-ビットコインはチューリップバブルの再来である。

ビットコイン相場の高騰を、多くの著名な投資家や専門家が、17世紀にオランダで生じたとされる「チューリップ・バブル」に例えています。

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ビットコインは現代版チューリップバブルであり、仮想通貨の背後にある神秘的雰囲気により価格が急騰しているに過ぎない。-ウォーレン・バフェット氏
ビットコインはチューリップバブルのようなものだ。数日間で40%、50%上げ下げするものに賭けたい人のための投機手段だが通貨でないことは確実だ。-欧州中央銀行(ECB)コンスタンシオ副総裁
300年前にも人々はチューリップに資金を投じた。なぜならチューリップが投資になると考えたからだ。-欧州中央銀行(ECB)マクルーフ・アイルランド総裁

チューリップバブルは1600年代、チューリップの球根1つが熟練労働者の年収の10倍の価格で取引されるまでに至った後、その価格が突如、暴落した『記録に残された最初の投機バブル』と言われているものです。

では、ビットコインは本当に「チューリップ・バブルの再来」であり、以前の「チューリップ・バブル」のように、いつか高騰した相場が暴落していく事になるのか。

その辺りを著名人達の「言葉の真意」も含めて、考察してみたいと思います。
 

ビットコイン相場の高騰はチューリップ・バブルの再来なのか。

チューリップ・バブルにおいて、何故、チューリップの価格がそこまで高騰し、暴落したのか、といった部分は経済学者の間でも見解が分かれるため、その内情は「諸説ある」と言われています。

ただ「チューリップ・バブル」という言葉自体は「価格レートが在るべき価値を逸脱して高騰していくような状況」を指して用いられている傾向にあります。

また「バブル」という言葉自体が『本来の価値と逸脱した価格の高騰が暴落していく末路』を差して用いられているものに他なりせん。

つまり「チューリップ・バブル」および「バブル」は、

1:本来の価値と逸脱した異常な価格の高騰
2:その前提で高騰した価格が暴落する

この状況に至って初めて、それが『チューリップ・バブルのようなものだった』と言える事になります。

ただ、実際に「高騰している価格」が本来の価値と逸脱して異常に高騰しているのかどうか。

そして、その前提によって実際に「暴落」していく事になるのかどうかがまだ「分からない状況」では、それが実際にチューリップ・バブルの再来となるかどうかも分かりません。

つまり、ビットコインがチューリップ・バブルの再来となるかどうかは「少なくとも今現在の時点では分からない」という事です。

よって、ウォーレン・バフェットなどの著名な方々の言う『チューリップ・バブルの再来』という言葉は、あくまでも「そうなるのではないか(そうなるだろう)」という予測の範疇でしかありません。

その「予測」を、ほぼ「確証」に近いレベルで述べている人もいるのだと思いますが、その確証の裏付けは結局のところ『ビットコインにそこまでの価値は無い』という、個人の見解に過ぎないものです。

その上で『ウォーレン・バフェット』などは、ビットコインに対して、

ビットコインやその他の仮想通貨を買っても、何か生み出すものを手に入れたわけではない。ただ次のバイヤーがより多い額を支払うことを期待しているだけに過ぎない。
米ドルは価値を蓄えることができるが、Bitcoinはそれができないため、貝殻のようなものだ。孫には私の資産を米ドルで相続したい。
Bitcoinより土地を買う方がよく、また、米ドルのシステムと株式に満足している。

このように発言しているため、ビットコインの「価値」を根本的に否定している事が伺えます。

まさにウォーレン・バフェットは、ビットコインがチューリップ・バブルのような末路を辿るであろう事を、ほぼ「確信」しているわけです。
 

ウォーレン・バフェットが考えるビットコインの価値。

ただ、実際にビットコインがチューリップ・バブルの再来となるかどうかは『ビットコインに価値があるのかどうか』の一点に集約されると思います。

ただ、この「価値」の尺度や定義において、ウォーレン・バフェットの考える「価値」は「現在のレート」や「先々のレート」のような『相場』と呼ばれるものとは異なります。

実情として、ビットコインは2021年の4月頃は「700万円を超える最高値」を付けていますが、この「レート」はあくまでも『売り手側と買い手側の売買が成立した最高金額』でしかありません。

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BTC/JPY 2017-2021

よって、相場における「現在のレート」にあたるものも、実質的には『売り手側と買い手側の売買が成立している現在の(最新の)価格レート』でしかないわけです。

ただ、ウォーレン・バフェットの考える「価値」は、そのような売り手側と買い手側の間によって決まる金額ではなく『成長性のある価値』を投資判断の基準にしています。

例えば「株式」のように、その株式を発行している企業が生み出していく「利益」などに着目し『その上で増加していく価値』に着目しています。

その企業が実際に生み出していく「利益」は、企業の「価値」に上乗せされていく形になるため、そのように『上乗せされていく価値』こそが、ウォーレン・バフェットの考える「価値」に他ならないわけです。

故にウォーレン・バフェットは、もともと「通貨(為替相場)」や「金(ゴールド)」などへの投資は一切行わずに「株式投資」のみを行ってきています。

このようなウォーレン・バフェットの「価値」の判断の上では「ビットコイン」は当然の事ながら「投資」の対象にはなりません。

ですが、この「価値」の解釈や定義を『売り手側と買い手側の売買が成立していく金額』とするのであれば、これは単純な「需要と供給」こそが、その「価値」を左右する指針となります。

常に「需要(買い求める人)」が増え続ければ、レートは上がっていく事になるため、ビットコインの「価値(現在レート)」は、その結果の上で今現在の価格帯に至っているわけです。

よって、今後も「需要」が高まり続けるか、または、どこか一定のレートで継続的に「需要が保たれる」のであれば、ビットコインは少なくとも「バブルではなかった」という事になります。

逆にその需要が一気に無くなり、今現在のレートでは考えられないような価格帯まで暴落したなら、まさに「バブルだった」という事になるわけです。
 

ビットコインはチューリップ・バブルの再来となるのか。

その上で、ここからは私的な「見解」になりますが、チューリップ・バブルで価格が高騰した「チューリップの球根」は『生産』が可能なものであり、また、球根にも『寿命(2~3年)』がありました。

つまり、チューリップ・バブルにおける「チューリップ」は、

・生産者が増えれば生産量も増える
・球根そのものが有限な物質である

これらが明白な時点で、その「価格」が高騰し続けるはずがなく、そうであるからこそ、実際に価格は一気に『暴落』する事になったのだと思います。

それが「有限な物質」であり、また「需要と供給のバランスが崩れた」となれば、その真っ只中で球根を仕入れてしまっていたバイヤーは、競い合うように「売る側」に回ったはずです。

結果として、チューリップの価格は一気に暴落する結果となり、この出来事が「チューリップ・バブル」と呼ばれるようになっているわけです。

ですが「ビットコイン」は、チューリップの球根のように生産が可能なものではなく、また、球根のような寿命があるわけでもありません。

ビットコインと同じような仮想通貨は次々と世の中に出回っていますが、それでも「ビットコインそのものを新たに作り出す事はブロックチェーンの技術的に不可能」と言われています。

また、その存在が「デジタル(暗号)」である以上、それ自体が「有限」というものでもないため、価値の有無はともかく、それ自体が無くなるという事もありません。

そのような点がチューリップ・バブルの「チューリップ」と、仮想通貨の筆頭である「ビットコイン」の決定的な『違い』であり、チューリップ・バブルは、

・生産者が増えれば生産量も増えて需要と供給が逆転する
・球根そのものが有限な物質であり、売買そのものに期限がある

このような実情から『過剰な高騰からの暴落はなるべくしてなっている』と言えますし、その「理由」や「要因」も、上記のようにハッキリしているものだと思います。

ですが「ビットコイン」には、チューリップ・バブルが起こるべくして起こった「要因」が、いずれも当てはまりません。

だからと言って、ビットコインの高騰はバブルではない(バブルにはならない)と断定できるわけではないものの『チューリップバブルのチューリップとは大きく勝手が異なる部分がある』という事です。
 

ビットコインはデジタル上の「ゴールド(金)」になりえるか。

その上でビットコインは『デジタルゴールド』と呼ばれている事もあるように、少なくとも『チューリップ』よりは『金(ゴールド)』に近いものだと思います。

以下は実際の「金(ゴールド)」の相場の推移ですが、金も『生産は(原則)不可能』とされている上で、球根のような『寿命』も存在しません。

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GOLD 2007-2021

こちらの通り、2007年頃の金の相場は「1オンス(31.1035グラム)600ドル前後」でしたが、昨年の2020年は最高値の2000ドルを超えている事が分かります。

金は「万国共通の価値が認められている資産」の代表格であり、各国が発行している法定通貨に対する価値(レート)は少なくとも、ここ10年以上は上がり続けています。

ビットコインが「デジタル」の世界で、同じ役割を担うものになっていくとすれば「金(ゴールド)」の相場のように『価値(レート)が長期的に上昇し続ける可能性も十分にある」という事です。

▼「ビットコイン」と「金(ゴールド)」の決定的な違い

ただ「金」と「ビットコイン」の決定的な違いは、ビットコインの「持続」や「やりとり」には『膨大な電力を消費している』という点です。

とくにビットコインは、価格が高騰すれば高騰するほど、その電力消費量は増加の一途を辿っていると言われています。

確かに「ビットコイン」は「金」よりも保管や、やりとりが、非常に『便利』なものですが、これからの「エコ」の時代に、この「電力の問題」がどう判断され、反映さていくのか。

そういった点を考えると少なくとも私は『ビットコインの今後の価値(需要)を楽観的な視点で明るく見通す事はできない』と思っています。

故に私もウォーレン・バフェットのようにビットコインなどの仮想通貨全般を「投資」の対象とは全く見ていません。

ですが、その「価値」が未知数で分からないものだからこそ「投機」には、この上なく適したものであり、そうであるかこそ、私はビットコインの「相場」を投機の対象にはしています。

まさに短期的な視点で「値動き」を予測し、その変動に準じてリターンを得る「投機の対象として見ればビットコインはあらゆる点で有利」なわけです。

この事については、以下のようなブログ記事で、その理由なども併せて詳しく言及していますので、是非、併せて参考にしてみてください。

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仮想通貨、ビットコインは、もはや投資で稼ぐ対象ではない?

ビットコインの相場が投機(トレード)において有利な理由。

以上、この記事では「ビットコインがチューリップバブルの再来となるのか否か」を考察させて頂きました。

今回の記事と関連する記事も他に幾つかございますので、こちらも是非、参考にして頂ければと思います。


>ビットコインに対するウォーレン・バフェットの発言まとめ。

>投資をするのかトレード(投機)をするのか。

>ビットコインの投資、保有を「ノーリスク」にする方法


この記事が少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。