相場の「動き」をチャート(過去の値動き)から分析し、予測していく「テクニカル分析」では、多くのトレーダーが「平均値」を用いた指標(インジケーター)を利用しています。

テクニカル分析に用いる指標は、その大半が、定められた「計算式」に基づく値を指針とするものになっている中で、その計算式に「平均の値」を用いるものが非常に多く存在するという事です。

その筆頭に挙げられる指標が「移動平均線」などであり、有名どころで言えば「ボリンジャーバンド」「MACD」「ADX」などのインジケーターも移動平均線から派生したものになっています。

それだけテクニカル分析においては『平均の値が重要視されている』という事です。
 

テクニカルの統計分析に「平均値」による指標が重要視される理由。

テクニカル分析は、言わば「値動き(チャート)の統計分析」であり、その上で「平均」の値は、統計の観点においては非常に重要なものとされています。

ですが、テクニカル分析における「統計」は、相場を「大数の法則」のような視点で捉えるのではなく、値動きを捉える「投資家心理」や、その意思決定に基づく「売買の傾向」を捉える事に比重を置きます。

過去から現在に至るまでの全てのチャートデータ(終値など)の平均値を指針として値動き全体の統計的な確率を導き出していくようなアプローチではなく、

・平均値を捉える投資家心理
・その意思決定に基づく売買

これらによって生じる値動きの統計的なパターンを分析していくわけです。

故に、実際のテクニカル分析で用いる「平均」の値は、どのような指標(インジケーター)を用いるにしても、過去のチャートデータ(終値など)の全てを平均したような値はまず使われません。

いざ「平均値」を用いたテクニカル指標を使う場合、大抵のトレーダーは直近の数日から数十日分、または数本から数十本分のローソク足の終値平均を使っています。

以下は、有名どころの「平均値」を用いたテクニカル指標の一般的な平均値の設定ですが、

・移動平均線:20~120日間の平均値(または直近ローソク足20~120本分の終値平均)
・ボリンジャーバンド:20日間の平均値(または直近ローソク足20本分の終値平均)
・MACD:9日間平均値(または直近ローソク足9本分の終値平均)
・RSI :14日間平均値(または直近ローソク足14本分の終値平均)

このように、実際のテクニカル分析で実用されている平均値は、長い年月を経て蓄積されているチャートデータの中で言えば、直近のわずかなデータによる算出値に過ぎないのが実情です。

そして、これらの指標はいずれも『移動平均』と呼ばれる「直近の一定期間のみを対象とする平均値」によって算出されたものが時系列でチャート上に表示されていくようになっています。

これは投資家心理とその意思決定に基づく行動が、過去の全てのチャートデータによる平均レートやその推移よりも「直近のレートによる平均やその推移に強く影響される」と考えられているためです。

故に「移動平均」による指標を用いる事で、新しいデータ(終値など)が加わっていくと共に古いデータが平均値の算出対象から外れていく形となります。

このような「移動平均」の値を用いていく事で、常に直近のレートを対象とする平均値とその推移を捉えたテクニカル分析を行っていく事ができるという事です。
 

直近レートによる平均値とその推移ほど「売買」と「値動き」に影響を及ぼす。

その上で、テクニカル分析における「平均値」や、その「推移」は、すでに市場へ参入している(ポジションを持っている)市場参入者達の状況や、それに伴う心理を洞察する指針にする事が出来ます。

例えば、以下のチャート画像のように「現在レートが移動平均線を下から上に突き抜けていく状況」となった場合。

↓↓↓


 
この移動平均線が表す「平均の値」は、その平均値の対象となった期間内に成立した売買において、その間にポジションを建てた人達の「平均的な参入価格の目安」となるため、

・その間に建てられたであろう買いポジション全体に含み益が生じ始めた
・その間に建てられたであろう売りポジション全体に含み損が生じ始めた

という見方が出来る事になります。

このような状況下における投資家心理としては、含み益が出始めたポジションは「保持」される傾向にあり、また含み損が出始めたポジションは「解消」されていく可能性が高くなると考えられます。

こうした「移動平均線を現在レートが突き抜けるシグナル」は『グランビルの法則』と呼ばれているもので、こうした法則の理論的な裏付けは、まさに心理傾向の洞察から来ているという事です。
 

平均の値とその推移から投資家心理と売買の傾向を洞察(分析)する。

そして、このような心理を洞察する視点は、同じ「平均値」を捉えている、まだ市場に参入していない全ての投資家、トレーダー達も持ち合わせていると考えられます。

故に、テクニカル分析においては、

・平均値とその推移が市場参入者の心理と意思決定の要因になりえる
・相乗してそれらを洞察する全ての投資家、トレーダー達の意思決定の要因になりえる

このような仮定に基づいて「平均」の値や、平均値を用いた「指標」による統計的なパターンの分析を行っていくわけです。

つまり、テクニカル分析における「平均」の値を用いた統計分析は、平均の値そのものから、相場の値動き全体から統計的な確率を導き出していくのではなく、

・直近レートの平均の値
・直近レートの平均の値の推移
・直近レートの平均の値に対する現在レートの値
・直近レートの平均の値を用いた指標やその推移と現在レートの値

これらを1つのトリガー(意思決定の要因)と「仮定」した上で、そこから生じる値動きの傾向を統計的に分析していく事が前提となっています。

その上で、

・その後の値動きに強い影響を与える条件(トリガー)
・その後の値動きをほぼ決定付ける条件(トリガー)

このようなものが「聖杯」と呼ばれるようなテクニカル分析の「絶対基準」に該当するという事です。

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ただ、そのような「決定的な条件」を突き詰めていく上では「平均値」や「移動平均」を用いる指標分析は、致命的とも言える「弱点」と「欠点」を有しているのが実情です。

その「平均値」および「移動平均」を用いたテクニカル分析の致命体な『弱点』や『欠点』については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも是非、併せてお読みになってみてください。

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移動平均線の使い方、弱点と欠点を統計と確率の視点で紐解く

▼ 私が「平均の値」や「平均指標」をテクニカル分析に使わない理由。

私自身がメインで行っているテクニカル分析において言えば、ここで言及したような「平均値」や「平均値を用いる指標(インジケーター)」は、一切使っていません。

確かに「平均」の値は、統計の視点においても有効なものであり、テクニカル分析においても、使い方次第では「そこそこ」の統計確率は実現できます。

ですが「平均」の値を拠り所とする形では、そこをどんなに突き詰めても、やはり、その統計確率は「そこそこのもの」にしかなりません。

そのような手法で継続的なリターンを実現できるなら、それはそれで全く問題はないと思いますが、私は可能な限り、圧倒的なレべルで勝ち続けられる「絶対的なテクニカル」を追及しています。

私の追及したいテクニカルの水準においては「平均値」を頼りにする統計分析では「絶対的なもの」は導き出せないため、私は「絶対的な基準を導き出せる指標分析」を追及しているという事です。

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私が現時点でツイッターを介して公開しているトレードポイントで年間99%以上の勝率を実現する事ができているのは、まさにそのような「絶対基準」を追及しているからに他なりません。

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テクニカルトレードと統計心理学、管理人Yのトレード公開用ツイッター

2019年:勝ちトレード/ 29件 負けトレード/1件(勝率:96.6%)※7月より開始
2020年:勝ちトレード/102件 負けトレード/1件(勝率:99.02%)
2021年:勝ちトレード/ 35件 負けトレード/0件(勝率:100%)※3月時点

>Twitterによる公開トレードの勝率、パフォーマンス一覧

私が実際にこのような「限りなく常勝に近いトレード」を実現できている要因は「絶対基準」に近いものを追及している事にありますので、

・絶対性の高いテクニカル指標とその分析基準
・絶対性の低いテクニカル指標とその分析基準

これらの「違い」については、以下の記事も併せて参考にして頂ければと思います。

↓↓↓

トレンド系とオシレーター系。テクニカルインジケーターの優劣

以上、本講義では「テクニカルの統計分析に平均値によるテクニカル指標が重要視される理由」について解説させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、併せて参考にして頂ければと思います。

↓↓↓

 
聖杯の講義:聖杯に限りなく近いテクニカルトレードを実現するために

聖杯の講義:相場における「絶対的な値動き」とそれを捉えるテクニカル分析について

聖杯の講義:値動き動向を確定的にする「確実性の高いチャートパターン」について

本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。