トレードにおいては、自らが従っていくべき「トレードルール」を確立していく段階で、
・トレードを行っていく上でのリスクの範囲(損失の大小) ・トレードを行っていく上でのリターンの範囲(利益の大小) |
これらをそれぞれ「ルールに準じた範囲(大小)」に定める事ができます。
前者のリスクの範囲は「どこまでのリスク(含み損)を抱える前提のトレードを行っていくのか」を定める損切りのルール(ロスカットルール)。
後者のリターンの範囲は「どこまでのリターン(利益)を追及する前提のトレードを行っていくのか」を定める利食いのルール(利確ルール)。
もちろん、それぞれの「条件」や「基準」を定めていく以上、リスクの範囲を小さく、リターンの範囲を大きくしたからといって、必ずしも「勝てる(稼げる)」とは限りません。
結局のところ「そのルールに沿った形で勝てるかどうか」は、先立つエントリーの基準や、それに紐付ける形で「損切り」や「利食い」のルールが有効に働くかが重要になってくるからです。
ただ、それぞれのルールに伴う「リスクの範囲」と「リターンの範囲」の比率は、実質的に、トレードの方向性や在り方の大きな決定要因となります。
つまり「損切り(ロスカット)」と「利食い(利確)」のルールがどうなっているかで、自分の理想とするトレードを行えるかどうかが大きく左右されるという事です。
その上で、今回は私が実際に『理想』とするトレードの在り方を1つの題材として、それに対してどのような視点で損切りと利食いのルールを追及していったのか。
そんな「理想的なトレードの実現」と「利食いと損切りのルールに伴うリスクとリターンの適正比率」をテーマとする講義を進めていきたいと思います。
トレードの「理想」と「損切りと利食いの適正比率」について。
物事を進めていく上で「理想を描く事」そして「その理想を追求する事」は非常に重要な事だと思います。
ただ、実際に自らが思い描く「理想」が、あまりに漠然としていたり、到底、現実的に実現ができそうにないものでは、その実現に向けた「理想の追求」もできません。
あくまでも「どのようなトレードが自分にとって理想なのか」を模索した上で、現実的に追求の余地がある理想を具体的に描かなければならないという事です。
もちろん、お金を稼ぐためにトレードを行っている以上は、より多くのお金が稼げるトレードが理想という人もいるかもしれません。 ただ、そのような「漠然とした理想」では、それを追及していく道筋も漠然としか見えてこないため、あくまでも『理想』は追求の余地があるものを具体的に描く必要があるという事です。 |
とよって、ここで言う「理想のトレード」は人によって異なるはずですが、私の場合は「稼ぐ事」を前提する理想よりも『徹底して損をしない事(負けない事)』の方に比重を置く形で「理想」を描いています。
そのような理想を追求しているからこそ、現時点でもツイッターを介して行っている「公開トレード」では、9割以上の勝率を実現できているわけです。
ただ、ここで言う『理想』は、厳密には高い勝率を維持する事とはまた別モノであり、
・徹底して負けてしまう可能性、損をするリスクそのものを回避できるようなトレード ・そのようなリスクそのものをほぼ抱える事なくリターンのみを追及できるトレード |
このようなものが、私が描く「理想的なトレード」にあたります。
つまり、これは「勝率云々」ではなく、1回1回のトレード(売買)において、根本的に「リスクおよび損をする可能性を回避できるトレードこそが理想」という事です。
私の理想:リスクそのものを「抱えない前提」のトレード。
このような理想を追求する上での、トレードにおける「リスク(損失)」は、ポジションを建てた後、レートがマイナス方向に進行していく状況によって「含み損」という形で生じるものだと思います。
そして、そのままレートがどんどんマイナス方向に進行してしまうと、その「含み損」がどんどん大きくなってしまうわけです。
そんな時、多くのトレーダーは「含み損」を抱えながら、そのリスク(含み損)が更に大きくなっていくかもしれない状況に「不安」と「ストレス」を抱えながら、相場が戻る事を必死に待ち続けます。
この時、どこかでその含み損を確定させる行為が『損切り』であり、何らかの条件を前提にそれを実行するケースもあるわけですが、実際のトレードにおいて「含み損を抱えている状況」は、
『その瞬間が損失を最小限にできるタイミングである可能性』
『現時点の損失で手を引けるのは、今が最後である可能性』
などが「常」であり、それが「現実」となる事も少なくありません。
まして、明確な「損切りの基準(ルール)」を定めていないトレーダーからすれば「その含み損がやがて資金の全てをショートさせるまで膨れ上がる可能性」さえあります。
そう考えると「含み損」は、それ自体が「リスク」であり、そのようなリスクは、根本として「抱えずに済む」に越した事はありません。
それこそトレードで含み損を抱える事なくリターンを追求できれば、トレードにおいて「不安」や「ストレス」を抱える事も無くなると考えられます。
何より「徹底して含み損を抱えない」という条件でトレードを行い、ポジションを「保てる」という状況は「レートがポジション方向に進行している状況」を意味します。 つまり、徹底して含み損を抱えないトレードでポジションを保てる状況においては、更に利益を伸ばせる可能性に対する「期待」のみを抱えながらトレードを行えるわけです。 |
私としては、そんな『ストレスフリーなトレードの実現こそが理想』という事です。
「理想の実現」に不可欠なピース。
よって、ここで言及した「理想的なトレードの実現」においては
・レートがマイナス方向に動いた時点で即座に損切り
・レートがある程度プラス方向に動かない限り利食いをしない
といった「損切り」と「利食い(利確)」のルールを前提にトレードを行っていく事になります。
そして、このようなトレード条件で実際に「リターン(利益)」を追求していくには、
・損切りルールにおけるリスクの範囲(損失の大小) ・利食いルールにおけるリターンの範囲(利益の大小) |
これらの比率における、いわゆる「リスクリワード」が重要となるわけですが、これについては先立って言及した通り、その水準となる数値を「ルール」によって固定する事ができます。
よって「ルール」によって固定した「リスクリワード」に対して、リターン(利益)を積み上げられる範囲の「勝率」を継続的に実現する事ができれば、それが1つの「ゴール」になるという事です。
その上で、極端なルールで理想的なトレードの実現を追及するなら「少しでもレートがマイナス方向に動いた時点でポジションを解消する」という前提において、レート変動の最小単位が1円なのであれば、
『1円でもレートがマイナス方向に動いた時点で損切りする』 |
というような損切りルール(ロスカットルール)を定める事で「リスクリワードにおけるリスクの最小化」は、実質的に実現できる事になります。
ただ「リターンの最大化」は実質的に青天井になってしまうため『リスクに対して何倍のリターンを追及するのか』という視点において、その範囲を「10倍」に設定したなら、
『10円の含み益が出た時点で利食いする』 |
というような「利食いルール」が前提となります。
このようなリスクリワード条件(比率)を前提とする場合、
・一回の勝ちトレードで10円の収支(プラス) ・一回の負けトレードで1円の損失(マイナス) |
という事になるため、その後のトレード勝率が「10%以上」であれば、理論上、損益は「プラス」になっていく事になります。
逆に、勝率が10%を下回ってしまう場合においては、損益はどんどん「マイナス」になってしまうという事です。
また、この「リスクリワードの条件(比率)」を、
『1円でもレートがマイナス方向に動いた時点で損切りする』 『100円の含み益が出た時点で利食いする』 |
このように「1:100(100倍)」としたなら、
・1%以上のトレード勝率を実現できれば損益はプラスになっていく ・トレード勝率が1%を下回ると損益はマイナスになっていく |
という事になります。
このような考え方を前提に、
「リスクを最小限に押さえた上でのリターンの追求」
「リスクリワードの比率に対して収支をプラスにできる勝率の実現」
これらをクリアできるトレードルールを確立する事ができれば、含み損(リスク)をほぼ抱える事なく理想的なトレードでリターンを追求できるという事です。
リスクリワードの適正比率は「理想」次第。
ただ、ここで言及した内容はあくまでも「私の理想とするトレード」を前提としたものであって、必ずしも、このようなトレードが「最善」であり「正解」というわけではありません。
実際に一定の含み損を許容していく前提で勝ち続けているトレーダーも存在しますし、投資の世界で最も成功している「ウォーレン・バフェット」などは、
「10年間、チャートを見なくても保有できるような株を買いなさい。」 |
といった言葉を残し、実際にこの言葉通りの投資手法で大きな成功を納めています。
これは『株を買った後の相場がどうなろうと構わず保有し続ける』という事であり、実質的に「損切り(ロスカット)」という概念そのものを、実質的に度外視しているのと変わりません。
つまり、ウォーレン・バフェットは、自分が手を出した後の「株価」がどうなろうと、最終的には相場がもとに戻り、そして上がり続けていく事を確信できている株だけを買っているわけです。
確かに、そのような株を判断できる確固たる「基準」を確立する事ができているなら、投資を行った後の「損切り(ロスカット)」は不要なのかもしれません。
実際にウォーレン・バフェットは、徹底した「ファンダメンタル分析」に基づく長期的な企業価値の算定によって、そのような「長期投資」に適した銘柄の株を数十年と買い続けています。
まさに、自分の理想通りの投資を行える株だけを手にしていく事で、長期間で圧倒的なパフォーマンスを実現し、今や世界一の投資家になっているという事です。
▼「投資」の理想と「投機(トレード)」の理想。ここでは、あえて私が考えると「理想」と、ウォーレン・バフェットの投資手法を引き合いに並べましたが、私とウォーレン・バフェットでは、根本的な「相場」の捉え方が異なります。
その上で、私が行っているテクニカル分析では、まず、その対象となるものの数年後の価値や将来性などは、まず判断のしようがありません。 「短期的な値動きの予測は難しい」 と言っているのですから、短期的な値動きを予測した上での「投機」では、時に損切りを行ってリスクを回避する判断が不可欠だと思います。 |
トレードの「理想」と「損切り」と「利食い」の適正比率。まとめ
以上の通り、今回の講義では、
・私が理想とするリスクの回避を徹底するトレード ・ウォーレン・バフェットのリスク回避を度外視する投資手法 |
この2つを題材とした上で、損切りルール(ロスカット)と利確ルール(利食い)の適正比率を言及させていただきました。
ウォーレン・バフェットが最も成功している投資家である事は疑いの余地もありませんが、私がトレードで一定の成果を上げている事も、ツイッターなどを介した公開トレードで十分に実証する事が出来ています。
その上で、私の「理想のトレード」と「ウォーレン・バフェットの投資手法」には、
・視点は真逆なもののリスクへの懸念や不安を除外できる判断基準の追及している ・リスクリワードにおいてはリターン(利幅)を広げる事に重きを置いている |
このような共通点があり、これは実質的に、一定の成果を上げている投資家、トレーダーの多くに共通している部分かもしれません。
いずれにしても、私が掲げるような「理想的なトレード」の実現には、
・損切り(ロスカット)の範囲を可能な限り狭める
・利食い(利確)の範囲は広めにする
このような比率を前提とした上で「勝ち続けられるエントリー基準の確立」が必要不可欠でした。
そして、そのようなエントリー基準の確立において追及しなければならなかったものが、このブログのテーマでもある「テクニカル分析」だったわけです。
そんな「理想的なトレードの実現を前提としたテクニカル分析」については、別途、以下のような関連講座がありますので、併せて参考にしていただければと思います。 >最良なトレードルールを実現するテクニカル分析の考察 |
以上、本講義では「理想のトレードと損切り(ロスカット)と利食い(利確)の適正比率」というテーマを言及させて頂きました。
今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、よろしければ併せて参照してみてください。
>含み益は伸ばすべきなのか。有効な「利確ポイント」の考察。
>含み損に対する「損切り」の重要性と有効な損切ルールの考察。
>勝率とリスクリワードから捉える有効なトレードルールの条件。
本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。