どんな物事でも「最善なもの」「最良なもの」を求めるのは、当然の心理かと思います。

その上で、相場における「テクニカル分析」においても、そこに最良なもの、最善なものを求めるトレーダーは数知れず、検索エンジンのキーワード候補でも、

「テクニカル指標 最強 組み合わせ」
「テクニカル分析 手法 最強」

このようなワードが出てくる経緯から、こうしたキーワードで、何かしら、その手掛かりを探している人も多いのだと思います。

そこで今回は、最善、最良のテクニカル分析とは、具体的にどういうものなのか。

そんなテクニカル分析の「終着点」となりえるものを言及した上で、それを実現するための現実的な「方向性」までを示していきたいと思います。

ここで言及する内容は、テクニカル分析で追及していくべきもの、求めていくべきものにおける1つの「答え」に他ならないと思います。

とくにトレードやテクニカル分析で路頭に迷っているトレーダーの多くは、その「方向性」が見えていない傾向にあるため、ここで、その「方向性」を明確にしてください。

テクニカル分析の終着点とは。

テクニカル分析は「相場における値動きの予測」を行うものである以上、漠然とその「終着点」を掲げるなら『相場の動向や未来を自由自在に読み取れるテクニカル分析』といったものになると思います。

ですが、相場はテクニカルに紐付けられる要因のみで動いているわけではないため、テクニカル分析のみによって、相場の値動きを100%の精度で読み取り続ける事は、まず不可能です。

そこで「まず実現が不可能な理想」ではなく、あくまでも「現実的に実現できる範囲の理想」として、私が「実現できる可能性」を追及してきたテクニカル分析の「理想」は、

『相場の極致点を判断できるテクニカル分析』

であり、これをテクニカル分析における1つの「終着点」として、現在も「進行形」で、相場の値動きを研究し続けています。

その上で、この『相場の極致点を判断できるテクニカル分析』というのは、相場の値動きそのものを「弓矢」で例えるなら、

「矢を射る弓の糸が最も強く張るポイントを見極める基準」

であり、これを分析できる基準の追及を1つの終着点にしているイメージです。



この「弓矢」で言うところの『矢を射る弓の糸が最も強く張るポイント』は、そこで実際に矢が放たれれば、矢は天高く飛んでいく事になります。

ですが、そこは弓の糸が切れてしまう限界点でもあり、その限界点で更に矢を「引く形」になれば、弓の糸は切れてしまう事になり、糸が切れれば矢は飛ばずに「地に落ちる」わけです。
 

弓の糸が最も強く張るポイント = 相場の極致点

この弓矢の話をそのまま「相場の値動き」に置き換えるなら、矢を射る弓を引くような形で相場がどちらかに進行している時、

・ここで反転すれば天高く飛ぶ矢のような相場が始まる
・そこで反転しなければ地に落ちる矢のような相場になる

そんな「相場の極致点」となるようなポイントを分析できれば、そこで矢が飛ぶ可能性がある方向にポジションを建て、実際に相場が反転すれば、そこから大きなリターンを実現できます。

逆に、そこで弓の糸が切れるような相場になれば「もう、矢が飛ぶような相場にはならない」という判断となり、その時点ですぐにポジションを解消すれば良いわけです。

つまり、一定範囲の相場を「弓」のようなイメージで捉えた上で、

『その範囲の極致点から(矢が放たれるような)相場が始まるポイント』
『その極致点を割り込んだら(糸が切れたら)迷わず損切りを実行できるポイント』

これを的確に判断できるようなテクニカル分析の基準を確立できれば、その「極致点」まではポジションを建てず、その極致点で初めてポジションを建てるようなトレードを徹底していく事によって、

・矢が天高く飛んでいく相場に沿ってどんどん利益を伸ばせる
・糸が切れた瞬間にポジションを解消して損失を最小限に押さえる

という事が可能になります。

そのようなトレードの実現が可能となれば、その極致点を抜けた相場でポジションを保持し続ける事はなくなり、その極致点を抜けずに反転する相場ではどんどん利益を伸ばせるという事です。
 

損切りを「迷った事」はありませんか?

トレードにおける最悪の事態は『大きな損失を出す事』に他ならないと思います。

とは言え「必勝(勝ち続ける事)」が現実的に不可能なのであれば、いざ「負ける時」の損失は、1円でも損失額を小さくできるに越した事はありません。

ただ、それを頭や理屈で分かっていても、いざ、ある程度の含み損を抱えてしまっている状況では

「ここで相場が戻るかもしれない」「もう少し我慢すれば何とかなるかもしれない」

と、相場がポジション方向に戻る可能性を「期待」してしまうものだと思います。

ですが、そのような「可能性」と「期待」こそが損切りの実行を迷わせ、遅らせてしまう状況を作り出してしまうのが相場の怖いところです。

そして、そのような状況に陥ったトレーダーが、

・取り返しのつかない大きな損失を生み出してしまう
・最後まで損切りができず強制的なロスカットを被ってしまう

このような状況にまで至ってしまう事も、決して少なくありません。

ただ、人間心理の傾向として「損切りをためらう思考」は必然的であり、そのような思考が生じてしまう要因は以下の2つに集約されます。

・すでにある程度の含み損が生じてしまっている事
 → その含み損が確定的な損失となってしまう事への抵抗感
・まだ相場が戻るかもしれない可能性を期待している事
 → 実際に相場が戻り、含み損を解消できる可能性への期待

ただ、この2つの要因を踏まえて、もし、トレードにおける状況判断が、

・ポジションを建てたばかりのため含み損はほんのわずか
 → その含み損を確定しても、さほど大きな損失にはならない
・相場が戻る可能性は低く、むしろマイナスに進む危険の方が大きい
 → 最も損失を低くできるのが「今」である可能性が高い

このような状況であれば、それこそ損切りに「迷い」は生じませんし、このような状況で、まずポジションは「保持したくない」はずです。

その上で、先ほど弓矢のイメージで例えた「矢を射る弓の糸が最も強く張るギリギリのポイント(相場の極致点)」は、それ以上、矢が引かれた時点で糸が切れてしまう可能性が高いポイントでもあります。

よって、もし、その「極致点」を更に割り込むような状況となれば、それは、その時点の一定範囲の相場を「弓」として見た場合における「弓の糸が切れる(切れた)ポイント」となるため、

・もう矢が飛ぶような相場にはならない可能性が高い状況
・それどころか矢が地に落ちる可能性が極めて高い状況

という判断に至るため、これはもはや最善の「損切りポイント」でしかありません。

つまり「相場の極致点」となるようなポイントは「最善のエントリーポイント」である共に、その「極致点」を少しでも割り込んだ時点で「最善の損切りポイントになる」という事です。
 

最善のエントリーレートと最善の損切りレートの「極致点」を狙う。

そんな「最善のエントリーレート」と「最善の損切りレート」を兼ねる、そのギリギリの「境界線」となるポイントこそが『相場の極致点』であり、その「極致点」を的確に分析する事が出来れば、

・極致点で反転した相場に沿ってどんどん利益を伸ばす
・極致点を抜けた相場は即座に損切りを行って次のチャンスを待つ

という、限りなくローリスクでありながら、そのリスクを大きく上回るハイリターンを追及できるようなトレードのみを徹底して行っていく事ができます。

つまり、私が理想とするテクニカル分析は、そんな「相場の極致点」の判断を的確に行える分析基準に他ならないという事です。

▼「極致点のテクニカル分析」は可能なのか。

この話を聞いた上で、実現の可能性や難易度の解釈は人それぞれだと思います。

ですが、ここで言及したようなテクニカル分析の基準は、あくまでも「相場の極致点となるポイント(レート)を分析する基準」であって、その極致点で相場がどう動くのかの予測基準を前提としているわけではありません。

あくまでも一定の基準によって定めた範囲の相場を「弓」とした上で、その範囲内の「極致点」となる位置(レート)を分析できれば、それで「十分」という事です。

少なくとも、そこまでの「基準」の確立であれば、私は現実的に「可能」と考えたため、まずは「一定範囲の相場における極致点を分析する基準」を追及していくところから着手していったわけです。

実際にそのような「極致点の分析基準」さえ確立することができれば「そこから相場がどちらに動くのか」という予測は、単純に「5割の確率」となったとしても、

・極致点から進行していく相場では大きくリターンを伸ばす
・極致点を割り込んが時点で損失は最小限に押さえる

というトレードを徹底していく事で、十分に利益を伸ばせしていく事ができます。

そのような経緯を経て、私が実際に確立しているテクニカル分析の基準は、まさにここで解説した、相場の極致点を判断するテクニカル分析が基本となっているという事です。

以上、本講義では『テクニカル分析の終着点』というテーマで、私が考える、その理想的な分析基準の1つを言及させて頂きました。

もちろん、テクニカル分析の「在り方」や「方向性」は、決してここで言及したようなものに限るわけではありません。

ですが、このような「最善の形」を描いた上で、それを実現できるような分析基準を追及していく事が成功への近道だと思いますので、その方向性の1つとして参考にして頂ければと思います。

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今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、よろしければ併せて参照してみてください。


>テクニカル分析の本質に基づく「本当に有効なトレードルール」の条件とは。

>テクニカル分析に基づく有効なエントリーポイント(ルール)の考察。

>有効なテクニカル分析と無意味なテクニカル分析の決定的な違い

>テクニカル指標の「有効な組み合わせ」を導き出す原則について


本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。