を追及しなければならない」という事です。

ですが、世の中の大多数のトレーダーは、せいぜい有名どころの指標の使い方を表面的に捉える程度で、それらを安易に組み合わせるような指標分析を平然と行っています。

当然、そのような「理」を無視した指標分析では、在るべきテクニカル分析を行う事はできないため、仮にそれで勝てる事があっても、それは偶然の範疇で勝てているに過ぎません。

本当に有効な指標分析で「テクニカルの理に沿った値動き」を追及できているのであれば、そこには必ず「理に沿って勝てている理由や裏付けがある」という事です。

▼「理」の追及。

よって、すでに完成されたトレードのノウハウやツールを手にした際には、まず「そのノウハウやツールのロジックが理論的に有効なものかどうか」を疑ってください。

仮に公開されているパフォーマンス、バックテストの結果などが良好なものでも、それはただの「後付け」や「帳尻合わせ」によって作り出された実績かもしれないからです。

それこそ、過去の値動きに帳尻を合わせていけば、過去の値動きに対して良好なパフォーマンスを実現できていたであろうロジックを後付けで作り出す事は何ら難しくありません。

例えば、私のようにSNSなどを介して「トレードポイント」「現在進行形のパフォーマンス」を継続的に公開し続けているなら、そこに疑いを抱く余地は無いと思います。

ですが、第3者への公開を伴っていない時点における「過去の相場における運用パフォーマンス」には、実質的に、何の信憑性も無いという事です。

だからこそ、完成されたトレードノウハウの実践やトレードツールの実用においては、まず、そのロジックが理論的に有効なものかどうかを追及するべきだと思います。

そこを追求していく事は、結局のところ、

・どのような理論に基づく指標をどのように使っているのか
・その使い方は指標の理に沿った使い方になっているのか
・それらはテクニカルの在るべき理に沿ったものになっているか
(統計、心理に伴う売買の偏りを捉えるものになっているか)

これらの追求に繋がっていく事になるからです。

以上、本講義では「テクニカル分析において重要視するべき理」と「テクニカル指標を用いた理の追及」について言及させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義が幾つかございますので、こちらも是非、参考にして頂ければと思います。
 

>テクニカル指標の使い方と「理論」「計算式」の関係性について

>テクニカル指標の「有効な組み合わせ」を導き出す原則について

>有効なテクニカル分析と無意味なテクニカル分析の決定的な違い
 

本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。