相場のトレンドに沿ってポジションを建てていくトレード手法を『順張り』と呼び、トレンドの反転を狙って逆方向にポジションを建てる手法を『逆張り』と言います。

一般的には『順張り(トレンドフォロー)』がトレードの王道的な手法とされていて『逆張り』は玄人向きの手法と言われている傾向にありますが、これらは実際のところ「表裏一体」なところもあります。

特定のトレーダーはトレンドに沿った「順張り」を行っているつもりでも、特定のトレーダーは、同じポイントで「逆張り」を行っているようなケースもありえるわけです。

この事については順張りと逆張り、それぞれのテクニカル分析を考察した以下の記事で詳しく言及していますので、併せて参考にしてください。

>順張り(トレンドフォロー)と逆張りのテクニカル分析について。

とは言え、実際にトレードを行っているトレーダーは、その時点の「トレンドの方向」を捉えて、そのトレンドの「継続」と「反転」を判断して『その判断に沿ったトレード』を行っています。

その上で、本講義では『順張り(トレンドフォロー)』および『逆張り』における具体的なトレンド判断や、それに基づくトレードタイミングなどを考察していきたいと思います。
 

順張り、逆張りのトレンド判断とトレードタイミングについて

順張りにしても逆張りにしても、まず重要な事は相場の「トレンド」を認識する事にあります。

トレードの勝ち負けや良し悪しは、この「トレンドの判断」の時点で5~6割は決まってしまうのが実情なのですが、まずは「トレンド」を判断できない事には、順張り、逆張りもやりようがありません。

そして、ここで言う「相場のトレンド」や「トレンドの方向性」をどのように判断するのかで『そのトレンドが現在どのような状況にあるのか』の判断も変わってきます。

その判断に基づいてトレンドが「継続する」と判断してトレードを行うなら、それは『順張り(トレンドフォロー)』になるはずです。

対して、そのトレンドが「反転する」または「反転している」と判断して、認識したトレンドと真逆の方向にポジションを建てるなら、そのトレードは『逆張り』になるわけです。

その上で、相場における「トレンド」は、その段階を大まかに分けるなら、以下のような3つの段階に分ける事が出来ます。

・トレンドの形成局面(トレンドの始まりにあたる段階)
・トレンドの調整局面(押し目となっているような段階)
・トレンドの反転局面(トレンドの終わりにあたる段階)

そこに「トレンド」と言えるものが存在している以上、そこには必ず「始まり」と「終わり」があります。

そして、相場における「トレンド」には、必ず「調整局面」があり、上昇トレンドだからと言って、常に相場が上昇し続け、また、下降トレンドだからと言って常に下降し続けるわけではありません。

実際の相場の値動きが現実にそうであるように、相場内の「トレンド」は、長期的な視点、短期的な視点、それぞれの尺度で見て取れるトレンドが幾つも「混在」しています。

これは「ダウ理論」に基づく考え方になりますが、相場内のトレンドは大きなトレンドの中で、その「調整」を担う小さなトレンドが「内在する形」で二次的、三次的に形成されていくわけです。

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トレンドの中に、その調整を担うトレンドが二次的、三次的に形成されていくという「ダウ理論」については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。

>ダウ理論:主要トレンドに内在する二次トレンド・三次トレンドについて

トレンドの「形成」「調整」「反転」の判断に基づく順張りと逆張り。

ただ、トレンドの「形成局面」「調整局面」「反転局面」は、いずれもトレーダーごとに、その判断基準は異なります。

そして、それらの基準が異なるからこそ、トレーダーごとの「トレンド」の判断基準も異なるわけです。

つまり「トレンドの判断(判断基準)」は実質的に、

・トレンドの形成局面をどういう基準で判断しているのか
・トレンドの調整局面をどういう基準で判断しているのか
・トレンドの反転局面をどういう基準で判断しているのか

これらの違いによるものであり、また、これらの違いが「トレンドを捉える視点の違い」に直結していく事になります。

その上で、実質的にこれらの違いを左右するのは、

・時間足の違い
・テクニカル指標の違い
・指標の視点や設定の違い

これらの違いであり、トレーダーごとの「トレンドの判断基準」は、時間足やテクニカル指標、その設定値の違いの数だけ、その判断も変わってくる余地があります。

その上で、ここでは「王道的なテクニカル指標の代表格」と言える、

・トレンドライン
・移動平均線

この2つによるトレンド判断とそれに基づく「順張り」および「逆張り」のタイミングなどを解説していきます。

トレンドラインによる「順張り」「逆張り」のトレードポイント

トレンドラインによるトレンド判断としては、

・安値と安値を結んでいったサポートライン(支持線)
・高値と高値を結んでいったレジスタンスライン(抵抗線)

これらの2本線が平行になる形で成立する場合、それを「トレンド」と見るのが一般的です。

その上で、高値、安値が切り上がっていれば上昇トレンド、高値、安値が切り下がっていれば、それを下降トレンドと見る事が出来るわけです。

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このようなトレンドラインに対する相場の動向判断はトレーダーによって異なりますが、一般的にはサポートライン付近では「買い」が入り、レジスタンスライン際では「売り」が入る傾向にあると言われています。

よって、上昇トレンドであれば、サポートライン(支持線)に近い位置、または相場が接したポイントで「トレンドが継続する」と判断するなら、そこが『順張り』を仕掛けるポイントになるわけです。
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上記のようなポイントがトレンドにおける「押し目」となるため、相場がサポ―トラインに接して以降、トレンドに沿って相場が上昇していくと判断して仕掛けるトレードは全て『順張り』に該当します。

逆に上昇トレンド内のレジスタンスライン(抵抗線)に相場が接した場合に『トレンドが調整局面に入って反転する』と判断するなら、そのポイントが『逆張り』を仕掛けるポイントになります。

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そこから、ダウ理論で言うところの「調整トレンド」が形成され、相場が戻っていく(下がっていく)と判断して仕掛けていくトレードが『逆張り』に該当するという事です。

ただ、上記のチャートを短期的な視点で捉えているようなトレーダーであれば、画像内の「赤色の下降トレンド」の方に着目しているかもしれません。

そのようなトレーダーが捉えている「トレンド」は『下降トレンド』という事になるため、上のラインにから下のラインに沿って動いていくと判断して行うトレードは『順張り』となります。

対して、下のラインから上のラインに相場が反転して戻っていくと判断して行うトレードが『逆張り』になるため「どちらのトレンドに着目するか」で、

・トレンドの方向(上昇トレンドと捉えるか下降トレンドと捉えるか)
・トレンド内での動向(トレンド方向に動くか、調整方向に動くか)

これらの視点が全く異なるものになるわけです。

ですが、それぞれの視点が異なっていても、以下のように相反するトレンドの「継続」のポイントと「反転」のポイントが一致する場合がありえます。

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この時のチャートに引く事ができる「青色の上昇トレンド」と「赤色の下降トレンド」において言えば、

・上昇トレンドの「継続」を判断する場合の「順張り」のポイント
・下降トレンドの「反転」を判断する場合の「逆張り」のポイント

この両方が同じ「買い」の方向で一致する事になります。

必然的に、このようなポイントでは「順張りの買い注文」および「逆張りの買い注文」が集中すると考えられるため「相場が上昇する可能性も高い」という見方ができるわけです。
 

移動平均線による「順張り」「逆張り」のトレードポイント

移動平均線によるトレンド判断としては、移動平均線が向いている方向を「トレンドの方向」と見た上で、

・移動平均線の方向に沿って相場が推移する限りトレンドは「継続」する
・移動平均線の相場の乖離が大きくなると「調整(反転)」が伴う

このような見立てが移動平均線によって相場を捉える1つのセオリーとなっています。

ただ先立って解説した「トレンドライン」は、どの時間足でも、実質的には同じ形状のトレンドラインが引けるものの、移動平均線は「時間足」と「パラメーター」で、その形状が変わってきます。

そのため、移動平均線を利用しているトレーダーの多くは

・複数の時間足の移動平均線を複合分析(マルチタイムフレーム分析)
・短期、長期の複数の移動平均線を同時分析

このような方法でテクニカル分析を行っていく中で、主軸とする時間足や移動平均線を定めて、その移動平均線に準じたトレンド判断を行っていくのが一般的です。

よって、以下のチャート画像の移動平均線が、その「主軸」としている移動平均線であると仮定するなら。

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上向きの移動平均線の上に相場がある状況を「上昇トレンド」と見た上で、相場が移動平均線に接しているポイントは「トレンドの継続」を予測するのであれば、絶好の『順張り』のポイントという事になります。

ですが、同じチャートで設定値(パラメーター)の異なる以下のような移動平均線を表示させ、この移動平均線を「主軸」としている場合。

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こちらでは下向きの移動平均線の下に相場があるため「下降トレンド」と見る事ができます。

ただ、相場が移動平均線の位置から大きく乖離しているため、相場の「反転」を予測するなら『逆張り』を仕掛けるポイントに該当するわけです。

つまり、上記の相場においては、

・300MA(長期移動平均線)による判断:上昇トレンドに対する順張り(買い)
・75MA(短期移動平均線)による判断:下降トレンドに対する逆張り(買い)

このように、トレンドを捉える視点は真逆でも『順張り』と『逆張り』で「いずれも買い目線で一致するようなポイントになっていた」という事です。
 

順張り、逆張りのトレンド判断とトレードタイミング。まとめ

以上、本講座では『順張り』と『逆張り』のポイントを捉えるタイミングとして、、

・トレンドライン
・移動平均線

この2つの王道的なテクニカル指標に準じた判断の具体例を解説させて頂きました。

もちろん、これらの指標の見方や判断基準は、ここで解説したものが全てではないため、これらの指標を用いているトレーダーでも、異なる判断を下す人もいるかもしれません。

ただ、このような「トレンドの方向性」や「トレンド内の動向」の判断は、ありとあらゆるテクニカル指標ごとに、それに準じた判断の基準が存在します。

また、それらを組み合わせて併用するようなテクニカル分析を行っているトレーダーも多いため、その判断基準は実際のところ「千差万別」と言ってもいいと思います。

ですが、どんなテクニカル指標を用いるとしても、突き詰めて判断するべきものは、

・トレンドの方向(上昇トレンドか下降トレンドか)
・トレンドの状況(形成局面、調整局面、反転局面)

これらの判断であり、この判断を高い精度で行える分析基準を確立する事ができれば、あとはそれに準じたトレードで勝つ事、勝ち続ける事が可能になります。

その判断基準が、長期的なトレンドを判断する事に適しているのか、短期的なトレンドを判断する事に適しているのか。

また、その基準がトレンドの「継続」を判断する事に適しているのか、その「反転」を判断する事に適しているのか。

それによって『順張りが有利か逆張りが有利かも変わってくる』という事です。

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以上、本講義では『順張り』(トレンドフォロー)」と『逆場り』における、それぞれのポイントやタイミングについて解説させて頂きました。

今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、併せて参考にして頂ければと思います。
 

 
>「順張り」と「逆張り」はどちらが稼ぎやすいのか。

>相場における「絶対的な値動き」とそれを捉えるテクニカル分析について

>値動き動向を確定的にする「確実性の高いチャートパターン」について

 
本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。