仮想通貨の取引所(販売所)を選ぶ際のポイントとして「取引手数料とスプレッドがどれくらいなのかのチェックは必須事項の1つ」と言っていいと思います。

尚、ここで言う『取引手数料』は「その取引所内で取引を行っていく際に取引所側に徴収されていく手数料」を意味するもので『スプレッド』は「同じタイミングで仮想通貨を売る場合と買う場合の価格差」を意味するものですから、基本的にこれらは「全くの別モノ」です。

ただ、仮想通貨の取引所を比較しているサイトなどでは「取引手数料」のみを大々的に掲載して「スプレッド」についてを一切、記載していないようなサイトも少なくありません。

そのため「取引手数料」についての情報だけを鵜呑みにして取引所を選んでしまい、実際にその取引所を使ってみて初めて「スプレッド」の存在に気が付くようなパターンも少なくないようです。

そこで、ここでは仮想通貨の取引所における「取引手数料とスプレッドの違い」と、それぞれの取引所における双方の比較などを行ってみたいと思います。

この「取引手数料」と「スプレッド」の違いで、その後の取引における収支が大きき変わってしまう可能性もあります。

もし、これから仮想通貨の取引所を選ぶ段階にある場合は、ご自身の取引の方針に見合う取引所を選ぶ指標にもなると思いますので、是非、参考にしてください。

仮想通貨の取引所における取引手数料とスプレッドの違い。

株や為替、また、仮想通貨などで実際に「取引(売買)」を行った事がある人であれば、先ほどの説明で「スプレッドの意味」や「それがどういうものなのか」は概ね理解できるものと思います。

ですが、そういった経験が全く無ければ、

スプレッド:同じタイミングで仮想通貨を売る場合と買う場合の価格差

というものの「意味」や、それが「何なのか」がいまいちよく分からないかもしれません。

よって、この『スプレッド』については、実際に私が利用している「仮想通貨の取引所の取引画面」と併せて、もう少し詳しく説明しておきます。

↓↓↓
 

 
これは私が実際に利用している「bitFlyer(ビットフライヤー)」という仮想通貨の取引所内におけるビットコインの取引画面の1つで、画像内の中の青い丸で囲った部分には『購入価格』という表示があり、赤い丸で囲った部分では『売却価格』方が表示されていると思います。

多くの仮想通貨の取引所では、このように、その仮想通貨を「買う場合の価格」と「売る場合の価格」が併せて表示されているのですが、ご覧の通り、それぞれの価格には「差」があるのが普通です。

このような「価格差」こそが、まさに『スプレッド』にあたるものであり、上記画像の時で言えば、

購入価格:440,272円 - 売却価格:418,048円 = 22,224円

この『22,224円』がスプレッド(価格差)という事になるため、仮にこの取引所でビットコインの売買を行って「利益を得たい」という場合、440,272円の「購入価格」で購入した時点で、そこから22000円以上の「値上がり(相場の上昇)」が無い限り「利益」を出せない事になります。

言い方を変えれば(その時点では)418,048円でしか売る事ができないビットコインを440,272円で「買わされる」という事です。

ただ、このような『スプレッド(購入価格と売却価格の差)』は、仮想通貨の取引所においてはあって当然のもので、むしろ、仮想通貨の取引所は、この「価格差(スプレッド)」を作る事で利益を出しています。

要するに、手数料を取っていない仮想通貨の取引所は、売る時は高く売り、買い取る時は安く買い取る事で利益を出しているわけです。

「取引手数料0円(無料)」のカラクリ。

この『スプレッド』は、あくまでも仮想通貨の取引所側が「購入価格」と「売却価格」に差を作る事によって生じているものであるため、いわゆる「取引手数料」とは異なるものです。

つまり、仮想通貨の取引所は、これとは別の形で「取引手数料」にあたるものを別途、徴収している場合があり、取引手数料0円(無料)を謳っているような取引所は、この「スプレッド」によって利益を出していると考えられます。

ただ、仮に取引手数料が0円(無料)であっても、この「スプレッド」が高く設定されている場合は、最終的な売買の「結果」として、かなりの金額を徴収されてしまう事にもなりかねません。

このスプレッドが大きく開いているほど、手数料とは別の形で不利な取引を強いられる事は明白です。

だからこそ、仮想通貨の取引所を選ぶ時は、必ず手数料と併せて「スプレッドの開き(大きさ)」のチェックする必要があるという事です。

仮想通貨の取引所における取引手数料とスプレッドの比較。

仮想通貨の取引所における『取引手数料』は、わりと大々的に掲載されている事が多いため、これは一目瞭然で確認できる場合がほとんどで、仮想通貨の取引所を比較するようなサイトでも『取引手数料』の方は、決まって各取引所ごとに、その情報をそのまま掲載している傾向にあります。

ただ『スプレッド』の方は、実際の取引画面などを見れば一目瞭然ではあるものの、逆にそれ以外の方法で確認する事が難しいため、サイトによっては、一度、利用登録をしなければならないなど、その「確認」が面倒なのが実情です。

ただ、その大きな判断基準として、

・サイト側との直接取引(売買)を前提としている取引所:スプレッドが高い
・ユーザー間の取引(売買)を前提としている取引所:スプレッドが低い

これを大きな基準の1つにすると、取引所選びがよりスムーズになると思います。

▼2つに大別できる取引所の取引形態。

ここで言う、

『サイト側との直接取引(売買)を前提としている取引所』

は、以下のようにサイト側が該当する仮想通貨のレートに沿った「購入価格(買う場合の価格)」と「売却価格(売る場合の価格)」の両方を以下のような形で提示している取引所の事を言います。
 

 
対して、もう1つの

『ユーザー間の取引(売買)を前提としている取引所』

は、以下のような「板」(赤い四角で囲った部分)と呼ばれるものを介して同じサイトの利用者同士が取引(売買)できる形になっている取引所が該当します。


 
一般的に前者の取引形態を前提とする取引所は、仮想通貨の『販売所』と呼ばれている傾向にありますが、これらの違いについては以下のような記事がありますので、こちらも併せて参考にしてください。

>仮想通貨、ビットコインの「販売所」と「取引所」の違い。

 
その上で、以下のような、

『利用者との直接取引を前提としている仮想通貨の取引所(俗にいう「販売所」)』

では、サイト側はあえて「取引手数料」を取らずに「スプレッド」によって利益を上げている傾向にあるため、必然的にスプレッドが高く設定されています。
 

とくに仮想通貨は短時間でも大きな値動きがあるため、サイト側もそのリスクヘッジを兼ねて、かなり高めのスプレッドを設定している傾向にあり、主軸コインの「ビットコイン」などあれば上記のように『2万円以上のスプレッド(価格差)』がある事もザラです。

対して以下のような、

『ユーザー間の取引を前提としている取引所』

の方では「取引手数料」を徴収している場合が多く、このような取引所は以下のような「板取引」が主となっています。
 

 
このような「板」を介した利用者間の取引を前提とする取引所の場合、そこに生じている「スプレッド」は、あくまでもユーザー間の「買い注文」と「売り注文」の差によって生じていくものです。

このような「買い注文」や「売り注文」は各々の利用者がレートに近い金額を競り合いながら指定していくことから、そこに生じる「スプレッド」の方も必然的に狭まっていく傾向にあります。

実際に上記の画像を見ても「買い」の価格と「売り」の価格に差はありますが「買い」の注文の最高値は『429,655円』で「売り」の注文の最安値は『429,508円』ですから、

429,655円 - 429,508円 = 153円

この通り、この時のスプレッド(価格差)は、たったの『153円』となっています。

つまり「ユーザー間の板取引」を前提とする取引所の方では、必然的にスプレッドが小さくなる(狭くなる)傾向にあるという事です。
 

▼スプレッドによって、いかに取引(売買)が不利になるか。

尚、ここに掲載した画像はいずれも「bitFlyer(ビットフライヤー)」というサイトで、全く同じタイミング(※2019年3月)に保存したものなので、同じサイト内で同じビットコインを購入する上でも、

直接取引:440,272円/1枚
板取引 :429,655円/1枚

と、ここでも1万円以上の価格差があり、同じタイミングで売却するにしても、

直接取引:418,048円/1枚
板取引 :429,508円/1枚

と、やはり1万円以上の差がありますから「いかに『販売所』で売買する事が不利(損)であるか」は一目瞭然だと思います

ちなみに、このレートで1枚のビットコインを「板取引」で購入する場合のビットフライヤーの取引手数料は「0.13%(40万円相当の取引にかかる手数料)」ですから、その金額はせいぜい600円程度です。

この「手数料」を踏まえた上でも、やはり「高いスプレッドで売買する事」が不利(損)である事は明白かと思います。

 
その上で、有名どころの仮想通貨の取引所で「直接取引」が主軸なのは、

・GMOコイン
・DMMビットコイン
・BITPoint(ビットポイント)

あたりで、これらの取引所は、いずれも「手数料無料」を謳っているものの、やはり「スプレッド」が高めに設定されています。

対して「ユーザー間の板取引」を主軸にしている取引所は、

・bitFlyer(ビットフライヤー)
・bitbank(ビットバンク)

などであり、取引の内容によって取引手数料がかかりるケースもあるものの、先立って挙げた取引所のスプレッドによって生じている価格差に比べれば、本当に微々たるものです。

追記:GMOコインも「取引所」のサービスを開始した模様です。

もちろん「サイト側との直接取引」には、数量を問わず提示された金額で即座に取引を行えるメリットもありますが、これはよほどの大口取引(億単位の売買など)を行う場合に限られるようなメリットです。

よって、さほど大きな数量を伴わないような一般的な取引(売買)が前提なのであれば、直接取引を行うメリットは、ほぼありません。

だからこそ、仮想通貨の取引所を選ぶ場合は「取引手数料」と併せて「スプレッド」もしっかりと確認し、その際には「取引の形態」も併せて確認する事をお勧めします。
 

▼手数料とスプレッドを踏まえて「お勧めの取引所」はどこなのか。

こうした「取引手数料」と「スプレッド」の双方を踏まえて、私が最もお勧めする仮想通貨の取引所は、以下の2つです。

bitFlyer(ビットフライヤー)

 
bybit(バイビット)

bitFlyer(ビットフライヤー)は国内の取引所で、bybit(バイビット)は海外の取引所となっています。

その上で、私の仮想通貨の取引所の「用途」は『ビットコインの証拠金取引(FX)』であり、かなりの『短期的な売買(いわゆるスキャルピングトレード)』に特化していますので、この2社はそのような用途を前提する上で選んでいます。

ただ、短期的な売買を前提としているからこそ、ここでお伝えしてきた「取引手数料」と「スプレッド」は、かなりシビアに見た上で、上記の2社を選んでいる事は間違いありません。

いずれも「板取引」を前提とする取引所であるため、スプレッドはほぼ無いに等しく、それぞれの「証拠金取引(FX)」における取引手数料も、以下のようにかなりの好条件となっています。

・bitFlyer(ビットフライヤー):無料(※1)
・bybit(バイビット) :-0.025%~0.075%(※2)

※1:bitFlyerの変動手数料SFD (Swap For Difference)について

ビットフライヤーでは相場の状況によって稀に生じる変動手数料(通称:SFD)のようなものがあるため、こちらが生じる時のみ、私はもう1つの「bybit(バイビット)」を利用するようにしています。

※2:bybit(バイビット)の手数料について

bybit(バイビット)は取引時の注文の出し方で手数料が変わる仕組みで『-0.025%』のマイナス手数料は、収益として還元される形になっています。

少なくとも、私のトレード手法では、このマイナス手数料を「もらえる事がほとんど」であるため「bybit(バイビット)」は、その使い方(注文の出し方)次第では手数料だけでも稼げてしまうという事です。

尚、この「bitFlyer(ビットフライヤー)」と「bybit(バイビット)」の2社については、それぞれの手数料の仕組みなどについて、別途詳しく解説している記事がありますので、こちらも併せて参考にしてください。

>bitFlyer(ビットフライヤー)の使い方、手数料、SFDの詳細

>bybit(バイビット)の使い方、手数料等の詳細

 
以上、ここでは仮想通貨の取引所における「取引手数料」と「スプレッド」についてと、それを前提とする「取引所の選び方」などを解説を言及させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、こちらも是非、参考にして頂ければと思います。

>仮想通貨、ビットコインFX、各取引所の比較と選び方について。

>株、為替(FX)、仮想通貨、どの相場が最も稼ぎ易いのか。


本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。