相場の世界で投資、トレードの対象となるものの「値動き」を予測、分析においては、

・ファンダメンタル分析に基づいた値動き(相場)の予測
・テクニカル分析に基づいた値動き(相場)の予測

この2つの方法が主であり、大抵の投資家、トレーダーは、このどちらかか、または両方を値動きの分析(予測)に用いています。

その上で、いざ相場の世界に足を踏み入れていく際、どちらに重きを置いていくかで、その後の投資家、トレーダーとしての人生(勝ち負け)が大きく左右されると言っても決して大げさな話ではありません。

よって、ここではテクニカル分析とファンダメンタル分析比較する形で、どちらに重きを置いていくべきかの「足掛かり」となるものを示していきたいと思います。

このブログのテーマは『テクニカル分析の追求』にありますので、当然、私はテクニカル分析に重きを置いているわけですが、そこにも明確な理由がありますので、そういったところも含めてお話ししていきたいと思います。

テクニカル分析とファンダメンタル分析の比較。

一般的に『テクニカル』は「過去から現在までの相場の動きに関する情報」が該当し、対する『ファンダメンタル』は「対象となる相場に関連する内部的、外部的な情報」が全般的に該当すると言われています。

「昨日の最安値、最高値はいくらだった。」
「1時間で昨日の最安値、最高値はいくらだった。」

このような「相場の値動き」に関する情報全般がテクニカルに該当するもの。

「A社の時価総額はいくらだ。」
「B社の昨年の業績はこうだった。」

このような「財務状況」「業績」などがファンダメンタルに付随する内部的な情報。

「このような法案が通るとC社のような業種の事業が有利になる。」

このような投資対象となるもの「外部的な要因」にあたるものがファンダメンタルに付随する外部的な情報にあたります。

そして、上記のような相場に影響を及ぼす内部情報、外部情報を分析して今後の値動きを予測していく事をファンダメンタル分析と呼び、テクニカル(値動き)を分析して今後の値動きを予測していく事を「テクニカル分析」と呼ぶわけです。

これらの「どちらに重きを置くか」は、投資家、トレーダーによって異なる傾向にありますが、実際の投資判断(売買の判断)においては、このどちらかかか、両方を指標(拠り所)にする以外の選択肢はほぼ無いに等しいのが実情です。

よって、実際に相場を動かしているものは、

・ファンダメンタル分析に伴う売買
・テクニカル分析に伴う売買

この2つの売買であり、これが「相場」とその「値動き」における1つの原理(答え)と考えて問題ありません。

その上で「強いてどちらがより有効なのか(どちらがより強く相場に影響を及ぼしているのか)」は、言わば『どちらをアテ(指標)にしている投資家(トレーダー)が多いのか』で、その「答え」は出るはずなのですが、これは「正確には分からない」というのが率直なところです。

結局のところ、それは「時と場合による」というのが結論になるため、一概にどちらをアテ(指標)にしている投資家(トレーダー)が多いという答えは出しようがありません。

ですが、状況(時と場合)によって、ファンダメンタル分析に基づく売買が強くなる時もあれば、テクニカル分析に基づく売買が強くなる時もあるというのが相場の世界における1つの真理でもあります。

相場がファンダメンタルを重視する投資家、トレーダー達の売買で動いている時には、ファンダメンタル分析こそが有効となりますし、相場がテクニカルの基準によって動いている場合は、やはりテクニカル分析が有効になるという事です。
 

今、相場に強い影響を及ぼしているものは「どちら」なのか。

相場がファンダメンタルの影響で動いているような局面で、テクニカル分析をアテにしても、まず思うような売買(トレード)は行えません。

また、相場がテクニカルの影響で動いているような局面では、やはりファンダメンタル分析をアテにしても、想定するような値動きにはならない可能性が高くなります。

よって、投資、トレードにおいて重要なのは、

「その時点で相場に強い影響を及ぼしているものが何なのか(どちらなのか)」

を的確に見極められる事であり、その「見極め」がしっかりと行えれば、ファンダメンタル分析とテクニカル分析は、どちらか片方のみを行っていく形でも十分に勝ち続けていく事が可能になるわけです。

もちろん、両方の分析をしっかりと行えるに越した事はありませんが、ファンダメンタル分析、テクニカル分析、いずれも十分なレベルでこれらをモノにしていくのは、決して簡単な事ではないのが実情です。

故に、ファンダメンタル分析かテクニカル分析は、どちらかのみを絞り込んで追求していった方が投資家、トレーダーとしての成功できる確率は、確実に高くなるというのが私の考えです。

もしくは「最終的にはどちらも行えるようになる」という前提でも問題はありませんが、仮にそうであるとしても、まずは「どちらか」を追求し、しっかりとそれをモノにしていくべきであり、スキルの幅を広げていくのは、その後からでも遅くはないという事です。

 
ただ、ファンダメンタル分析のスキルとテクニカル分析のスキルは、いずれも「相場分析のスキル」であるものの、これらはいずれも全く性質が異なるものです。

よって、人によっても「向き、不向き」のようなものがあるため、そのような視点においても『自分に合ったスキルを身に付けていく事』こそが投資家、トレーダーとして成功を掴んでいく重要なポイントとなってきます。

そして、実際にファンダメンタル分析を追求していくのか、テクニカル分析を追求していくのかは、

・投資(トレード)対象の選択
・投資スタイル(トレードスタイル)

などもそのまま大きく左右していく事になります。

つまり、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の選択は、自分自身が何を対象に、どういったスタイルで、投資、トレードを行っていきたいのかという視点も含めて、判断していく必要があるという事です。
 

「自分に合っている」のはファンダメンタル分析かテクニカル分析か。

ファンダメンタル分析は、数分単位、数秒単位といった短い時間の値動きの予測には適さない傾向にあり、対するテクニカル分析は、数カ月単位、数年単位といった長期間の値動きを予想には適さないと言われています。

ファンダメンタル分析は、ありとあらゆる情報から「投資対象の価値や将来性を分析するもの」である事に対して、テクニカル分析は「その時点の売り買いの動向や偏りを分析していくもの」だからです。

もちろん、その投資対象の「現在の価値」や「将来性」の判断を大きく揺るがすような何らかの情報が1つのファンダメンタル要因として出回れば、それが引き金となって短期的に相場が大きく変動するような事はあるかもしれません。

ただ、そのような時に、そのようなファンダメンタル要因の「恩恵」に預かれるような人は、そのような情報を多くの人よりも早く手に入れる事ができるような人に限られます。

つまり、ファンダメンタル分析で短時間の値動きを判断できるのは、有利な立場であらゆる情報を手にできるごく一部の人に限られるという事です。

よって、多くの人にとっての「ファンダメンタル分析」は、その投資対象の価値や将来性を分析していくものあるため、基本的には「投資対象の長期的な相場(価値)を判断していくためのものスキル」と言えます。

▼ 相場は常に「本質的価値」に近づいていく。

また、相場の世界では『相場は常に本質的価値に近づいていく』とも言われています。

そして、その本質的価値を分析していく行為こそが『ファンダメンタル分析』であり、この原則を徹底して追及した投資を行っているのが「世界一の投資家」と言われる『ウォーレン・バフェット』です。
 

 
ウォーレン・バフェットはマイクロソフト創業者のビル・ゲイツと「世界で最も多くの資産を保有している個人」の座を競い合っていた事もあり、投資の世界においては間違いなく「最も成功している人物」です。

そんなウォーレン・バフェット氏が『相場は常に本質的価値に近づいていく』という原則を追求していく投資手法で「成功」を納めているのですから、これは「1つの真理(もしくは、それに限りなく近いもの)」に他なりません。

このような「相場における原則」を捉える限りでも、ファンダメンタル分析は、投資対象の長期的な相場(価値)を分析する事を前提に行うべき、ということです。

対して、テクニカル分析は「過去から現在までの値動き」をチャートなどで確認した上で、その時点や、そこからの売買の動向、偏りを分析していくものであるため『長期間の値動きを予測できるものではない』というのが私の見解です。

少なくとも『相場は常に本質的価値に近づいていく』という原則がウォーレンバフェットのような投資家の実績によって裏付けられている中で「投資対象の本質的価値と、過去から現在にかけての値動きには、実質的に何の関係性も無い」と言わざるを得ません。

ですが、その「本質的価値」や、その判断材料となるような情報が、1分、1秒単位で常に移り変わり続けているのかと言えば、決してそうではないのが実情です。

にも拘わらず、相場は1分、1秒単位で動き続けているのが実情であり、その間にも大きく高騰する事もあれば下落する事もあるため、そのような短時間の値動きに大きく作用しているものが「テクニカル」という要素に他ならないという事です。
 

相場(値動き)を長期的に捉えるか、短期的に捉えるか。

また、相場の世界では「ファンダメンタル」と呼ばれる要素を全く気にせず、そこを完全に無視した上で「値動き」のみを見て売買を行っている投資家、トレーダーが、私を含めてごまんと存在します。

そのような「テクニカル分析に基づく売買を行っている人達」と「それに伴うお金の流れ」が存在している以上、やはり相場には『テクニカルに基づく値動き』が存在するはずであり、多くのトレーダーはテクニカル分析(値動きの分析)によって、その規則性などを模索しているわけです。

ただ、短時間の値動きが必ずしもテクニカルのみに影響されるわけではなく、相場には常に「ファンダメンタルを基準に売買を行っている投資家、トレーダー」も存在します。

そのため、おのずと「テクニカルの影響が強い相場」と「そうではない相場」が断続的に訪れる事になるんです。

まさに冒頭でお伝えしたような、ファンダメンタル分析を基準とする売買とテクニカル分析を基準とする売買の両方が常に相場(値動き)へ影響を与え続けている中で、

・ファンダメンタル分析を基準とする売買の影響が弱い時
・テクニカル分析を基準とする売買の影響が強い時

このいずれかの条件、もしくは両方の条件を満たしている時に、テクニカル分析によって、短期的な相場(値動き)を的確に予測できる可能性が高くなるという事です。

よって、テクニカル分析は、少なくとも「テクニカル分析による値動きの予測が通用する局面」と「そうではない局面」があり、その「見極め」が極めて重要なポイントとなってきます。

ただ、そのようなデメリットがある反面、テクニカル分析は『本当に有効な判断基準』を確立する事が出来れば、基本的に、その基準は「ありとあらゆる全ての相場において半永久的にそのまま通用するもの」になります。

少なくともファンダメンタル分析は、その投資対象によって、その価値や将来性を左右する要素が根本的に異なり、また、時代の流れによっても「分析するべき対象」はどんどん移り変わってしまうのが実情です。

そのため、株式相場、為替相場、仮想通貨など、いずれかのファンダメンタル分析を的確に行えるようになったとしても、相場や時代が移り変われば、また別の視点での分析が必要となってくるため、

・確立した基準のあらゆる相場に対しての共通した有効性
・その半永久的な有効性

このような点においては「テクニカル分析に大きく分がある」という事です。

▼ 本当に有効なテクニカル分析の基準は全ての相場で有効でなければならない。

テクニカル分析の本質が「値動きに対する投資家心理の共通性、規則性を見つけ出す事」である以上、そのような「心理動向」における規則性は、市場(相場)によって変わるものではないと思います。

株の相場、為替の相場、仮想通貨の相場、どこの相場で売り買いを行って投資家、トレーダーも「人」として持っている心理傾向は共通しているはずだからです。

もちろん、細かな心理傾向や性格などは人それぞれ千差万別なものですが、それを大局的に捉え、統計的な観点で見た時に見られる規則性、傾向などを捉えるのが「統計心理学」であり、テクニカル分析ではそれを「相場の値動き」の中で見つけ出していくものに他なりません。


故に、不特定多数の「集団(投資家達)」によって作られる「相場」というものが、その市場によって、全く異なる心理傾向を示すはずがなく、そこには同じ心理傾向が見られなければ「おかしい」わけです。

よって、本当にテクニカル分析(=投資家心理の分析)に基づく有効なトレードルールであれば、それはどこの市場のどこの相場でも、全く同じ有効性が見られなければ道理に合いません。

どこか特定の市場(相場)でなければ有効性が見られないトレードルールという時点で、それは明らかにテクニカル分析(=投資家心理の分析)の本質を捉えられていないノウハウである可能性が高いという事です。

このような「テクニカル分析の本質に基づく有効なトレードルール」については、別途、以下のような講座もご用意していますので、よろしければ、併せて参考にしてみてください。

>本当に有効なテクニカル分析の基準は全ての相場で有効でなければならない。

テクニカル分析とファンダメンタル分析の比較。まとめ

ここまでで言及してきたテクニカル分析とファンダメンタル分析の比較次項をまとめると、以下のようになると思います。

▼ファンダメンタル分析
・あらゆる情報から投資対象の価値、将来性を分析
・相場ごとに分析するべき対象が大きく異なる
・時代の流れと共に分析の対象も移り変わり続ける。
・長期的な相場(価値)の予測において有効
 → 特別な情報網を有していなければ短時間の値動きを予測する事は出来ない

▼テクニカル分析
・過去から現在までの値動きから売買の偏り、動向を分析するもの
・テクニカル分析(自らの手法)が有効な相場を見極める必要がある
・本当に有効な基準はあらゆる相場に対して半永久的な有効性を保てる
・短期間、短時間の値動きの予測において有効
 → 原則として長期間の将来的な相場(価値)を予測する事はできない

 
これらの比較次項を踏まえた上で「自分自身が何を重視して投資、トレードを行いたいか」が、その最終的な決め手になるのではないかと思います。

とくに短期的な視点で売買を行っていく事を前提とするのか、長期的な視点で売買を行っていくのかが定まっているなら、長期であればファンダメンタル分析を選ぶべきですし、短期であればテクニカル分析を選ぶべきです。

また、特定の投資対象を前提に考えるのであれば、その投資対象の価値、将来性を自らが想定できる、そのファンダメンタル要素から分析が可能かどうか(それが出来そうかどうか)で考えてみてください。

それが「難しそう」という判断に至ったのであれば、言わば「消去法」で短期的な視点で相場を捉えるテクニカル分析に重きを置いていけば良いという事になるはずです。)

これはあくまでも私の私見ですが、株(企業)のファンダメンタル分析は、その企業の事業性や資産状況、業績などを調べていけばある程度の将来性なども判断できるものの、為替、仮想通貨については、強いて「これ」と言った確固たる分析対象にあたるものが、少なくとも私には分かりませんでした。

ただ、株の場合は売買を行える時(曜日、時間)が限られるため、私としてはいつでも売買が行える為替、仮想通貨の相場に魅力を感じたものの「為替、仮想通貨などのファンダメンタル分析は難しい」と判断したため、こうして「テクニカル分析」の方を追求していく方向に行き着いています。

もちろん、それだけが理由ではありませんが、このような要素もファンダメンタル分析かテクニカル分析かの選択の要因の1つになった事は間違いないということです。

また、ファンダメンタル分析は、どの相場を分析する上でも、、時代の流れと共に常にあらゆる情報を複合的に分析し、洞察できる能力が必要となるため、私は「答え(基準)となるものを定め難い」という判断に至っています。

もちろん、ウォーレンバフェットのように特定分野(彼の場合は株式相場)のファンダメンタル分析を極めたような人からしてみれば、そこには「確固たる基準(答え)」のようなものが存在するのかもしれません。

ですが、私にはファンダメンタル分析における、そのような「確固たる基準(答え)」を確立できるイメージは全く見えてきませんでした。

対してテクニカル分析においては、統計的な視点、心理学的な視点で、私としては十分に「確固たる基準(答え)」に近いものを導き出せるイメージが見えたわけです。

もちろん、誰もが私のような考えに至るとは限りませんが、

「自分がそのスキルを学んで成功できるイメージを見出せるかどうか」
(そこに「答え」を見つけ出せるイメージが見えるかどうか)

は、非常に重要な判断(選択)のポイントになると思いますので、是非、参考にしてみてください。

▼ ファンダメンタル分析とテクニカル分析の併用について。

投資家、トレーダーの中には、テクニカル分析に重きを置きながらもファンダメンタル分析を併用しているような人や、ファンダメンタル分析に重きを置きながらもテクニカル分析も併用しているような人もいます。

ただ、これらを「併用」する事は、少なくとも私は否定的に見ていますので、その理由等は以下のブログ講座で言及していますので、興味があれば、併せて参考にしてみてください。

>ファンダメンタル分析の本質とテクニカル分析との併用についての考察。

以上、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の比較を私なりの私見を交えて講義させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、よろしければ併せて参考にして頂ければと思います。

>相場の力学~相場は何故、動くのか~

>テクニカル分析の本質について。

>ファンダメンタル分析とテクニカル分析の併用について

>テクニカル分析の本質に基づく「本当に有効なトレードルール」の条件について


本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。