テクニカル分析に用いるテクニカル指標(インジケーター)の多くは、その計算式の中に「平均」という値を用いています。
有名どころで言えば「移動平均線」などがその筆頭と言えますが、テクニカル指標(インジケーター)の多くが「平均値」を用いた計算式から算出した値をチャート上に表示させているわけです。
その上で、相場の値動きを捉える原則的な理論の1つである『ダウ理論』では、そんな
「平均値」を用いるテクニカル指標に対して、以下のような原則が掲げられています。
-トレンド相場では平均値を用いる複数の指標が相互に共通した指針を示す |
そこで今回の講義は、上記の『ダウ理論』における「平均値を用いた指標でトレンドを捉える原則」について考察していきたいと思います。
ダウ理論における「平均指標」の相互関係について
-相場が明確な「トレンド(流れ)」を形成した場合には「平均値」を用いた、あらゆるテクニカル指標が共通した指針を示す。
これが『ダウ理論』における「平均値を用いた指標でトレンドを捉える原則」とされています。
また、この原則を逆説的に捉えるなら、平均値を用いる特定のテクニカル指標のみが「トレンド」の指針を示していたとしても、トレンドはまだ発生していない可能性がある、という事になります。
ただ、この原則は「平均値」という数値を値動きの予測に用いていく以上は「当然の論理」で『平均』という値は「どこからどこまでの数値を計算の対象とするか」で、その平均の値も大きく変わってきます。
そして、その「平均値を求める対象期間」によって平均値そのものが変わって来れば、そのテクニカル指標が示す指針やインジケーターの形状も、当然、大きく変わってくるわけです。
だからこそ「平均値」を用いるテクニカル指標は、必ず「パラメーター」とされる設定値の項目があり、そこで「平均値の対象となる数字(期間)」を指定する形になっています。
その「パラメーター(平均期間の設定)」をトレーダー側が任意で指定し「その設定値に基づくテクニカル指標が各トレーダーのチャート上に表示されている」という事です。
そのような「平均値」を用いるテクニカル指標の特性と現実を踏まえる限り、仮に特定のテクニカル指標が「トレンド」の指針を示したとしても、それはあくまでも『その平均値に基づく指針』でしかありません。
その「平均値の対象とする期間」の違いによっては、全く同じテクニカル指標でも、
・そもそもトレンドの指針を示していない ・真逆のトレンド方向を示している |
という事も現実にありえるわけです。
平均指標は平均値の期間設定で「値」と「形状」が異なる。
その上で「平均値」を用いるテクニカル指標のパラメーター(平均の対象とする期間)の設定は『ローソク足の本数』で指定するのが一般的となっています。
-チャート上にローソク足何本分の平均値を用いた指標を表示させるのか。 |
このようなパラメーターの「設定値」によって、実際に表示されるテクニカル指標の形状も変わってくるという事です。
以下、平均値を用いるテクニカル指標の代表格である「移動平均線」で例を挙げます。
↓↓↓
移動平均線は「平均レートの推移から相場の流れ(トレンド)を捉える」という使い方を基本とした上で、その向き(方向)が、その平均期間を対象とする相場のトレンド方向という見方をするのが一般的です。
ただ、上記のチャート画像のように、
・150MA(ローソク足150本分の終値レートによる移動平均線)は下向き ・600MA(ローソク足600本分の終値レートによる移動平均線)は上向き |
このような形で「短期間の移動平均線」と「長期間の移動平均線」が全く逆方向を向くようなケースがよくあります。
このような場合、チャート上に表示させている移動平均線のパラメーターの設定値によって、相場の流れを捉える目線も真逆になってしまうという事です。
また、仮に全く同じパラメーターの移動平均線をチャート上に表示させているとしても、どの時間足でチャートを見るかによっても、移動平均線の形状は変わってきます。
例えば以下は、全く同じ時刻、同じタイミングで同じパラメーターの移動平均線を表示させたチャート画像ですが、時間足の違いで移動平均線の向きも真逆になっている事が分かります。
この「移動平均線」のように、指標の計算式に「平均値」を用いるテクニカル指標は、
・どの時間足でローソク足チャートを見るのか ・どのようなパラメーターを設定して指標を表示させるのか |
この違いで、見え方、形状、また、その指標ごとのトレンドや値動きの予測判断そのものが異なるものになってしまうという事です。
平均指標の「合理性」と「不合理性」
平均指標におけるパラメーターは、一定の基準値が定められている指標もありますが、大多数はそのような基準値がとくに定められていません。
また、基準値にあたるものが定められていても、その指標を表示させるチャートの時間足は、短期でトレードを行っているトレーダーと、長期でトレードを行っているトレーダーでは異なる傾向にあります。
故に「平均値」を用いた形で表示させるテクニカル指標は基本的に、特定の時間足における特定のパラメーターのみでは「十分」と言えるほどの相場分析(テクニカル分析)を行えないのが実情です。
特定の時間足における、特定のパラメーターでどんなに強い指針を示していたとしても、それはあくまでも、その時間足における、そのパラメーターによるものでしかない可能性があるからです。
だからこそ、計算式に「平均」の値を用いるようなテクニカル指標を実際のトレードの指針にしていく場合においては、
・複数の時間足、複数のパラメーターの相互でトレンドの指針を確認する ・複数の平均指標を複合的に捉えていった上で値動きを予測する |
このような使い方が有効とされているため、実際に多くのトレーダーがこのような使い方で「平均指標」を実用しています。
移動平均線で言えば、短期から長期までの複数のパラメーターを設定した移動平均線をチャート上に表示させているトレーダーが多く、そこに別の平均指標を組み合わせているトレーダーも少なくありません。
これはまさに「平均指標の弱点と特性を踏まえた上での使い方に他ならないと」いう事です。
平均指標における「相互確認」は必要不可欠。
よって『ダウ理論』の原則の1つである、
-トレンド相場では平均値を用いる複数の指標が相互に共通した指針を示す |
この理論は「平均」という値を用いるテクニカル指標の「弱点」と「特性(理論)」を踏まえれば「当然の原則」であり、この原則を踏まえた「使い方」が実質的に必要不可欠と言えます。
故に「平均値を用いるテクニカル指標」を2つ、3つ、4つと並行して利用しているようなトレーダーは、ある意味、この理論に沿った指標分析を行っていると言えるかもしれません。
ただ、この理論を徹底的に突き詰めてしまうと「複数の平均値を用いるテクニカル指標を多用するほど、より確実なトレンドの発生を察知できる」という理屈になってしまいます。
ですが、実際には統計的な視点で、ほぼ優位性が伴わない指標の組み合わせなども存在するため、あらゆる平均指標を次々と組み合わせていく行為が必ずしも適切とは言えません。
つまり、実際のテクニカル分析やトレードにおいて「平均指標」を用いていく場合は、その計算式に基づくロジックなどを踏まえた上で、
・どの時間足にどのパラメーターを設定したどのインジケーターを表示させるのか ・同一のインジケーターを複数表示させるのか、複数のインジケーターを表示させるのか |
これらを模索しながら、バックテスト、フォワードテストを重ねていく必要があるという事です。
▼ テクニカル指標の優劣。尚、私の経験則で言えば「平均指標」は、全く異なるロジックの指標を2つ、3つと組み合わせた上で、それぞれに有効な時間足やパラメーターを模索していくほど
といった点でデメリットが生じてしまいます。 対して1つの指標のみを突き詰めていく形を取れば、
といったメリットが生じるため、私としては複数の平均指標を用いて、あえてテクニカル分析をあえて複雑化していく事にあまりメリットを感じません。
という時点で、私は「平均指標の利用は全般的に避けた」という事です。 *** 現に私は「普遍性の高い指標」を用いる事で、ツイッターを介してリアルタイムなトレードポイントを投稿していく「公開トレード」で、実際に99%以上の勝率を実現しています。 ↓↓↓ テクニカルトレードと統計心理学、管理人Yのトレード公開用ツイッター
>Twitterによる公開トレードの勝率、パフォーマンス一覧 私がこのような「常勝」に近い勝率を実現できているのは、普遍性の高い絶対的な指標を用いて「限りなく確実性の高い値動きのみを狙ってトレードを行っているからに他ならない」という事です。 |
以上、本講義では「ダウ理論」における「平均値を用いた指標でトレンドを捉える原則」について言及させて頂きました
今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、併せて参考にして頂ければと思います。
>テクニカル指標の「有効な組み合わせ」を導き出す原則について >ダウ理論実践講習:主要トレンドに内在する二次トレンド・三次トレンドの攻略 |
本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。