FXのトレード手法は「売買のサイクル」によって、以下のような名称で呼ばれるのが一般的かと思います。

・スキャルピングトレード:数秒~数十分のサイクルで売買を行うトレード手法
・デイトレード:数時間~1日以内のサイクルで売買を行うトレード手法
・スイングトレード:数日サイクルで売買を行うトレード手法

それぞれのトレード手法には、それぞれに「一長一短」があり、一概に「どれが良い」「どれが稼ぎやすい」とは言い切れません。

ですが、その人それぞれの生活サイクルや心理的な傾向などに応じた「向き、不向き」や「稼ぎやすさ」は、ある程度、明確にできる余地があります。

そこで、今回の講義では「どのような人にどのトレード手法が適しているのか」という視点で、スキャルピング、デイトレ、スイングトレードの手法を比較していきたいと思います。
 

スキャルピング、デイトレ、スイングトレードの違いと比較。

それぞれのトレード手法は『物理的観点』と『心理的観点』で、それぞれの向き、不向きを考察していく事ができます。

物理的観点というのは「実際に売買を行える時間帯」「実際にチャートに貼り付ける時間の長さ」といった視点で、ここにどれくらいの制約があるかで「稼ぎやすい手法」は変わってきます。

やはり1日の間で、それなりにまとまった時間を取れないような人であれば、売買そのものを相場に張り付く形で行う「スキャルピング」は、それこそ物理的観点で「不向き」だと思います。

対して、デイトレ、スイングトレードは、一定時間、ポジションをホールド(保有)する形の売買となるため、エントリー時点と、その後のポジションの解消時点のみ注文作業でトレードを行えるのが一般的です。

また、エントリー時点で「利食い」と「損切り」のポイントを明確にできる手法であれば、エントリー時点で利食いと損切りの注文も併せて行い、その後は「放置」というトレードも可能になります。

いずれにしても、注文を出すタイミングのみトレードを行えば良いのがデイトレ、スイングトレードの「利点」と言えます。

よって、その利点ありきでトレードを行いたいなら「一定時間のポジション保有が前提となるようなトレード手法が適している」というわけです。

対して、1回1回のトレード(売買)を相場に張り付いた形で行っていくのがスキャルピングトレードの「特徴」でもあるため、物理的にそのようなトレードを行えるのかどうか。

そこがまさに「物理的観点」における、各トレード手法の向き、不向きや稼ぎやすさの決め手になるという事です。

 

「相場に張り付かなければならない事」はデメリットなのか。

ただ、スキャルピングトレードにおける「相場に張り付いてトレードを行う」という点は、必ずしもデメリットになるものではなく、そこにはそれ相応の「メリット」も存在します。

そこが「物理的観点」に対する「心理的観点」に関係する部分なのですが、トレード手法の向き、不向きを捉える上での「心理的観点」は、

-ポジションを建てた後、相場がどうなっているのか気になって仕方が無くなる。
-含み損が生じているポジションを保ち続ける事にひどくストレスを感じる。

といったような、人それぞれのメンタル的な『負の心理』の部分で、このような「精神的負担」も、各トレード手法によって大きく異なる傾向にあります。

それこそ、デイトレやスイングトレードの手法は、エントリー時点でポジションを建てた後は、相場から離れられる「メリット」はあるものの、その際の「精神的負荷」には個人差があるはずです。

-実際に相場を見ていても、見ていなくても、結果は同じなのだから。

このような考え方で合理的に割り切れる人もいれば、そのような理屈を抜きに、相場の状況やポジションの状況が気になってしまう人もいるはずだからです。

また、売買のサイクルが長い手法になるほど、値動きの「範囲」も長い目で見る手法となる傾向にあるため、その場合は必然的に「含み損を抱える範囲」も広くなります。

対して、スキャルピングトレードのノウハウは、短期的な売買が基本となるため「含み損を抱える範囲、時間が売買のサイクルに比例して縮小される傾向」にあります。

トレードにおいて「含み損を抱える事のストレス」は、必然的に、短期間のトレードを行っていく場合ほど小さくなるという事です。

もちろん、ここで挙げたような「精神的負担」はいずれも、トータル的に勝てる(稼げる)のであれば、とくに気にもならないという人もいるはずですが、

-勝ち負けがどうこうという理屈ではなく、相場やポジションが気になってしまう。
-トータル的な損益は無関係に、含み損を抱えていく事にストレスを感じる。

このような人も決して少なくはありません。

よって、そこに精神的なストレスを感じるような人であれば、常に相場に張り付いて相場とポジションの動向を監視しながら、短期的な売買でストレスを軽減できるスキャルピングが適している事になります。

このような「心理的観点」も、トレード手法の向き不向きに深く関係してくるという事です。

▼ ちなみに「私」の場合は・・・

ちなみに私は「精神的負担」を出来る限り「避けたいタイプ」であり、また「トレードのストレスに耐えられないタイプ」でもあるため、

-ポジションを建てた後、相場がどうなっているのか気になって仕方が無くなる。
-含み損が生じているポジションを保ち続ける事にひどくストレスを感じる。

このようなタイプの「典型」と言ってもいいくらいだと思います。

ですから、私自身が確立している手法の中には、数時間サイクルの売買を行う「デイトレード」に分類される手法もありますが、ポジションを建てた後に「相場から離れる」という事はまずありません。

実際にはエントリー時点で「利食い」と「損切り」の注文を同時に出す事も可能な手法なのですが、実際にトレードを行う際は画面上にチャートを表示させ、その傍らで別の作業をしたりしています。

要するに、ポジションを建てたまま外出する、就寝する、という事は無いに等しいという事です。

トレードスタイルは物理的観点と心理的観点から「自分に適した手法」を選ぶ。

以上、ここではスキャルピング、デイトレ、スイングトレードなどのトレード手法の向き、不向きを「物理的観点」と「心理的観点」で捉える視点について解説させて頂きました。

とくに、ここで言及した「心理的観点」は、トレード手法におけるリスクリワード(リスクに対するリターンの割合)の取り方や、どこまで勝率に重きを置くのか、といったところにも関係してくる部分です。

それこそトレードは、ひとまずは勝てるようになる事、稼げるようになる事が最重要ですが、人によってはそこから「精神的なストレスとの闘い」が始まります。

リターンを追及する限り、そこに「リスク」はついて回るものですから、そこに生じる精神的なストレスを軽減できるようなトレードを行っていくに越した事はありません。

そのような視点を前提とする講義も他に幾つかございますので、併せて参考にして頂ければと思います。

 
投資、トレードで稼げるようになるほど大きくなる精神的ストレスの考察。

エントリーの恐怖心を克服。トレードメンタルを鍛える方法。

初心者が「まず稼ぐ事」に適した『トレードスタイル』の考察。

リスクリワードと勝率の比率計算で分かるFXトレードの明暗。

本講義の内容が、少しでも今後のあなたの資産運用のお力添えになれば幸いです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。