私はビットコインのFXをメインに、そのノウハウなどを第3者に継承するようなコンサル業も行っているのですが「レバレッジ」についてのご質問を頂く事が比較的、多い傾向にあります。
ただ、レバレッジの仕組みについての質問などではなく、むしろそれを熟知されている方から『ビットコインFXに適したレバレッジの倍率』を聞かれる事が多いわけです。
為替相場を対象とするFXで「レバレッジ」を利用されていた方が、ビットコインのFXでも同じような感覚でレバレッジを使っても問題はないのか。
または値動きの変動が大きい分、レバレッジ倍率は、かなり押さえてトレードを行った方が良いのか。
このような、ビットコインFXにおけるレバレッジ利用についてのご質問を為替FXの経験者さんから頂く事が多いということです。
そこで今回は「ビットコインFXに適したレバレッジ倍率」について言及していきたいと思います。
ビットコインFXに適したレバレッジ倍率。
現在、為替相場を対象とするFXも、ビットコインの相場を対象とするFXも、国内の取引会社では、レバレッジ倍率に規制がかかっているため、以下がそれぞれの「各最大レバレッジ倍率」となっています。
為替FX:最大25倍 / ビットコインFX:最大2倍 |
ただ、上記の規制は国内で運営されている取引会社のみが対象となるため、海外で運営されている取引会社を利用する場合は規制の対象にはなりません。
よって、より高いレバレッジを使ってトレードを行いたいトレーダーは、海外の取引会社を利用しているわけですが、海外の取引会社では以下のように100倍単位のレバレッジを使えるところもあります。
為替FX:888倍(XMなど) / ビットコインFX:100倍(bybitなど) |
その上で「レバレッジ」は、もともとは為替相場を対象とするFXで認知されるようになった仕組みのため、多くのトレーダーは為替相場の値動きに対してレバレッジを使う「感覚」に慣れています。
それこそ、為替相場を対象にFXをやっているトレーダーであれば、勝っているかどうかは別として、100倍以上のレバレッジを使っている人も少なくありません。
ですが、ビットコインのFXで100倍のレバレッジを使っているような人は『ほぼいないに等しい』のが実情かと思います。
もちろん「bybit」などの有名どころの海外の取引所では100倍のレバレッジも「使えます」から、100倍のレバレッジを使ってポジションを建てる事は普通にできます。
ですが、100倍のレバレッジを使ってポジションを建てている状況は、レートの変動率に対して100倍の「含み益」「含み損」が出る事になるため、1%に相当するレート変動で、その100倍の損益が生じます。
例えば1枚400万円相当のビットコインに対して、400万円の資金で1枚分の買いポジションを建てた場合、レートが1%分、変動した時の損益は以下のようになります。
1%上昇(400万円→404万円)4万円 × 1BTC = +4万円の収益 1%下降(400万円→404万円)4万円 × 1BTC = -4万円の損失 |
上記の損益が「100倍のレバレッジ」をかけて「100枚分の買いポジション」を建てていたものだった場合は、以下のようになるわけです。
1%上昇(400万円→404万円)4万円 × 100BTC = +400万円の収益 1%下降(400万円→404万円)4万円 × 100BTC = -400万円の損失 |
このように1%分のレート変動率で資金がそのまま2倍に増えますが、レートが逆に振れた場合は「0」になってしまうk所とが分かります。
レバレッジを使ったポジションで資金額、およびそれ以上に相当する損失が生じた場合は、その時点で強制ロスカット(損切り)となり、ポジションが強制的に解消されます。
つまり「その時点で運用資金の全てを失ってしまう」という事です。
レバレッジ利用において絶対に避けなければならない事。
ここで説明した内容は、為替相場のFX(レバレッジ)でも同じ話ですから、100倍以上のレバレッジというのは「レートが1%分マイナス方向に動くだけで資金がショートするリスク」が伴います。
ドル円などの100~110円ほどを推移している為替レートで言えば、1円ちょっとのマイナス方向の値動きで資金が吹き飛ぶという事です。
ただ、為替相場の場合は、1%に相当する1円ほどのレート変動が、ものの1分、2分といった短時間で一気に生じるような事はめったにありません。
仮に1円ほどのレート変動があるとすれば、それは徐々に動いていった相場が結果的に1円ほど動くというケースがほとんどのため、その途中経過でポジションを解消するなどのリスクヘッジが出来ます。
要するに、為替相場を対象する場合は100倍以上のレバレッジでも、リスクヘッジを徹底すれば使えない事もないわけです。
ですが、ビットコインの相場の場合は1%分に相当するレート変動に「1分」もかからない事がザラにあります。
例えば以下は「1分足」のチャートになりますが、色を付けている範囲の縦幅が、この時のビットコインレート450万円の1%に相当する4万5000円の範囲です。
↓↓↓
こちらを見てもお分かり頂ける通り、1分間の値動きの範囲を表すローソクの変動範囲(ヒゲを含めた範囲)で、4万5000円の枠の範囲以上にレートが動いているポイントが幾つか見受けられます。
つまり、ビットコインの相場では、変動率1%に相当するような値動きが、数分ごとに頻発しているため、このような相場でレバレッジ100倍のポジションを建てるなど自殺行為としか言いようがありません。
どんな凄腕のトレーダーでも、数分の値動きに相当する範囲のマイナスポジションを回避し続ける事など、まず「不可能」だからです。
何よりレバレッジの利用において、そして、そもそもの「トレード」において、絶対に避けなければならないのは、運用資金を失ってしまう事です。
突き詰めて言えば、その「可能性」さえ、あってはいけないわけですから「ビットコインの相場でレバレッジ100倍のポジション建ては現実的ではない」という事です。
ビットコインFXのレバレッジ利用は「何倍」が妥当か。
では、ここまで値動きの変動が大きいビットコインの相場において、レバレッジの倍率は何倍が妥当なのか、という話ですが、これはとどのつまりトレードのルール、やり方次第かと思います。
自分自身のトレード手法が「どこまでの含み損を許容するものなのか」で、そのルールの上での理論上の「限界倍率」が決まってくるからです。
例えば変動率が「2%」に相当するところまでは、マイナス方向に相場が動いてもポジションを保つという前提なら、当然、先ほどと同じ理屈で100倍のレバレッジでは資金を保てません。
また、50倍のレバレッジでポジションを建てていたとしても、
変動率2% × 50倍のポジション = 100%に相当する損益 |
このように、2%分の変動があった時点で資金がショートする事が目に見えている事になります。
かと言って、資金を保つ事ができる「40倍」のレバレッジを前提とした場合は、いざ2%に相当する変動があった時点で「損切り(負け)」を確定させた際に、
変動率2% × 40倍のポジション = 80%に相当する損益 |
このように、一度の負けトレードで運用資金の「8割」を失ってしまう事になります。
つまり、レバレッジの適正倍率は、自分自身のトレードルールや、損切りのルールにおける「含み損の許容範囲(どこまで含み損を保ち、どの時点で損切りするのか)」を前提に、
・少なくとも含み損の許容範囲まで資金を保てるレバレッジ倍率 ・含み損が最大化した時点の損切りトレードで確定する損失額(リスク) |
この2点を踏まえた上で、適正なレバレッジ倍率を定めて使用していく必要があるという事です。
とくに後者の「損切り時点のリスク」については『勝率』や、勝ちトレードの方で実現できる『リターン』を踏まえて「負けトレード時点の損失をどのくらいまで覚悟するか」が決め手になるところかと思います。
そもそも「レバレッジの利用」は必要なのか。そもそも「レバレッジ」は、ビットコインほどは大きな値動きを伴わない為替相場において、さほど大きくはない変動から大きなリターンを実現するために使われている仕組みに他なりません。
このようなリターンを、数分単位で生じるようなレート変動を対象に2度、3度とトレードを行っていくだけでも、どんどん積み上げていく事が出来るわけです。
これでも数分、数十分の売買サイクルで得られるリターンとしては十分だと思います。 *** ちなみにレバレッジを使わない形でFX(トレード)を行っていく場合、ビットコインのFXに関しては「リスク(損をする可能性)を実質的に回避できる方法」があります。 |
以上、本講義では、ビットコインFXにおける適正なレバレッジ倍率について言及させて頂きました。
今回のテーマに関連する講義も他に幾つかございますので、よろしければ併せて参照してみてください。
本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。